竜殺しの秘宝と悪い奴らを聖剣でぶった斬りました
頭が痛い! 痛い! 割れそうに痛い!
前世で偏頭痛になった記憶があるが、これはその比では無い。
本当に頭が割れるように痛いのだ。頭の中に錐を突きつけられたように……
私は転がり回っていたが、その私を追いかけて黒い悪意の奔流は襲いかかってきた。
逃れようにも逃れられない。
何故? どうして?
「わっはっはっはっは」
私は蛙教皇の馬鹿笑いを聞いた。
くっそう、ポーラに対して鞭打ってここまで酷いことをしてくれた教皇をこのまま野放しにして良いのか?
でも、黒い悪意の奔流は私を決して逃してくれなかった。全てが悪意の塊だ。
人間様は全てにおいて一番だという、悪意の塊だった。
違う、この世界はいろんな生き物が生きていて、その中で人間も生かされているのだ……
「何を言う、竜娘。混沌としていたこの世界を聖女様が浄化して人間が住めるようにして頂けたのだ。だから邪魔な爬虫類は消えろ!」
蛙教皇の声が頭の中に響いてきた。
「違う。魔物の跋扈するこの世を、竜神様が魔物を退治して人が住めるようにしてくれたのよ!」
私が反論すると、
「嘘をつくな。竜娘。聖女様が浄化して人が住めるように作った世界に化け物がいつまでも大きな顔をしているな! 一番偉いのは人間様だ」
「勝手な事を言わないで。竜神様が魔物を退治して、人が生きられるようになったところにあなたたちが出てきただけじゃない。今まで大恩ある竜神様をないがしろにして、あなた達が偉い顔をしたいだけでしょう! そして、あなた達がいい思いをしたいだけじゃない!」
「ふんっ、何を言うか、竜娘。力の強いものが勝つのだ。貴様等爬虫類は聖女教の名の下に滅ぶのだ」
「何言っているのよ。何も悪いことのない友人を捕まえて拷問するような奴をのさばらしておく訳にはいかないわ」
私は叫んでいた。
そうだ。こんな酷い奴を大きな顔をして生かしておくわけにはいかないのだ。
「ふんっ、何とでも喚け。貴様はもう終わりだ」
「ギャーーーーー」
更に頭に激痛が走った。
もう、耐えられそうに無い。
そんな激痛に苦しむ私は、形勢挽回のためにレックスが、黒ずくめの男達に斬り込むのが見えた。
でも、多勢に無勢だ。剣術の腕はレックスの方があったが、黒ずくめの男達は10名以上いたのだ。
二人はレックスが倒してくれたが、どんどん追い詰められている。
私がよそ見した時だ。私は何かにぶつかって大きく跳ねた。
そして、私は地面ではねた勢いで、ドラちゃんと頭をぶつけていたのだ。
ガツンッ
大きな音がした。
石頭同士が頭をぶつけたのだ。
「痛い!」
「ギャオーーーー」
私達は悲鳴を上げたが、そのショックで私は大きく跳ね上がった。
大きく、大きく……
そして、飛び跳ねすぎて、一瞬、私は魔方陣の範囲から逸脱してしまったのだ。
その瞬間だ。
私の頭痛がなくなった。
頭がすっきりした。
ラッキーだ。
私は放物線を描いて魔方陣に向けて飛んでいた。
その視界の下で、レックスが黒ずくめの男に囲まれているのが見えた。
「ふんっ、魔方陣の範囲から逃げ切れると思うなよ」
教皇が叫ぶのが見えた。
そして、のたうちまわって私に向かって上昇を始める黒い悪意の奔流が見えた。
あと少しでまた捕まってしまう。
あれに捕まったら終わりだ。
もう被害をどうのと構っている暇はない。
私は聖剣を使う決心をした。
「おい、竜娘が魔方陣に向かっているぞ」
それに気付いた黒服達は慌ててレックスを放って魔方陣の方に戻ろうとした。
「ギャーーー」
しかし、その隙を見逃す訳はなく、レックスの剣が一閃した。
一人の男がレックスの剣で斬り裂かれる。
続いてもう一人。
男達は大いに動揺した。
その間に私は背中から聖剣を引き抜いたのだ。
高度を下げた私に向けておどろおどろしい黒い魔力の奔流が再び襲う。
ピカッ
しかし、次の瞬間、聖剣が光ってその悪意の奔流を弾き飛ばしてくれた。
やった!
そして、それは魔方陣に激突したのだ。
魔方陣が大きく揺れる。
「おのれ竜娘め。しかしこれまでだ。死ねええーーーー」
教皇は自分に向かって飛んで来た私に恐怖を感じて、更に魔方陣の動きを強くしようとしたのだ。
魔方陣が極限まで大きく光った。
しかし、私は聖剣を握っているのだ。竜神様の力を再現する聖剣を。
聖女教が誇る竜殺しの秘宝の魔方陣ももはや敵では無かった。
鬼に金棒、いや、鬼じゃない! 鬼ならまた山姥になってしまう。
そう、美姫に金棒なのだ。
「教皇ランドン・カーショー。悪逆非道な貴様を成敗する」
私はそう叫ぶと聖剣を振り下ろしたのだ。
ドカーーーーン
聖剣は魔方陣を一瞬で両断してそのまま教皇に振り下ろされた。
私の友人を拷問し、インスブルクでお兄様の反逆をギンガルメに示唆していた教皇は私の聖剣に斬られていた。
ピカッ
ドカーーーーーん
聖剣が振り下ろされたところが閃光を発して爆発した。
私の、いや、竜神様の怒りが爆発したのだ。
その巻き起こった炎は盛大に燃えて、大聖堂をあっという間に火の海に変えたのだった。
竜神様の怒りを買った教皇とその暗部は殲滅されたのだった。
ここまで読んでいただいて有難うございました。
教会の最終兵器も怒りのリディの前に破壊されてしました。
リディは叡山焼き討ちならぬ大聖堂焼き討ちを敢行しました。
ブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
次からはシュタイン王国の反撃です。
お楽しみに








