そもそも、いい戦闘シーンとは何だろう?
今回のテーマはずばり、いい戦闘シーンとは何か?
これについて考えてみたいと思います。
戦闘シーンの書き方について基礎的な部分の話は出し尽くしたと思うので、それらを踏まえた上で戦闘シーンの良し悪しとは何かを考察していきましょう。
先に自分なりに良い戦闘シーンを定義しておきたいと思います。僕が思う良い戦闘シーンの条件とは、
意外性と必然性の交互作用が繰り返し存在している
という風に考えています。
詳しく説明していきます。
ある戦闘シーンにおける流れが以下の通りの場合、それは“普通”の戦闘シーンであると言えます。
対峙⇒攻撃⇒ヒット⇒撃破
これが主人公の戦いであると仮定するなら、戦闘開始から戦闘終了まで、一連の出来事は全て“予定調和”であると言えます。主人公が戦いに勝つというのは当たり前の事実です。読者はそこを疑ったりはしていないでしょう。
読者にとって、そうなるべき、そうなるであろうという予測が立つ部分については“必然性”という言葉で示しておきます。
必然性の高い戦闘の代表格はやはりチート系スキルを使った戦闘ということになるでしょう。
この“必然性”とは逆に、読者にとって意外な部分を“意外性”とします。これは、当たるはずであった攻撃をかわされたり、勝つだろうと思っていた戦闘で負けるパターンですね。
なろうの読者の多くが作品に安心感を求めているというのは頻繁になされる指摘ですが、これを戦闘シーンに置き換えて考えてみると、“必然性”が高い戦闘が好まれるという風に解釈できます。
主人公はチートスキルを使って問答無用で敵を撃破してくれた方が良い、ということです。
ではこれこそが“良い”戦闘シーンなのでしょうか。読者ウケをひとまず除けて考えた場合、これは“良い”戦闘シーンだとは言えないでしょう。
先に述べた自論では、良い戦闘シーンには意外性と必然性の両方が含まれていなくてはなりません。
どういうことか。以下の戦闘の流れを確認してみてください。
対峙⇒攻撃⇒回避される⇒敵の攻撃⇒こちらの回避⇒攻撃⇒ヒット⇒敵に効かない⇒敵の反撃⇒
というように、互いの攻撃を回避したり反撃したりしています。こちらのパターンでは、いくつかの意外性の提示によって読者に驚きと緊張感をもたらしています。
読者は、主人公やそれに類するキャラの戦闘シーンでは、当然のことながら主人公サイドの勝利を予想しながら読んでいますし、同時に主人公サイドの勝利を期待してもいるはずです。
この必然性の部分に対して、“回避”や“反撃”、“敵に効かない”などという項目は全て意外性がある部分だと言えるでしょう。
つまり上記の流れにおいては、意外性と必然性の交互作用が繰り返されている、というわけです。
戦闘シーンは起伏に富んでいるべきだと僕は考えています。主人公のピンチがあってほしいですし、敵にもキャラ立ちが欲しいと思っています。
その為に必要なことは、戦闘シーンの中にいくつもの要素を織り込むことです。
戦闘シーンの大前提は、必然性による決着に辿り着くことです。
負けイベントでもない限り、必然性による決着とは主人公側の勝利です。
ここへ辿り着くのは決定事項として、そこまでの道程にはいくつもの困難を用意しておくべきだと思うのです。
主人公の攻撃が効かない状況であったり、人質を取られて容易に攻撃できなかったり、すんなり勝利とは行かない意外性に満ちた要素を散りばめながらも、一つ一つの局面においては、困難を切り抜ける主人公という必然性によって処理していく。
ハードルが高ければ高いほど、それを乗り越えた時の達成感は大きいものです。
戦闘シーンにおいても、そのような構成になっているのならそれは“良い”戦闘シーンであると言えましょう。
これで“良い”戦闘シーンの定義については納得頂けましたでしょうか。
今回のテーマは重要だと思うので、今後、更に具体的に語っていきます。
次回をお楽しみに!




