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七龍の契約者  作者: Light
第一章 少年期(仮)
37/59

東部動乱 Part8

やっぱり更新のスパンが短いのは、厳しいですね汗

少し短くなりましたが申し訳ありません。


もし宜しければブックマークや評価、レビューをよろしくお願いします。

幾重にも張り巡らせた土壁を見据え、レオナールは一人安堵の表情を浮かべる。


ーーそんな最中さなか、唐突にそれは訪れた。



「…………えっ?」



レオナールは、腹部に激痛を感じ視線を落とす。するとそこには、本来あり得る筈の無い漆黒の靄を纏った爪が生えていたのだ。

レオナールは、腹部から滴り落ちる自らの血液を見つめ首を振り返らせる。そこには、居る筈の無い男が……半身が焼き爛れたテジーが立っていた。


「……グフッ。一体どう、やって……。」


レオナールは、喉の奥から込み上げてくる生温かい液体を唇から零れ落としながら、声を掠らせ必死に呟く。

テジーは、そんなレオナールの姿を異様な笑みを浮かべ見つめつつ、ゆっくりと爪を引き抜く。レオナールは、それと同時に脱力し前のめりに倒れ込みテジーを見上げた。



「あの炎……私も死を覚悟しましたよ。お陰様で左手は、使いものになりません。しかし、私の方が一枚上手だったということでしょうね。念には念を入れて複合魔法とは別に私のもう一つの切り札である“シャドウムーブ”を使い貴方の影に移動できたのです。そして、貫通力を上げる“ダークピアース”を付与させ貫いたと言うわけです。シャドウムーブは、対象の人物の力量に比例して使用魔力も跳ね上がります。お陰様で私の魔力も底を尽きましたがね。」



テジーは、左半身に重度の熱傷を帯びながらも、毅然と立ち振る舞いレオナールに話し掛ける。


「……グッ。そんな、聞い……。」


レオナールは、必死に話そうとするも声が出ず地面に顔をうずめる。


「クフフフ、此処までのようですね。冥土の土産にお教え致しましょう。至高の御方(・・・・・)が編み出した先程の複合魔法と比べると些細なものですが、シャドウムーブとダークピアースはどちらも私の編み出した闇魔法です。聞いたことがないとでも言いたいのでしょう?それも至極当然と言うものです。……では、長話も酷と言うもの……私も早々に治療したいので此処までと致しましょう。この私を此処まで追い詰めたのです。あの世で誇るが良いでしょう。」



そう言い終えると、テジーはレオナールにゆっくりと歩み寄り右手を振りかぶった。

テジーは、勝利を確信し今までにない程の恍惚とした笑みを浮かべ漆黒の靄を纏った爪がレオナールの首元に吸い込まれるーー






キンッ!!




ーー筈だった。



「何!?」


驚愕の表情を浮かべるテジー。それもその筈、本来ならば既に首と胴体が二分されている筈の未来が覆り、テジーの爪は、レオナールの首元で見えない障壁に防がれ止まっていたのだ。


対してレオナールは、動揺しているテジーを相手に剣で爪を払い除け何事もなかったかの様に立ち上がる。


「ギリギリ間に合ったな。……此処までか、そうだな。これで終わりだ!」


そう言い放つとレオナールは、何が起こっているのか分からず立ち尽くしているテジーの隙だらけの胸に剣を突き立てる。


「ーーグッ!?……ど、どういう事だ。た、確かに私は、貴様を貫いた筈……!?」


右手を震わせながらレオナールに手を伸ばすテジー。

レオナールは、そんなテジーに突き立てた剣を引き抜くと同時に蹴り倒し、剣の血を振るって飛ばした。


「ああ、正直な話やばかったさ。もし、急所を刺されていたら違った結果になったかもな。」


レオナールは、蹴り倒したテジーを見下ろしながら語り掛ける。

対してテジーは、そんなレオナールを苦悶の表情を浮かべながら見上げ声を張り上げた。



「なら……なら何故貴様は、回復しているんだ!?」


ーーそう、レオナールは、契約呪術でルールを縛られているにも関わらず回復・・していたのだ。あり得る筈のない現状にテジーが驚くのも無理は無いだろう。



「……そんなもの考えたら分かるだろ?お前のルールでは、“魔具やアイテムの使用を禁ずる”だけだっただろ?だから俺は、お前が近付いてくるのを見計らって光魔法の“ハイヒール”で回復・・、更に“シールド”で弾いたというわけだ。ルール上、魔法での回復を禁じていなかった……ただそれだけだったわけだ。」


肩を竦めつつ呆れた様に語るレオナール。

テジーは、目を見開き信じられないとばかりに絶句する。


「それにお前は、俺が召喚士だと分かった事で一般的な召喚士のように魔法は大したものではない。それも限られた者しか使えない光魔法を使えるわけがないーー龍王ルーメン達が居なければ何も出来ない奴だと過信しただろ?それで、あんなルールにしたんだろうが穴だらけで詰めが甘かったな。」



レオナールは、テジーを見下ろしながら更に見解を語る。


「……そんな、人族ゴミにとって光魔法は会得し難い筈……それを召喚士が……予想外にも程がある。こんな、こんな筈では……こんな愚かな、ことが、あって、たまる、ものか……。」


テジーは、残った気力で立ち上がろうと試みる。だが、それを許すレオナールではなかった。再びテジーの胸元に踏み込み袈裟斬りを放つと、テジーはゆっくりと大地に吸い込まれる。


「正直な所、俺もかなりギリギリだったが相手が悪かったな。この勝負、俺の勝ちだ。」



「……グフッ!お、お赦しください……ま、魔…………下。」



テジーは、青紫色の液体を吐き出し声を掠らせながら呟き事切れる。


ーー直後、戦場では冒険者や奴隷、新兵達が次々に眠るように意識を失い倒れていく光景が広がった。また、反乱軍の貴族や重鎮も同様に意識を失い倒れ込む事態となり戦場は混乱の渦にのまれることとなった。



『フォフォフォ、主人よ。危なかったの。まあ、心配しとらんかったがの。』


『主人は、あんな雑魚にビビり過ぎなんだな〜。』


『お疲れー。主人、お腹空いたーー!』



レオナールがテジーの遺体を見つめる最中さなか、ルーメン達は、レオナールに近寄り思い思いに語り始める。


「いやいや、少しは心配しろよ。それに、雑魚ってテラ、お前と一緒にするな!……ウェントス、まだ帰れないから少し待ちなさい。」


レオナールは、そんなルーメン達に緊張の糸が切れ呆れる様に小さな笑みを零し返答する。


『フォフォフォ、その通りじゃの。まあ彼奴の軍も間も無く瓦解するじゃろうし、あと少しの辛抱じゃ。』


ルーメンは、左右に首を動かし戦場全体を見つめながらレオナールに答える。


「……だろうな。とにかくこいつの遺体をアリウスの元に持っていかないとな。今回の反乱の主謀者の一人として……………って、まだもう一人の主謀者を捕まえてないじゃねえか。こいつのインパクト強すぎて忘れてた……。」


レオナールは、ルーメンの言葉に同意し次の行動に移ろうとした矢先、本来の主謀者の存在を思い出し溜息を吐く。



『あー、それなら多分心配無いんだな〜。』


『その通りみたいじゃの。』


『みたいだね。』


テラの念話に続き、ルーメンとウェントスも立て続けに同意する事態にレオナールは困惑の表情を浮かべ返答する。


「…………えっ?それは、どういう『レオ!!』意味……な、んだ……?」


ルーメン達に尋ねようとしたその時、レオナールは、敵軍の方向から聞こえた見知った声に振り返る。そして、その人物に対し驚愕の声を上げた。



「……え!?父さんが何でここに!?」



そう、父ジーク・フォン・グリューゲルその人がそこにいたのだ……グラエス卿の首を携えてーー。

初めての本格的な戦闘シーンのため、簡単に終わる決着にしてみました。

実のところ、戦闘シーンだけで1万字を軽く超えてしまいクドくなりすぎてしまったため大量に省きました汗

また、省いた内容に関しては今後の物語の戦闘シーンのタネに使おうと思います。


今後の展開はどうなるのか?序章の大詰めに近づいてきましたが、今後も七龍の契約者をよろしくお願いします。

もし宜しければ勝手に小説家ランキングに投票していただければ幸いです。

 

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