異変
感想ありがとうございます。
今回の話から、物語は序章のメインの話に差し掛かってきます。
拙い文章と、ストーリー構成で申し訳ないですが少しでも楽しんでいただければ幸いです^ ^
良ければ、評価やブックマーク、レビューをよろしくお願い致します。
「……ふぅ。じゃぁ今日は、ここまでにしよう。」
レオナールは、額の汗を右腕で拭いながらアリウスに話し掛ける。
「はぁ…はぁ…。そうだな……それにしても、お前は本当に底無しだな。」
アリウスは、地面に座り込みながら息を整え、レオナールに呆れながら呟いた。
「ん?魔力のことか?」
「いやいや、それもあるが体力云々含めてだよ。」
「まぁ〜小さい頃から父さんに鍛えられたからなぁ〜。いや、マジで死ぬかと思ったけど……。」
レオナールは、アリウスとの問答で過去を思い出しながら溜息を吐く。
アリウスは、そんなレオナールに対して大きな溜息を吐きながら悲痛な声色で言葉を返す。
「お前が言うなお前が!確かに私が教えを請うよう頼んだといっても、この一年と半年どんだけ死ぬと思ったか……。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ーーそう。あれから一年半の時が経過した。
アリウスは、昨年王立クロス学園を卒業し成人した。これから王太子の儀を控えているといった状況だ。
この一年半の特訓では、同じ大剣術や盾術があるため剣と盾をジーク流の特訓方法(地獄行き)で、魔法を俺流の特訓方法で行った。
アリウスは、そんな厳しい特訓の成果もあってかスキルが軒並み上がり剣も魔法も全て上級者の域に達している。また、魔法に関しては無詠唱までも習得出来ている。だが、達人の域の壁が高いらしくまだまだ研鑽が必要な状況だ。そんなアリウスのステータスはこんな感じに成長した。
名前 :アリウス・ファウスト・アーリナル
性別 :男
年齢 :15
種族 :人族
レベル:26
職業:魔法剣士
スキル:大剣術レベル6
盾術レベル6
火魔法レベル7
水魔法レベル6
土魔法レベル6
風魔法レベル7
固有スキル:真偽の魔眼
称号 :アーリナル王国第一王子
魔眼保持者
正直言おう……たった一年半でこれ程までにスキルが上がるとは俺も思ってもいなかった。それ程までのポテンシャルを持つアリウスは、やはり天才なのだと俺は思う。
そんなアリウスはと言うと、本人もここまでスキルレベルが上がるなんて思っていなかったみたいでスキルレベルが上がるに連れて口角を引き攣らせていた。
また学園では、上級者の域に達した者の一部が使える無詠唱を使えるようになったことや、剣も魔法も軒並み上級者の域に達したことで、今まででさえ天才と呼ばれていたのだが卒業間近には、鬼才、神童……裏では、怪物等と呼ばれ本人も辟易していたとか。
あぁ……あとついでにと言ったらとなんだけど、訓練を開始した際に本人達の希望でティアやリリルさんにも魔法の特訓を行った。
ティアは、やはり呪いの影響なのか魔力を上手く練れず特訓が思うように出来なくてスキルレベルは上がらなかったんだ。でも、全く魔力が使えない訳ではなかったから一年掛けて無詠唱を習得出来たのは大きかったかな。
リリルさんについては、暗殺者の職業の適性で風魔法を習得しやすいため風魔法の特訓を行った。
リリルさんは、「私は、昔から魔力の使い方が不慣れで魔法を使えた試しがないのですが……。」等とボヤいていたため、俺は「大丈夫すぐ使えるようにして見せるさ!俺に不可能の文字はない!」と、意気揚々に胸張って宣言し特訓を開始した。
……。
ごめんなさい。結果、魔法は習得出来たけど一年も掛かりました。リリルさんには、凄く喜んでもらえて感謝されたけど俺の予定では適性もあるし直ぐに覚えれると思ってました……。
そんなリリルさんは、風魔法を習得出来てからコツを掴めたみたいで、この半年で中級者の域に達することができた。だけど、元々リリルさんは、魔法が苦手なのもあるのか初級者の壁を突破できたと同時に成長がピタリと止まってしまった。
まぁ本人は中級者の域に達することが出来たことで敏捷速度をあげる補助魔法や牽制に風魔法を使えるようになったことで微塵も成長が止まったことを気にしていなかったみたいだけど……。
一応、これが一年半のアリウス達の成果かな!
そして龍達はと言うと、頭から尾までの全長が4m半、普通に立つと3mと言ったところまで成長した。以前は、身体が小さかったから乗るのが怖かったけど今なら安心して乗れそうかな?
ーーそう思って、練兵場でイグニスに跨って「気分転換に遠出しないか?ティアの呪詛返しにもなるかも知れないし。」……ってアリウスに提案したんだけど、物凄い形相で「お前は、国中を恐怖の災禍に陥れる気か!!」って怒られたんだよな。
考えたら当たり前だわな……ごめんなさい。ただでさえ、龍ってだけで恐怖の代名詞なのに国のど真ん中から龍が飛び出したらパニックになるよな。
まあ〜反省はさておき、最後に俺はどうなったかと言うと身長は140㎝くらいに成長し、そこそこレベルも上がった。そして、スキルに関しては、全てレベル7以上に上がったよ。火魔法は達人の域に達することができたけど……他の魔法は、達人の域への壁が高くて上がる気配すらないと言ったところだな。
因みにステータスはこんな感じ……
名前 :レオナール・フォン・グリューゲル
性別 :男
年齢 :11
種族 :人族
レベル:25
職業:召喚士
スキル:召喚術レベル10
【火龍王 イグニス】
【水龍王 アクア 】
【地龍王 テラ】
【風龍王 ウェントス】
【雷龍王 フルメン 】
【光龍王 ルーメン】
【闇龍王 テネブラエ】
大剣術レベル7
盾術レベル7
火魔法レベル8
水魔法レベル7
風魔法レベル7
地魔法レベル7
雷魔法レベル7
光魔法レベル7
闇魔法レベル7
称号 :グリューゲル家嫡男
転生者(他者からの閲覧禁止)
女神の加護(他者からの閲覧禁止)
まあ色々あったけど、成長出来たし充実した1年と半年だったかな。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「まあそういうなよ、死んだわけじゃないんだし。そんなことより、王太子の儀ってまだしないのか?成人したらするんだろ?」
レオナールは、この1年半を思い出しつつアリウスの悲痛な訴えを聞き流し話を進める。
「お、お前、そんなことってなんだ、そんなことって!?…………いや、もういい。効果があったのは確かだし、何を言っても変わらないしな。」
アリウスは、レオナールの言葉に一瞬反応するが、力がついたのはまぎれもない事実であるため半ば諦める形で更に話を続ける。
「王太子の儀は、先代の父上の時には成人して直ぐにしたみたいだが今年はまだ先だな。今年は、獣王国との交友式があるだろ?あれの影響で父上や一部の軍が獣王国に遠征しなければならないから式典を終えて戻ってきてからになると思う。」
交友式とは、カレイル獣王国との友好関係の継続を祝う重要な式典である。交友式は、二年に一度お互いの国へ交互に赴き、技術交換やお互いの国の精鋭達による闘技大会等が催される。また、重要な政治的な会談も行われるのだ。そして、式典終了時に友好関係を継続する旨の契約書に調印する流れとなるのだ。
「……ああ、そういや今年は獣王国で開催だったな。確かあと二週間もしたら開催の時期だろ?もうそろそろ出発なんじゃないか?」
レオナールは、アリウスの話を聞き納得した表情を浮かべながら、開催時期を思い出し質問する。
「レオ、名誉貴族とはいえ貴族なんだから国の行事ぐらい覚えておけよ。明日出発式をして出発になる予定だ。」
アリウスは、レオナールの言動に呆れながら答える。
「……そうだっけ?すまん忘れてた。そういえば、アリウスは行かないのか?」
「私とティアは、留守番だ。国を開けて何かあってからじゃ遅いしな。」
アリウスは、立ち上がり土を落としながらレオナールに返答し、更に話し続ける。
「それにしても、今日は、これからどうするんだ?」
「ん〜そうだな。ちょっと小腹空いたし露店でも寄りながら帰ろうかな。それがどうかしたか?」
レオナールは、少し考えた後にアリウスに返答した。
「いや、それなら丁度いい。今日はティアやリリルもここには居ないし、抜け出そうと思ったんだ。いつもの場所で待っていてくれ。」
「またかよ……。また、リリルさんに叱られるぞ。」
「まぁそういうなよ。民を暮らしを知るいい機会だろ。じゃまた後でな。」
アリウスは、言いたいことを言い終えると練兵場から去っていく。
そんなアリウスの後ろ姿を見つめつつレオナールは、独り言ちた。
「毎回俺の返事は、聞かずとも決定なんだよな……。まぁ、暇だし良いんだけど。」
そういいつつ練兵場を後にするレオナールだった。
◇ーー商業区ーー◇
レオナールは、国の中心街である商業区の噴水の前で待つ事、数刻……ローブを着て目元まで隠した魔術師風の男が近寄ってきた。
「すまない。待たせたな。」
「いや、それほど待ってないさ。それにしても、いつも思うがお前の変装は完璧だな……アリウス。」
レオナールは、アリウスのどこからどう見ても魔術師の冒険者にしか見えない装いに感心する。
「この姿の時は、アルと呼べと言ってるだろ。それよりも、さっさといくぞ!」
「ああ、すまん。はいよ、了ー解!」
アリウスは、レオナールに呼び方を注意しつつ露店街に向け足を進める。
レオナールは、そんなアリウスに短く返答し背を追い掛けるように追従する。
◇ーー露店街ーー◇
数多くの屋台が立ち並ぶ王国の台所ともいうべきこの露店街は、国民にとっても重要な立ち位置にある。
新鮮な魔物の肉や野菜、はたまた武器や防具、魔道具等様々な店が栄えているのだ。
中には、露店というよりも店舗を構えている大手の商人もいるが高ランクの冒険者や貴族向けの値段設定となっている。
そんな喧騒な露店街を練り歩くアリウスとレオナール。
そんな二人に目を掛けた露店の男が声を掛けてきた。
「おい、そこの冒険者の兄ちゃん達!うちのオークの肉を食っていかねぇか?安くしてオークは、一本鉄貨1枚だ!」
「おっ、本当か?じゃ二本貰おうかな。」
「毎度あり!」
レオナールは、露店の壮年な男に返答し金銭を渡して二本のオークの串を受け取る。
アリウスとレオナールは、肉汁滴るオークの肉を食し頬を緩ませる。
「美味い!やはりここで食べるのは違うな。いつもの食事は美味いんだが、これとは違った美味さだし。」
アリウスは、ゆっくりと噛み締めながら声を漏らす。
対してレオナールは、あっという間に食べ終えお代わりを催促していた。
「うん、やっぱり美味いな!おっちゃんもう一本くれ。」
「おう、毎度あり!いや、丁度良かったぜ。最近若い冒険者の多くが東に流れちまってな。売れ残って廃棄するのが勿体無かったんだよ。」
露店の男は、店の近況を呟きながらオークの串をレオナールに手渡す。
アリウスは、そんな露店の男のボヤくように呟いた言葉に眉を顰め聞き返す。
「ん?どういうことだ?なんで東に?」
「お前ら、冒険者なのに知らないのか?HランクからEランクの冒険者がグラエス公爵様の依頼で集まってるらしいぞ。なんでも、簡単な仕事で低ランクの割に金払いがいいんだとよ。本当にいい迷惑だぜ。」
露店の男は、肩を竦めながら苦々しい表情で呟く。
アリウスは、男の話を聞いて更に眉を顰めて考え込む。
「それは変だな。何故低ランクの冒険者を集める必要があるんだ?魔物が氾濫したのか?いや、それなら高ランクの冒険者を招集するだろうし。そもそも、そんな魔物の報告もないし、怪しい行動があれば密偵からの報告に上がっても可笑しくないのに聞いたことがないぞ?」
アリウスは、ボソボソとレオナールに呟く。
レオナールは、そんなアリウスに苦笑を浮かべながら話し掛けた。
「……なあ、アル。なんか嫌な予感がするのは俺だけかな?」
「いや、私もだ……父上に報告して少し探ってみよう。」
アリウスとレオナールは、嫌な予感を抱きつつも店を後にするのだった。
ーー翌日、大々的に出発式が執り行われ、国王と王妃並びに近衛兵や宮廷魔術師達の一部約千人がカレイル獣王国に向けて出発した。
そして、さらに五日経ったこの日……事件は起こった。
(補足)
0時、3時、6時、9時、12時、15時、18時、21時
この世界では時計は希少なため、それぞれ時間になると鐘が鳴ります。
0時になったら鐘が一回(一の鐘)
3時なら二回(二の鐘)
6時なら三回(三の鐘)…といったように鳴ります。
一年は地球と似ていて360日の12ヶ月設定です。
ただ少し季節がズレています。
1月〜3月 水の季節[冬
4月〜6月 土の季節[春
7月〜9月 火の季節[夏
10月〜12月風の季節[秋
ただ12ヶ月といっても
1月=水の季節初期
2月=水の季節中期
3月=水の季節後期
…等と文章中には今後表記します。
貨幣価値
鉄貨1枚=100円
大鉄貨1枚=500円
銅貨1枚=1000円
大銅貨1枚=5000円
銀貨1枚=10000円
大銀貨1枚=50000円
金貨1枚=100000円
大金貨1枚=500000円
白金貨1枚=1000000円
となります。
因みに一般的な家庭では、一月の食費は4人で銀貨2枚あれば十分暮らせます。1枚でも多少貧しくとも生活はできます。
年末になり、仕事に加え忘年会の演し物の練習等でてんてこ舞いになってます汗
文字数は4000〜6000字くらいになるように物語を書いていきたいと思いますので12月の間は週1更新になるかと思います。申し訳ありません。
もし、日曜日以外に更新出来そうなら追記でこの後書きに記載します。
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