入学試験 Part1
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書き上げることを辞めるということは、絶対しませんのでもう少しお時間をください。よろしくお願いします。 Light
ーーー◇クロス学園第一講義場◇ーーー
レオナールが試験会場に入室し1時間程経過すると、疎らだった空席がほぼ無くなり皆が緊張した面持ちで開始時刻を待っていた。
ある者は、講義場に設置されている時計を凝視し今か今かと待ち侘び、またある者は、1人ブツブツと念仏を唱える様に復習したりと様々な者達が存在する。
ーーそんな中、後方の入口辺りが騒めき始める。
「おい、ティアリス様がお越しになられたみたいだぞ!」
「あぁ、そうみたいだな。やはりお美しい方だな。どうにかお近付きになれないものか……」
後方に座る少年達の会話が聞こえると、自ずとレオナールも後方に目を向ける。
すると、自身の席に向かう為通路の階段を降りているティアリスと自然と目が会いお互いが声を発した。
「「あっ、ティア(レオ)。」」
ティアリスは、レオナールの座る隣で立ち止まりレオナールに声を掛ける。
「先に着いていたのですね。お兄様から聞きましたよ?全然勉強していなかったらしいですが、大丈夫なのですか?」
「はい。殿下のお陰で何とか形になったかと思います。あとティアリス様、此処では他の者の目もありますので…」
「あっ、そうですね。お互い頑張りましょう!」
「はい、では。」
そう短く応答すると、ティアリスは最前列まで降りていき着席した。
レオナールの周囲では、ティアリスとレオナールの関係を皆が凝視し小さな声で囁き始める。
「おい、どういうことだ?あいつ誰だ?姫様と親しげに話していたぞ?」
「いや、私も知らんな。上位貴族の御子息なのか?いやでも、見たことが無いぞ?」
そんな会話が軽い殺気混じりに聞こえる中、イグニス達が念話でレオナールに語り掛ける。
『あははは!主、大人気じゃねぇか!』
『嬉しかねぇよ。てか、何気に殺気混じってるし。』
『フォッフォッ、気にするでない。主ならひと捻りじゃろうて。』
『そういう問題じゃないんだよ。』
『主、気をしっかり持ってください。そろそろ時間のようです。』
レオナールが溜息をつきアクアに諭されると、その直後入口の扉が閉ざされ多くの教員が教卓に並び立つ。
「これよりクロス学園入学試験を執り行う。我々が常に監視する為、間違っても不正行為が罷り通るなんぞ思わないように。では、試験用紙を配布する。開始の合図で解き始めるように。」
そう言い終えると、順次教員が試験用紙を配布し始め、全体に配布し終えたのを確認すると同時に開始の合図が響き渡った。
ーー2時間後……
「ーーそこまで!皆、手を止めるように!」
試験会場全体に教員の声が響き渡る。
「ふぅ、終わったか……意外に簡単だったな。」
安堵の息を吐き、ボソリと呟くレオナール。
そんなレオナールの言葉を聞き隣に座る少年が声を掛ける。
「そんなに簡単だったか?難しかったように思うが?」
「え?……あぁ、勉強を教えていただいた方が博識だったもので……えっと、貴方は?」
「あぁ、こちらこそすまない。俺は、アレク・フォン・ジルベルトだ。よろしく。」
切れ長な瞳に整った顔立ちの少年ーーアレクは、右手を差し出しながらレオナールに声を掛ける。
「いえいえ、こちらこそ。侯爵家の方だったのですね。私は、レオナール・フォン・グリューゲルと申します。」
お互いが手を取り挨拶をすると、アレクは話を続けた。
「俺のことは、アレクでいいさ。それに同い年だし堅苦しいのは抜きにしようぜ。さっきティアリス様と話していたから、どんな奴かと思ったけど……なるほど、英雄の息子だったという理由か。さっきの話からするに、アリウス殿下に教えてもらったのか?」
「あぁ、偶々殿下と縁があって御教授頂いたというだけの話さ。あと、堅苦しいのが抜きと言うのであれば俺のこともレオと呼んでくれ。英雄の息子っていうのは、恥ずかしいから勘弁してくれ。」
「あはは、りょーかい!それにしても、王太子殿下に教授していただくっていうのも可笑しな話だからな?ん?……いや待て、そう言えば数年前から王城に出入りしている少年の噂を聞いたことがあるが、もしかしてあれはレオのことなのか?」
「え、どんな噂が流れてたんだ?多分、俺の事だと思うけど?」
「やっぱりか!そうだな……俺が聞いた話では、手練れの魔法使いで殿下以上の才を持つ鬼才。職業が上級職で、幼い見た目だが、その実際は人族ではなくドワーフや小人族ではないかという話もあったな。他にも色々あったが……。」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ!なんだその鬼才って!俺は、才能も人並みだし職業も上級職じゃなくて召喚士だからな?あと俺は、歴とした人族だ!」
「えっ、召喚士なのか⁉︎」
「態々嘘言ってどうするんだよ。」
「そうか……。なら二次試験は、俺とは違う魔法での試験だな。俺は、騎士系の職業だから武術での試験になるんだ。お互い厳しい試験になるかも知れないが頑張ろうぜ。」
「だな。できることをするさ。」
お互いが拳を合わせ笑みを浮かべるアレクとレオナール。
そんな2人に二次試験の声が掛かる。
「383番アレク・フォン・ジルベルト。貴方は、武術の試験場へ移動しなさい。そして、384番レオナール・フォン・グリューゲル。貴方は、魔法の試験場へ移動しなさい。」
「「はい!」」
こうして2人は、各々が別々の試験場へ向かうのだった。
ーーー◇クロス学園第一魔法練兵場【魔法試験会場】◇ーーー
試験会場に到着すると同時に教員がレオナールに向けて声をかけた。
「君がレオナール・フォン・グリューゲルか?」
「はい、そうです。よろしくお願いします。」
「うむ。私は、試験官のルベルだ。では、試験内容を説明する。まず魔力測定を行う。あそこに立つ的に向けて得意属性の魔法を放ちなさい。結果の数値を見て、50までがG判定、100までがF判定といったように50ずつの区切りで判定が上がっていく。一般の魔法使いだと300〜400、宮廷魔術師だと700〜800といったところだ。ありえないと思うが350以上の結果が出た場合S判定とする。以上質問はあるか?」
「1つ質問させてください。過去最高点を出した学生は、どれくらいの数値だったのでしょうか?」
「過去最高点を出したのは、アリウス王太子殿下の卒業試験時の記録で722だな。何故そんなことを聞くんだ?」
「いえ、ただ気になっただけなので。ありがとうございます。」
(んー……アリウスで722なら手を抜かず、ある程度全力を出しても大丈夫そうだな。)
この時、レオナールは自らの力の強さを計り間違えていた。
レオナールのレベルとスキルレベルは、既に王国における宮廷魔術師に並び立つものであり、前世における科学的根拠に基づき強化された魔法の数々は、今世におけるに宮廷魔術師を軽く凌駕している威力を呈しているといっても過言ではない。
そんなことも露知らずレオナールは、ルベルの返答を聞き安堵の表情を浮かべる。
そして、準備を終えたレオナールに対しルベルが開始の合図を言い放った。
「では、始めっ!」
レオナールは、開始と同時に持てる限りの魔力を練り上げ青い炎を打ち出す。
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!
「「…………えっ?」」
ルベルとレオナールの声が重なり焦げた土の香りと沈黙が場を支配する中……2人の視線は、小さなクレーターと辛うじて残された的に固定される。
ーーその数値が、思いもよらない【999】を示しているのだから……。
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大変、大変遅くなりました…
一年も気付いたら経ってしまいましたが、切りよく7月1日21時より更新再開致します。
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