東部動乱 Part6
大変お待たせ致しました。汗
長い時間かけて考えた内容ですので、エタらない内容にはなっているかと!ちなみに伏線回収もしっかりしていきたいと思っています。
これからも七龍の契約者をよろしくお願いいたしますたします!!
ーー◇中央軍レオナールside◇ーー
暴風の吹き荒れる中……レオナールは、突如として現れた火柱に目を奪われていた。
「なぁルーメン。あれは……。」
“何だ?”と、ルーメンに振り向き聞こうとしたその時、奇妙な笑い声が辺り一帯に響き渡る。
「クフフフフ、アハハハハハ!……愉快、愉快ですよ!人族共を駆除するだけの事が、まさかこんな事になろうとは!」
レオナールは、声が聞こえてきた地点にハッと視線を戻す。するとそこには、火柱を背に暴風を物ともせず両手を広げ悠然と歩み寄ってくる一人の男がいた。
地面に降り立ったルーメン達は、そんな奇妙な男を見つめ徐ろに声を漏らす。
『ほぉ、中々やるみたいじゃの。』
『でも、魔具の性能のおかげじゃない?』
『いや、魔具の力だけじゃないのね。あいつ、思ってた以上に魔力があるみたいなんだな。」
ルーメン達は、例え手加減しているとは言えウェントスの暴風を物ともせず歩み寄ってくる男の力を賞賛する。
そんな奇妙な男は、暴風域を抜けるとフッと笑みが消え、レオナール達を鋭い目線で一様に見回した。
「やはりただの龍では無いようですね。それに……そこの貴方、いったい何者なのでしょうか?」
男は、龍達を見ていたかと思えば急に視線を移し、品定めする様な目つきで降り立っていたレオナールに視線を定める。
「……くっ!」
レオナールは、男からの強大な殺気や重圧に息を呑み声を詰まらせる。
そんなレオナールを庇うように龍達が割って立ち憚った。
『儂等の主人を脅すのは、止めてもらえるかの?……のお、魔族の男よ。』
ルーメンは、厳しい目つきで睨み返し返答する。
「クフフフフ。やはりもうバレていましたか。お初お目に掛かります。私は、栄えある至高の御方のお仕えする十二魔将が一人……『幻操』のテジーと申します。」
魔族の男ーーテジーは、ルーメンの的を得た言葉に先程の笑みを不意に浮かべ返答する。
『バレるも何も貴様も隠す気がないのじゃろ?主よ。彼奴が儂等が王都で感じた邪悪な気配そのものーー魔族と言う奴じゃ。』
ルーメンは、テジーに対し呆れた様子で反論し、レオナールに振り向き説明する。
「こいつが、魔族なのか……。」
レオナールは、自身と比べ圧倒的な力の差を痛感しつつテジーを見据え鑑定する。
名前 :テジー・グレムリン
性別 :男
年齢 :458
種族 :魔族
レベル:50
魔物:グレムリン
スキル :魔操術レベル9
幻術レベル8
風魔法レベル6
闇魔法レベル8
爪術レベル8
呪術レベル7
特殊技能:擬人化
称号 :十二魔将 第十二席【幻操】
魔王の庇護
魔具 :魔笛ゼブルトス【Aランク】
風繰の指輪【Aランク】
「……!?」
レオナールは、思っていた以上にレベルが高いことに驚愕する。
そんなレオナールを横目で見たルーメンは、テジーから目を逸らさず話し掛ける。
『主よ、そんなに驚くことはないわい。魔族と言うのは、魔物が悠久の時をかけて生き抜き昇華した存在ーーあるいは、何かしらの偶発的な事象によって突然変異した存在と言われておる。奴は、おそらく後者じゃろう。
奴等は、魔族に至る際に今迄の経験を糧として新たな力を授かるんじゃ。それは、元となった魔物の種族や経験によって何が与えられるかは分からん。それに、魔族に至ったことで知能を有し本能が使っていた魔力を自らの力で練ることが出来る。そうすることで、擬人化が可能となるのじゃ。
儂等龍族も一種の魔物……儂等ぐらいになると、今は、上手く魔力を練れんから無理じゃが擬人化も容易い。即ち、少なからず魔族と同様に考える者もおるのも事実じゃ。まぁ……元から知能が高い龍族が魔族化する事は有り得ん。そもそも龍である事に誇りを持っているからこそ古龍に至った眷属でも生涯龍で過ごすんじゃよ。知能のない亜竜共なら魔族に至るかもしれんが、儂等龍族が魔族と一緒にされるのは面白く無いジョークじゃがの。』
ルーメンは、レオナールにそう説明する。すると、魔族の男は、パチパチと手を叩きながら笑みを浮かべていた。
「そこまで我々の事を知っていようとは、感服致しました。そうですか、今の話を聞いて合点がいきました。属性龍なんぞと間違えてしまい申し訳ありません。この覇気、魔力の質ともに敵わないのも納得です。伝説に近い存在……龍王種でしたか。」
テジーは、今迄にない真剣な表情を浮かべ納得する。そして、ポンと手を叩き話を続けた。
「良い案が浮かびました!龍王達よ!我が至高の御方の元に参りませんか?貴方達ならあの御方も喜んで軍門に下ることを認めていただけるでしょう。魔力が高いとは言え、そんな人族の子供に使役されるのは苦痛ではありませんか?一緒に世界を支配致しましょう!」
テジーは、手を広げ演説家の様に立ち振る舞い熱演する。
だが、龍達は呆れたように返答した。
『馬鹿が居るのね。』
『馬鹿だね。』
『お主、知的に振るっとるようじゃが本質は馬鹿なんじゃの?儂等龍王種がそう簡単に従魔になると思っておるのか?もし、主がたわいもない弱者であれば、召喚された時点で殺しておるわい。この者は、儂等七龍を統べる者としてこの上ない存在じゃからこそ従っておるのじゃよ。』
そう言い放ったルーメンが、レオナールに視線を注ぐと同時にテラとウェントスも相槌をうち肯定した。
「龍等そこまで俺の事を……。」
龍達の言葉に感動し声を詰まらせるレオナール。そんな中、テラがボソッと本音を漏らす。
『……まあ、少し人の食べ物にも興味があったのは事実なのね。(ボソッ。)』
………………………。
『ウゲッッ!!』
静まり返る場の雰囲気をウェントスの尾がテラの後頭部を打ちのめしルーメンが答える。
『まあそういう理由じゃから断らせてもらおう。』
ルーメンは、至って何事も無かったかのように真剣な面持ちでテジーに言い放った。
(俺の感動を返せ!!)
レオナールは、内心呆れ怒るも直ぐ気持ちを入れ替えテジーと相対する。
「……まあいいでしょう。残念ですが今は諦めましょう。それにしても、このままでは例え私と言えど分が悪いですね。」
テジーは、呆れた表情を一瞬浮かべながらも直ぐに戦況の悪さを鑑みて真剣な表情に戻り思考する。
「……ああ、一つだけ良い手が残っておりましたね。そこの貴方、レオナールと言いましたか?一つ取引を致しませんか?」
テジーは、この上ない奇妙な笑みを浮かべレオナールに尋ねる。
「取引だと?」
レオナールは、眉を顰めテジーの発言に答えた。
「そうです、取引です。実は、先程王都にほど近い場所に居る私の使い魔から連絡がありました。『抹殺対象の周囲を取り巻いていた邪魔者が居なくなった』……とね。」
テジーは、更に深い笑みを浮かべレオナールを見つめる。
レオナールは、一瞬の内に抹殺対象が誰なのか理解してしまった。
「貴様!!ティアに何をする気だ!?」
レオナールは、怒りに震えつつ声を張り上げる。
「いえいえ、まだ何もしていませんよ?クフフフフフ、やはり憎っくき聖女の傍にいたのは、貴方達でしたか。ーー4年。いや、もう5年になりますか……馬鹿な人族を使って聖女を拉致し抹殺しようと画策しましたが、すんでのところで失敗……王都に突如として現れた莫大な魔力によって一時撤退したのです。それからというもの、何度も使い魔を用いて抹殺を試みようとしましたが、その元凶たる魔力の持ち主やその他の要因達によって使い魔が恐れ慄き尽く失敗……ここ最近に至っては、聖女の身近にその元凶が寄り添っているとの報告がありました。それもその筈ですね。こんな化物相手だと使い魔には荷が重い。」
テジーは、過去に自らが起こした事件を暴露しレオナールに揺さぶり掛ける。
レオナールは、歯を噛み締めながら真剣な表情を浮かべテジーの次の言葉を待った。
「そこでです。今現在、私はいつでも抹殺の指示が出せます。しかし、そんなことをしてしまうと例え聖女が殺せようとも真っ先に私が龍王達に殺されるでしょう。それは、私も望んでおりません。」
「なら、何が言いたい?」
レオナールは、芝居掛かったように話し続けるテジーを憎々し気に見つめ答える。
対して、テジーはニヤリと更に笑みを浮かべ話を続ける。
「私は、貴方との一騎打ちを望みます。勿論のこと龍王達の援助は無しですが、ハンデを与えましょう。どうでしょうか?」
そう言い放ったテジーは、レオナールが断れないと確信したような恍惚とした笑みを浮かべていた……。
次回、幻操VSレオナール!!
区切りいいのでここで切りました!
相変わらずのスロー更新になってしまっていますが、必ず更新は続けていくので長い目でお付き合いください汗
次回更新は、12日日曜日を仮予定とさせていただきます。遅くても15日には更新頑張ります。
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執筆活動再開致します。
次話は、近日中に公開致します。遅くても15日には確実に投稿させていただきたいと思います^ ^
百名ほどブックマーク外されてしまいましたが、信じて残ってくださった方々ありがとうございます。
これからも七龍の契約者をよろしくお願いします^ ^
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