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七龍の契約者  作者: Light
第一章 少年期(仮)
33/59

東部動乱 Part4

長い間お待たせしてすいません……何度も書き直してある程度納得できる内容がかけました。思い描いてる内容を文章に起こすことが難しく思考錯誤致しました。


変な文章になっているところもあるかと思いますが、楽しんでいただければ幸いです。


あと感想ありがとうございます。戦争の人数の規模等ご指摘いただいたところは後日調整しようと思っています。また、こんな表記にした方がいいのでは無いか?という文章があればご指摘下さい。


◇ー中央軍シュルク公爵sideー◇


中央軍を束ねるレイン・フォン・シュルクは、陣後方より的確な指示を飛ばし開戦より鐘が二つ鳴ろうかという時間が過ぎ去って尚善戦を敷いていた。


ーーそんなレインは今……本陣からの報告を受け困惑していた。



「どういうことだ?我々が、深入りしている(・・・・・・・)だと?」



レインは、報告書の内容に目を通し思わず口に漏らす。



「何だこの出鱈目な報告は?反乱軍の情報工作か?……いや、あり得んな。明らさまな虚偽情報なんぞ意味を持たないだろう。……とすると真実なのか?仮にそうだとすれば、我々が見ているこの戦況は何だというんだ?」



レインは、ボソボソと自問自答すると顔を上げ戦場に目を移す。


するとそこには、左右の軍が中央軍と比べて明らかに進軍し敵軍と相対している姿があった……そう、中央軍にいる者達は、他の者達とは全く異なる戦況を見ていたのだ。



レインは、報告内容との食い違いに頭を抱えながらも思考を巡らす。しかし、求める答えが出る筈がなかった。

このまま出もしない答えを考え続けることは、要らぬ時間を取らす愚行……レインは、そんな些細な時間が指示の遅れを生み、従軍している者達の生死を分ける重要な分岐点となることを知っていた。


レインは、そんな考えから本陣の指示通り後退させようと行動に移す。



「前線に伝令を出せ!本陣の指示通り直ちに陣を後退させる……のだ。」



ーーだが、現実はそう甘くはなかった。陣を後退させようと思った矢先……レインは、思わぬ現象を目の当たりにし尻すぼみに声を失った。



中央軍前線に置いて敵兵士達の姿が忽然と消えた(・・・・・・)のだ。



レインは、そんなあり得ない不可思議な状況に硬直する。そして、更に畳み掛けるようにそれ(・・)は起こった。



「どういうことだ……私は、夢でも見ているのか?」



レインは、ボソリと声を漏らし視線を上空に彷徨わせる。



そんなレインの視線の先には、夥しい数の火球が上空に出現していた。その火球は、流星の如く最前線に降り注ぎ天変地異でも起こったかのような轟音が王国軍全体に響き渡らせる。



余りの出来事に時を忘れ、呆然と見つめていたレイン。暫くすると一人の兵士が馬を走らせ、行軍の流れに逆らって駆け寄ってくることに気付く。



「伝令です!最前線にてダラス・フォン・リッツ男爵並びにベナー・フォン・ルガル準男爵が討死されました。また、リッツ男爵をはじめ騎士爵数家を加え死傷者数は3万以上、尚も被害増大中!」



「どういうことだ!?何が起こったんだ!?」



「ハッ!そ、それが……。」



レインは、兵士からの報告を聞き驚愕の表情を浮かべる。

そして、さらに前線からもたらされた慮外な報告を聞き憤怒の表情を浮かべ指示を飛ばす。



「冒険者達に加え、何だってそんな化け物(・・・)までいるんだ!?前線に伝令だ!直ちに全軍後退せよ!前線部隊の生き残りを……その者(・・・)に関する詳細を知っている者を連れて来るのだ!」



近衛兵士達は、レインの怒号のような指示に一瞬戸惑いを見せつつも直ぐさま行動に移る。

……その後、レインは、前線部隊の生き残りから情報を聞き出し本陣に伝令を走らせるのだった。




◇ーー中央軍最前線ーー◇




ーー時は少し遡り、中央軍最前線にて醜悪な表情を浮かべる一人の男が戦場を駆けていた。


「ハハハ!弱い、弱すぎるぞ!!」


ダラスは、声を高らかに張り上げつつ魔法を用いて敵陣に切り込んでいた。そして、その背後には、痩せ細った卑しげな笑みを浮かべる男が追従しダラスに話し掛ける。



「流石は、ダラス様!これ程お強い方は見た事もありません。最前線に配置された時は、どうなる事かと思いましたが……このベナーの目に狂いはありませんでした。この調子で敵将の首を取ってくれましょうぞ!我々の罪なんぞ余りあるその功績で相殺、いや陞爵も夢ではないかと!」


ベナーは、ダラスを待ち上げるように会話を弾ませつつ擦れ違う敵兵士を斬り捨て馬で歩み寄る。



本来、最前線に割り当てられる貴族は、名誉貴族を始めとした下級貴族から順に割り当てられる。だが、例外も存在した。不正を働いた者等の処罰……所謂、国に対し害したと判断された者達が割り当てられる事もあるのだ。

ダラスやベナーもまたその一人であり、つい先日、脱税や横領等といった様々な罪を犯したがために処罰として最前線に割り当てられたのだ。



「陞爵か……ふふふ。こんな雑魚共相手の前線に配属させられたのも天啓かもしれぬな。」



ダラスは、不敵な笑みを浮かべつつ陞爵した後の未来を思い浮かべ思いを馳せる。



ーーそんな時だった。ダラスの目の前にあった筈の亡骸が……風魔法で斬り殺した筈の敵兵士が、跡形も無く消え去ったのだ。



「何っ!?」



ダラスは、急ぎ馬で歩み寄り亡骸があったはずの地面を見つめる。だが、そこには血溜まりすらなく何事も無かったかのように青々と茂る草花のみが残っていた。



ダラスは、ハッと顔を上げ周囲を見回す。すると、少し前にベナーが切り捨てた筈の兵士や、周辺で戦闘していた筈の私兵達の敵兵もまた消失し、味方の亡骸のみがその場に残される……そんな同様の出来事が中央軍前線に瞬時に波及していた。



「これは、何が起こっているのでしょうか……?」



ベナーは、青白い顔を浮かべながらダナンに恐る恐る話し掛ける。



「そ、そんなこと私にも分かるわけないだろうがっ!!」



ダナンは、ベナーに振り向きながら同様の表情を浮かべ、狼狽し手綱を握り締めながら怒りの声を上げた。



ーーそんな中、大きく開けた戦場に一人の人物が反乱軍本陣の方向から不気味な笑い声をあげながら歩み寄る。



「クフフフフ。こんなにも恙無つつがなく事が運ぶとは、人族ゴミは、やはり人族ゴミと言うわけですね。全く以って嘆かわしい事この上ない。私の幻とも気付かず戦っている姿は、中々に滑稽で楽しめましたよ。」


その人物は、漆黒のローブに全身を包まれているものの骨格、声質は共に男性に相違なかった。そんな男が嬉々としてダナン達に話し掛けた。


対してダナン達はと言うと、その者から溢れる禍々しい気配と底知れない恐怖に金縛りにあったかのように動けず立ち尽くしていた。


そんな恐々とした様相を呈していたダナン達を見据えて更に男は口を割く。



「それはそうと、私も少々疲れましたね。態々、人族ゴミに大人気もなく全力を奮ってしまったことは謝罪致しましょう。私は、テジー。栄えある至高の御方のお仕えする十二魔将トウェルヴが一人……『幻操』のテジーと申します。以後お見知りおきを……と言っても無理でしょうがね。」



テジーが話している最中、反乱軍の陣営より数多の詠唱が響き渡っていた。そこには、多くの冒険者や奴隷達が一心不乱に詠唱し、テジーの話が終わる頃には夥しい数の火球が上空に出現していたのだ。


その火球は、流星の如く轟音と共に最前線に降り注ぐ。猛々しく燃え盛る業火を目にしたのを最後にダナン達は、その生涯を閉じることになった。



「さあ、行軍パレードと参りましょう。」



テジーは、壊れたような笑みを浮かべ高らかに宣言する。

この時より、反乱軍の進撃が始まるのだった。





◇ーー王国軍本陣アリウスsideーー◇



軍議天幕内では、中央軍に流星の如く火球が降り注ぐという予想だにしない状況に混乱を極めていた。そんな中、シュルク公爵より伝令の兵士が到着する。



「中央軍シュルク公爵より伝令!中央軍最前線に置いて、テジーと名乗る魔族の介入により部隊は壊滅。公爵閣下の判断にて部隊の後退を指示し戦線を持ち直す予定とのこと。しかし、敵軍の進軍が異常に早く、今だ戦線は総崩れ状態にあるようです!」


中央軍の伝令によって齎された情報は、王国軍本陣のいる者達に更に混乱を与えた。


「魔族だと!?彼奴らは、大陸から出てこないではないか!何かの間違いではないのか!?」


「いや、だが魔族が相手方にいるとなれば不可思議な事も説明がつく。あの奴隷や冒険者共の理不尽な魔法や力……魔族が何らかの術で関わっているとしたらあり得るのではないか?」


「いったいシュルク卿は、何をされているのだ!このままでは此処も危ないのではないか!?」


天幕の内にて様々な論争が飛び交う最中、アリウスは真剣な面持ちで情報を整理し口を開いた。


「ナイゼル、シュルク卿は何処まで下がって対処しているか分かるか?それに伴って魔族の率いる敵軍は何処まで進軍している?左右の軍でフォローできないか?」


「そうですな……。報告によると、中央軍の戦線は目と鼻の先まで下がっているようです。敵中央軍は、魔族が要因でしょうが例の残存していた冒険者や奴隷、新兵といった者達を用いて上級魔法を惜しみなく使い捨てつつ進軍しています。既に左軍と右軍には救援要請を出しています。しかし、今直ぐにとは、いかないようです。」


ナイゼルは、苦虫を潰したような表情を浮かべアリウスに報告する。


「やはり左右の軍でも冒険者達の足止めを食らっているのか……。しかし、そもそも攻めすぎた理由は何だ?あのシュルク卿が気付かないなんて事は無いだろう?」


アリウスは、ナイゼルの報告を聞き更に思考を巡らし、疑問を伝令を齎した兵士に視線を向ける。


「その件に関しましては、全てあの魔族による影響かと思われます。我々中央軍にいた者達は、途中まで明らかに左軍や右軍と比べ進軍状況が遅れていたのですが……敵兵士の姿が無くなったと思った直後、深入りし孤立しておりました。推察ですが、我々中央軍はあの魔族の幻術に嵌められていたのでは無いかと愚考致します。」


兵士は、片膝立ちの姿勢で自らの考えをアリウスに上申する。


「なるほどな……そういうことか。」


アリウスは、納得した表情を浮かべ声を漏らした。

ナイゼルは、そんなアリウスに対し意を決したような面持ちで進言する。


「殿下、このままでは我が軍は敗れるやもしれません。ここは、一度撤退し立て直す必要があるかと思われます。ご決断を!」


アリウスは、ナイゼルの進言を聞き眉を顰め思案する。しかし、ナイゼルの案は、最適解であることに変わりはなかった。


アリウスは、目を見開き真剣な面持ちで指示を飛ばそうと立ち上がる。



ーーそんな時だった。慌てた様子の兵士が無断で天幕内に入ってきたのだ。



「きゅ、急報です!我が軍の上空に多数のドラゴンが現れました!!」



天幕内は、さらなる混乱に包まれる。そんな中、アリウスは一人笑みを浮かべていた。

やっと、ここまでもってこれました!

ここから主人公のターンです!


更新スピード遅いかもしれませんが、一週間に一度は進捗状況をお伝えいたします。一応予定では、来週日曜日21時更新できるように頑張ります汗

もし、それよりも早く更新出来そうであればまた此方にて追伸させていただきます!


追記2月12日

現在、次話の最後の切り方を四苦八苦して訂正してます汗




最後まで書ききる所存ですので長い目でお付き合いください。


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