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【ノベル6巻発売中!】悪役令嬢の矜持〜婚約者を奪い取って義姉を追い出した私は、どうやら今から破滅するようです。〜  作者: メアリー=ドゥ
八大婚姻祝儀祭

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結婚式【後編】


 続いて入場したのは、ダリステア様。


 手を引くのは、兄であるマレフィデント・アバッカム公爵である。


 エイデスと双璧を成す、ライオネル王国のもう一人の魔導卿。

 二人は学友であり、魔術の腕を競い合ったライバルでもあった。


 金の髪の貴公子然とした容姿で、エイデスと同じく魔導士の礼服を身につけている。

 ダリステア様は、長身に似合う金糸で彩られた、豪奢なドレスを纏っていた。


 前王国王家の血を引く二人。


 その血ゆえに苦労も数多く……パレードの前に、彼女らはやはり、国王陛下の元へと赴いていたらしい。


『何を話されたのですか? 言いたくなければ、良いのですけれど』

『口外出来ないこともございますけれど、お兄様が、ナニャオ殿下に添うことを、話しておられましたわ』


 どこか吹っ切れたようなダリステア様の表情が、印象的で。


 ーーー血筋で争うことは、もうなくなるのね。


 ダリステア様は今日、ツルギスの妻となり、アバッカム家の籍から抜ける。

 そしてマレフィデント様がナニャオ第二王女殿下に添う、ということは……ナニャオ様が降嫁されるのではなく、マレフィデント様の王室入り、となるのだろう。


 それは、アバッカム公爵家が途絶える、ということだ。


 おそらくマレフィデント様は、別の誰かに公爵家を継がせる意思はない。

 ただの恭順ではなく、家を潰して未来の争いの種すらも摘むことを、彼は選んだのだ。


 発表すれば、反発も多くあり、傘下にあった家々が荒れるのは想像に難くない。

 

 けれど、彼らは選んだ。


『支持致しますわ。その勇気を』

『ありがとうございます』


 やり取りは、それだけだった。


 そんなダリステア様の手を取るのは、ウェルミィ達とは反対側に立っていたツルギス。

 デルトラーテ侯爵家長男として、胸元の花に騎士勲章を下げた彼が、ダリステアの手を受けて下がる。


 不器用で、愚直。

 可もなく不可もなく、目立たない……親族はともかく、外野からはそう評され続けて来た彼は、その実、ただの一度も襲い来る困難から逃げなかった。


 その末に、一途に想い続けたダリステアを得た。

 やがては父の跡を継ぎ、ライオネル王国の軍団長として立つのだろう彼を、今は多くの人が祝福している。


 

 ーーーそうして、最後に。



 イオーラお義姉様が、姿を見せた。

 その段になって、おそらくは知らなかったのだろう人々が、ざわりとざわめく。


 お義姉様の手を引いているのは、国王陛下だった。


 ウェルミィにはクラーテスお父様がいるけれど、お義姉様には既に、親がいない。


 実の父母も既に亡く、義理の父母までも。

 しかし繋がりの為に養子に入っているとはいえ、帝国貴族であるロンダリィズ伯爵にそれを頼むわけにもいかず。


 結果、国王陛下がその役目を買って出たのだ。


『どうせ親になるのだ。構いはせんだろう?』

『何で、実の父親から花嫁を受け取らないといけないんですかね……』


 ニヤリと笑った陛下に、レオがとてつもなく嫌そうな顔をしていた。


 そして今、その当事者の一人であるお義姉様が、バージンロードを歩いてくる。


 ーーーなんて美しいのかしら……!!


 それぞれに魅力的だった皆が霞むほどに、お義姉様は輝いていた。

 ドレスの形はウェルミィと同じだけれど、お義姉様の縫い取りやレースは王族の紫である。


 陛下に対する驚きが収まると、集まった皆もほう、と息を吐く。

 顔を隠していても、お義姉様の人を魅了する輝きは少しも損なわれない。



 ーーーウェルミィが、誰よりも幸せになって貰いたかった人。



 薄いヴェールの向こうで、花が綻ぶような笑みを浮かべる口元が見える。

 ウェルミィが溢れそうな涙を堪えて、ぎゅ、とエイデスの手を握ると、彼は小さく握り返してくれた。


 そうしてレオがお義姉様の手を取ると、皆で神前に向き直る。

 司祭として皆の前に立つのは、タイグリム殿下だった。


 奇しくもこの場に揃っている者たちは、皆、ズミアーノが引き起こしたあの事件に関係している者ばかりだった。


 その場の誰よりも、何故か満足げに見えるタイグリム殿下の前に一組ずつ進み出て、誓いの言葉とキスを交わしていく。


 真っ赤なテレサロと、真剣な表情のソフォイル。

 照れ臭そうなニニーナと、いつも通りニヤニヤするズミアーノ。

 

 そうして、ウェルミィの番が来る。


「生きとし生ける限り、伴侶を愛することを誓いますか?」

「「誓います」」


 答えて、お互いに向き合い……エイデスがヴェールに手を添えて、そっと捲り上げる。

 ウェルミィ自身は、口づけももう慣れたものだけれど……それでもやっぱり、皆の前で、となると恥ずかしさが込み上げた。


 でも、なるべく凛として、エイデスと唇を重ねる。


 軽く触れる程度。


 そうして、軽く頬を紅潮させたダリステア様と、固い表情のツルギス。

 内心はともかく、完璧な淑女の微笑みを浮かべたお義姉様と、何故か余裕そうなレオの誓いも終わって。


「婚姻の誓いは交わされました。そなたらの道行きに、幸多からんことを」

『ライオネル王国の未来に』


 タイグリム殿下の言葉に、全員で唱和して。



 ーーーこの日、ウェルミィは正式にエイデス・オルミラージュの妻となった。



 

残り一話で、結婚式編は終わりです!


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― 新着の感想 ―
幸せ夫婦大量爆誕で満足げなタイグリムほんと草
[良い点]  おめでとう、皆……!(神回ィッ!)
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