憂鬱な学校生活の幕開け②
枕元での電子音。
布団の中から腕を伸ばし、それを引き寄せた。
「やばっ!」
液晶画面をタップするなり、吹き飛ぶ眠気。
慌てて起き上がるも、不意打ちのような頭痛に息を飲んだ。
幸い悶絶するほど酷くはないのだが。
恐らく月のアレが近々来るのだろう。
「あら、おはよ♪ 今起きたの?」
トイレに向かう途中で妻とすれ違い。
「おはよう。出来れば一声掛けて欲しかったな」
時間的にはまだ余裕があるけど。
「ちゃんと起こしてあげたわよ? 私に返事もしたじゃない」
「そなの?」
全く記憶にございません。
「あなた、昨夜は何時に寝たのよ」
「零時は越えていたなぁ」
寝ながらスマホを見るのは、やはりよろしくないか。
洗面所にて歯磨き、洗顔。
続いて寝癖を………って、あぁ、メンドいっ!
毎朝の恒例行事とはいえ、すんなり髪へブラシが入った例しなし。
やっぱ切るか?
バッサリとショーットカットにするか?
とても短時間では直しきれないので、今日はポニーテールで誤魔化す事にした。
「あなた、朝食あるけど?」
リビングを覗くと妻が忙しく手を動かしていた。
今は時間が………と思ったが、テーブルを見て考えが一転。
生ハムとチーズのデニッシュサンド。それは食わねば後悔する。
「戴く」
口に頬張りながら、制服のボタンを留めた。
「美味しい?」
妻へ感謝も込め深く頷く。
早起きが苦手なのに、手の込んだ朝食を作るという事は。
「陽子、徹夜したな?」
「判っちゃった?」
はにかみながら口元に手を当てた。
「先週からの仕事が、なかなか終わらなくて」
「睡眠時間を削ると、後々に響くぞ?」
夜更かしをした俺が言っても、説得力なぞ皆無だが。
「あまり無理をしないように」
「は~い♪」
今、妻が倒れたら………正直、あまり考えたくはない。
「春佳は、もう出掛けたのか?」
ふと気付いた違和感。
いつもなら朝はもう少し賑やかだった。
「あの子、今週の勤務は遅番だから」
昨日そんな事を言ってたな。
以前は娘が先に起きて学校へ。
騒がしい支度準備の足音で目が覚めていた。
今は立場が逆転……か。
「あなた、飲み物は?」
朝食、最後の一欠けを口の中へ押し込みながら、首を左右へ振った。
「ご馳走様。行って来る」
鞄を指に引っかけ肩へと担いだ。
「待って、忘れもの」
なんだ?
さっき一通り確認したのだが。
「弁当は要らないよ?」
お昼は給食が出る筈だから。
「忘れているのは、コッチの方よ」
そう言うやいなや、両腕で抱き締めるなり、キスをした。
「お前は、俺がこんな身形でも、するんだな」
「もちろん。だって私の可愛い娘だし♪」
すると………。
「春佳にも?」
「それがねぇ。今は嫌がるのよ、あの子」
至極当然な事ではあるが、妻は納得いかないという顔で溜息を漏らした。
私用が立て込んでいるため、暫く更新が滞ります。




