交友は糾える縄の如し③
「はい、お土産」
授業開始間際。
教室へ戻ると、同級生の机にミルクティの容器を置いた。
「戴いても良いのですか?」
宇垣さんはスマートフォンから顔を上げるや、不可解なりと目を瞬きした。
「三川君を呼び出したの、あなたでしょ?」
「はい。そうですけど」
容疑者はアッサリと口を割った。
「ここ数日、栗田さんは黒島さんに対して不満を蓄積していました。多分、今日くらい爆発するだろうと予想していたので」
言葉を一旦区切ると、宇垣さんは液晶画面をコチラへ向けた。
「いつでもワンタップで通知出来るよう、メールを用意していました」
なるほど。
それを見た三川君が、慌てて隣のクラスから駆け付けたと。
「事前に準備してたの?」
「はい。こんな些細な事で、栗田さんの評価が下がるのは嬉しくありませんから。まだ新学期が始まったばかりですし。クラス替えがなければ放置していましたが」
当然の事をしましたと澄まし顔。
褒めてくださいと言わんばかりに。
「それより栗田さん。あの件について報告書を作成しました。放課後わたしの家で打ち合わせをしましょう」
「今日?」
「はい。本日の放課後です」
確か、学校が終わった後は…………。
断ろうかと口を開こうとするも。
「伊藤さん達と約束されているカラオケに関しては、わたしから欠席のメールを送信済みです」
素早く宇垣さんが機先を制した。
「どうして知ってるの?」
「多分そうだろうなと思い、お昼前にメールで予定を確認しました」
何から何までお見通しですか。
ウチの参謀は優秀な事で。
「ご迷惑でしたか?」
「別に良いけどさ。出来れば事前に相談して欲しい。私にも都合があるし」
「借りにしたとしても、結果は同じだったと思いますよ。だって………」
宇垣さんは机に頬杖をつくと、含みのある笑みを浮かべた。
「早く元へ戻りたいんでしょ? 栗田さん?」




