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異世界の流儀  作者: 千路文也
第一章
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011  己の力で切り開く


 人生を賭けた闘いの中で、明は決して折れずに自分との格闘を続けていた。どうしても強敵と相対した時には相手の実力に囚われがちだが、明はそうではなく自分の実力が足りないのだと考えていた。特別相手が強い訳では無い。いつもちょっとした経験の差が相手を強敵だと錯覚させてしまっていた。本当は人間と戦う以上は決定的な差など存在しない。同じ人間なのだから才能の差はあるかもしれないが、そんなものは努力次第でどうとでもなる。明がその結論に至ってからは強者と呼ばれる人に戦いを挑み続けて勝利を手にしてきた。勝利こそが全てを可能にさせる唯一の手段であり、自信を生み出すエネルギーになる。普通はそう思いがちだが、それも違っていた。明の中で勝利とは何気ない日常生活から脱出するための過程を生み出す必要な行為である。すなわち、勝利よりも勝利のために努力をする過程の方が大事なのだと知っていた。常に平常心を失わずに適切な判断を下せるのもそれが理由だ。ちゃんとした過程を踏んでいるため、経験に基づいた直感が働く。直感に頼る生き方もまた、明にとっては特別な瞬間であるのは間違いない。全ては努力していく過程と生み出すために、前進を続けるのみである。過程をすっ飛ばして何かを得ようとするのは自殺行為と同じ。そんな愚かな行為をしたくは無かったので勝利を掴むための努力は最低限行う。近頃は努力をせずに圧倒的な力を得たいという若者が増えているそうだが、努力をしないのはあまりにも勿体ない。たとえ結果が出なくても、努力をするだけ自信に満ち溢れた日々が待っているというのに。


 そんな事を呑気に考えていると、不意に自分のズボンが何者かに引っ張られている感覚を抱いていた。なにげなく横を振り返るとエレナが小さな両手で明のズボンを引っ張っているではないか。無論、彼女の小さな力で2メートル越えのアスリートを動かせる筈も無かった。そして彼女は口を動かして必死に何かを伝えようとしている。


「は、はやく行きましょうよ。あのドラゴンが目を覚ます前に!」


 よほど、目の前に聳え寝ているドラゴンが怖いようだ。それも無理は無い。なんせ眼前のドラゴンは威圧感に溢れる茶色の鱗をしていて、寝息だけでも大砲が発射されるような巨大な音を立てている。どうあがいてもタダの人間では勝てない相手だ。しかし、そんな人外が相手でも未来は己の手で切り開くものだと自信を持っている言えるのが明の特徴である。ようするにハイパーポジティブシンキングを持続しているのだ。





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