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七龍の契約者  作者: Light
第二章 学園編(仮)
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立王太子儀 後編

本当に遅くなりすいません……。

暖かい感想本当にありがとうございます。

立王太子儀に際して、入城の審査無く橋が常時開放されている今日この日……ここアーリナル王国王城の庭園には、数多くの国民が歴史的瞬間を一目見ようと所狭しと並び、王族が姿を現わすのを待ち侘びていた。


ーーそんな最中、予定時刻を告げる鐘が王都中に鳴り響く。



ゴーン……ゴーン……ゴーン……



甲高い鐘の音が木霊し徐々に小さくなる中、一人の若者が視線上方に位置するテラスを指差し声を上げた。



「陛下が、お見えになったぞ!」



その言葉で庭園にいた者達の視線が一様にテラスに向かう。

そこには、国王ルクスを筆頭にアリウス、ティアリス……そして、王妃セシルが姿を現わしていたのだ。


国王達の登場に伴い溢れんばかりの歓声が城内に響き渡る。

地鳴りの様に響き渡る歓喜の声は、一重に善政を敷き民からの信頼を得ているルクスや王家に対する評価といってもいいだろう。


そんな歓声の中、ルクスがスッと右手を上げると次第に歓喜の声が鎮まっていく。


民達の声が鎮まったのを確認し、ルクスが声を発した。



「愛すべきアーリナル王国の民達よ。ルクス・フォン・アーリナルである。息子アリウスの立王太子の儀にこれだけ多くの国民に集まってもらえたこと……王族として、これ以上嬉しいことはない。


あの戦から半年、この儀を執り行うに至るまで多くの国民に不安と混乱を与えたことと思う。皆が助け合い協力を得られたからこそ、今日という日を迎えることができた。感謝する。


ーーそして、この場を借りて皆に伝えねばならないことがある。


それは、先立っての戦の話だ。数々の情報が市井にも流れていることと思うが、改めてここで説明しよう。心して聞いてほしい。


今回の首謀者であるグラエス卿を裏から操っていた人物の存在が明らかとなった。それは、魔族の存在だ……。」



ルクスの発言に庭園にいた国民達が騒めき始める。

そんな国民達を見据えつつルクスが発言を続ける。



「皆の気持ちは、十二分に分かる……だが、落ち着いて聞いて欲しい。魔族の存在は、紛れもない事実だ。その存在は、今日こんにちに至るまで不確かであり、我等に関係が無いと皆が思っていただろう。


今回は、グラエス卿共々討伐され脅威は去った。だが、再び魔族の侵略がないとも言い切れないのも事実。


ーーそこで、奴らの侵略を考慮し万全を期す為にも新たに部隊を創設する運びとなった。


その名は、対魔特務隊……その中核を担う者を皆にこの場を借りて紹介しよう。戦に置いて最大の功労者であるこの者……ジーク・フォン・グリューゲル、前へ。」



後方に目を向け、ジークを呼ぶルクス。

ジークが短く呼応し、国王ルクスの隣に並び立つと先程と同様に大きな歓声が巻き起こった。


ジークの存在は、名誉貴族と言えど平民から貴族の一員となったことで国民から尊敬されていた。それに加え、今回の戦で魔族討伐という王国史上類を見ない功績を残したことで正式に男爵へ陞爵された為英雄視されていたのだ。


そんなジークの隣でルクスがさらに発言を続ける。


「今回の戦に置いて、この者の存在がなかったならば国の存続は、叶わなかったやもしれん。よって、男爵へ陞爵することと相成った。今後は、東部のアロードの領土を下賜し王国の為にその豪腕を奮ってもらうこととなる。また、創設された新部隊の隊長に任命することをここに宣言する!ーージークよ、今後も王国の剣となり盾となってくれ、実に大儀であった。」


「ありがたき幸せ。対魔特務隊隊長の任、謹んで拝命いたします。陛下の為、王国の為にも今後も微力ながら尽力させていただく所存でございます。」


ルクスの労いの言葉に対し、膝を立て臣下の礼を用いて返答するジーク。

その姿に、さらなる歓声が城内に巻き起こった。


ルクスは、ジークが立ち上がり後方に下がる様子を見届けると再び国民に向かい高らかに声を発する。


「では、これより立王太子の儀を執り行う!アリウス・フォン・アーリナル前へ!」


短く呼応し、ルクスに歩みよるアリウス。

向かい合う両者に厳粛な雰囲気を感じ取り息を飲むように場が静まり返る中、アリウスが膝を立てルクスに対し臣下の礼をとる。


その姿を見届けたルクスは、アリウスに向けて声を発した。


「我が息子アリウス・フォン・アーリナルよ。汝は、この王国の王太子として王国の為、王国の民の為にその身を捧げると誓うか?」


「私は、このアーリナル王国の為、王国の民の為にもこの身、この命を捧げることを誓います。」


「うむ、よくぞ申した。我、ルクス・フォン・アーリナルは、汝アリウス・フォン・アーリナルを王太子として認めよう。王国の為、王国の民の為に勇往邁進してくれることを期待する。」


「畏まりました。陛下の御期待に添えますよう邁進して参ります。」


儀式における厳粛な工程を終えると、城内では再度歓喜の声が巻き起こった。


アリウスは、そんな盛り上がりを見せる国民達に視線を落としながら声を発する。


「今日、この儀の為に集まってくれた民達に感謝する。これから先、宣言通り皆にとって最良の王国を目指すべく尽力していくことを改めてここに誓う。至らぬ点があるやも知れないが、今後の王国の繁栄の為に皆も手を貸して欲しい。


そして、先程の陛下が話された特務隊は、王族直属の少数精鋭特殊部隊となる。隊長のグリューゲル卿を筆頭に貴族平民関係なく実力主義での有能な者を今後選抜する予定だ。まだ動き出した部隊であるだけに人材が揃っていないが、グリューゲル卿以外の確定している人員を紹介しよう!」


アリウスは、そう言い終えると共に視線を上空に向ける。


釣られる様に国民達もまた上空に視線を向けると、それ(・・)は、起こった。





ーー王都上空に七つの魔法陣が浮かび上がり、それぞれの魔法陣から龍が出現したのだ。




それぞれの魔法陣から龍の肢体が現れるその光景に、人々は言葉を失いただただそれを見つめる。


庭園を囲む様に七龍が上空に待機すると、時を見計らった様にアリウスが声を発した。



「皆に紹介しよう!先の戦にて私達を守護し勝利へと導いてくれた七龍だ!」



その言葉に噂の七龍と相見えることができると思っていなかった国民達の歓喜の声が爆発する。


この日一番といっても過言ではない程の歓喜の声が王都中に響き渡る中、アリウスがさらに発言を続ける。



「この七龍は、我が友の召喚獣だ。その者の存在は、故あって今は明かすことができない……だが、隊の一員として国の防衛に尽力して貰えることと相成った!この七龍と我が国の精鋭達がいる限り我が国の平和を約束しよう!」



ーーこの出来事と演説は、国民の心に忘れられない記憶として刻まれ、後の世に“賢王アリウスの七龍演説”として王国に語り継がれることととなった。

ゆっくりでも必ず更新していきます。

じれったい、もどかしい色々と読書様に思われていることと思いますが、他の連載されている方々の合間の息抜きにでも読んでいただければ嬉しいです。

待っていただける限り必ず更新します。1ヶ月更新が基本サイクルになりそうですが、頑張って出来そうなら月2話頑張りたいと思います。


本当にお待たせしてすいません。



暖かい感想本当にありがとうございます!本当にうれしいです!


Light

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