シュタイン軍が動き出して使者が来ました
私はそれから頑張って毎日訓練に明け暮れた。
国王がそんなことしていていいのか?
確かに……でも、優秀な宰相もいるし、文官も優秀だ。
任せておけば問題ない。
もっか新生竜王国の最大の課題は、我が国にちょっかいを出してくる教会やシュタイン王国から攻撃された時にそれを叩き潰して、二度と余計な事を出来ないほどに叩き潰すことだ。
幸いなことに教会は叩き潰したし、次はまだほとんど無傷のシュタイン王国が残っている。
また、教会みたいに怪しげな秘宝を持っているとやばいので、それに対するためには訓練しかない!
そう叫んで、マトライから逃げてきたのだ。
はんこ押しを一日中やってはいられない。
そもそも見てもよくわからないし。
そういう人間は余計な口を出してはいけないのだ。
大漢帝国の始祖劉邦はそうだった。
内政は蕭何に、謀は張良に、軍事は韓信に任せたのだ。
私の場合は内政はマトライに、軍事は自分でやる。
謀は……いない、
だからこの前も引っかかったのか?
まあ、マトライもレナードもレックスも腹黒みたいだから、3人合わせたら、なんとかなるだろう。
そして、任せたら撤頭徹尾、任せるのだ。
だから私は朝から夜まで訓練に明け暮れたのだ。
と言うことで、私は毎日早朝裏山に籠もって訓練したのだ。
もう必死に。
剣を振り、現れた魔物を倒し、剣を振ったのだ。
そして、2週間が経った。
私はその日も裏山のダンジョンに潜ってサラマンダーと対峙していた。
サラマンダー、火を纏う竜だと昔は思っていたら、ドラちゃんに剥れられた。レナードに聞いたらサラマンダーは、火を纏うトカゲだそうだ。
「そんなに変わらないじゃん」
と言ったらドラちゃんがますます怒り出しして、機嫌を直させるのに食べさせてあげた魔物のお肉を刈るのに結構大変だった。ドラちゃんは結構大食漢なのだ。
そして、今日は素手で倒す訓練だ。
聖剣に頼らないにはまず素手も鍛えなければならないと思ってきたんだけど、でも、あれって触ったら熱くないんだろうか?
心頭滅却すれば火もまた涼しって言うけれど、本当なんだろうか?
そう思って考えていたら隙が出来た。
そこをサラマンダーが襲ってきた。
「えっ」
気付いた時にはサラマンダーは私の目の前に迫ってきていたのだ。
もう逃げる暇もなかった。
私はその瞬間殴っていた。
確かにその瞬間は熱くなかった。
ダンッ
サラマンダーは壁にぶち当たって事切れていた。
でも……
「熱い!」
気付いたら私の手が燃えていたのだ。
「ギャーーーー」
私はダンジョンを飛び上がって、階層をぶち破った。
「おい、リディ!」
今日の護衛のアーチ達の声が聞こえたが、消すのを優先してアーチ達を無視して私は飛び出したのだ。
そして、ダンジョンを飛び出すとそのまま、ダンジョンの横にある川に飛び込んだのだ。
「ふう」
そして、ほっとした。
完全に油断していた。もっと殴る前に強化魔術をきつくかけないといけなかったらしい。
私はそのまま、ほっとして、岸に上がった。
「何やっているんだ?」
それを見ていたレックスが声をかけてきたのだ。
「いや、ちょっとね」
私は笑って誤魔化したのだ。
馬鹿なことやったと少し顔が赤くなっていたと思う。
「リディ、護衛は?」
「ああ、そういえば置いてきた」
レックスに言われて私はあまりの熱さのあまり、護衛を置いてきたことを思い出していた。
「えっ、それはまずいんじゃないのか?」
「大丈夫よ。そんな大した魔物はいないし、大半は退治した後だから」
「おい、リディ、酷いじゃないか」
私が説明しているところにアーチ達がダンジョンから出て来た。
「ごめんごめん。ちょっ熱くて我慢できなかった」
私が謝ると
「だから剣使えば良いのに」
「これから何があるか判らないから、素手で倒す訓練は必要だったのよ」
私は説明した。その後でレックスは私が素手でサラマンダーを退治したと聞いて呆れていた。
「で、レックス、忙しい時にわざわざこんな所に来た理由はなんなの?」
「シュタイン王国が攻めてこようとしている」
私の問いにレックスが答えてくれた。
「いつくらいに? また一ヶ月くらいかかるんじゃないの?」
私はこの前、すぐに攻めてくると思って待ち構えていたのに、一ヶ月くらい待ちぼうけを喰らわされたので、それに懲りていたのだ。
「そこまではないと思うけれど、結構な数がシュタインの王都郊外に集まっているそうだ。宰相が一度集まって会議をした方が良いのではないかと言われたんだ」
「判ったわ。すぐに帰るわ」
私達は直ちに借り王宮に帰ったのだ。
「マトライ、現状はどうなっているの?」
「王都に集まった敵の数は20万。指揮官は第一王子のエイベル殿下がされるそうです」
マトライが報告してくれた。
「エイベルに指揮能力はないから、実際の指揮官は誰なの」
「おそらくアンダーソン公爵かと」
元第2騎士団長のウォーズ子爵が報告してくれた。
「現在我が方は、シュタインの降伏兵から2個騎士団。付近の騎士団は2個騎士団。全部合わせて5万という所です。直ちに領地に帰った兵士達にも総動員令をかけますか」
「いつ敵ががくるかよね」
マトライの声に私が応えた。
「軍の一部が王都を出たとの報が入っています」
ウォーズ子爵が報告してくれた。
「へええええ、今回は早いのね」
私は感心したのだった。
「しかし、いつ敵がくるかは判らないですぞ」
マトライが釘を刺してくれた。
「申し上げます。軍使としてドラクエ子爵という方がいらっしゃいました」
伝令が伝えてくれた。
「ドラクエ子爵ってどこかで聞いた事のある名前ね」
「元シュタインのインスブルク大使でレナード様がシュタインの畑の肥だめに転移させた男のことだよ」
レックスが教えてくれた。
「えっ、前にあんな酷い目に合わせたのに、よくもまあ使者に立つ気になったわね」
私は感心したのだ。
「講和の話でも願ってきたと思う?」
私が聞くと
「そんな訳ないだろう」
「絶対に碌でもない使者だって」
「怒り狂ったリディに燃やされるに1票」
「俺もだ」
「儂も一票」
アーチの声にレナードまで頷くんだけど……
「何言っているのよ。使者にそんなことする訳ないでしょ。レナードでもあるまいに」
私が自信を持って言った。
「どうですかな。姫様の堪忍袋がきれると思いますが」
「絶対にないから」
私は皆の前で宣言したのだった。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
次はドラクエ子爵再登場です。
無事に使者として帰れるのか?
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