とあるクラスメート視点 友人が女王になったので捕まりました
私はポーラ・フューゲン、今はシュタイン王国の王宮で文官として働いていた。
父も私と同じで文官だった。
父は朝から夜遅くまで王宮で働いていたけれど、休みの日はよく外に遊びに連れて行ってくれた。私はそんな父が好きで、出来たら父と同じく王宮の文官になりたかった。そのためには王立学園に入らなければならない。私は難しいと言われた王立学園の入学試験を必死に勉強してなんとか合格した。
クラスは一番下のEクラスだったけれど、平民だからそれは仕方が無いと思った。お貴族様がいればそれはそれで気を遣わないといけないから、私はクラス分けを見てほっとしたのだ。
でも、そんな私のクラスに隣国のインスブルクの王女様でこの国の王太子殿下の婚約者のリディアーヌ様がいて、私はびっくりした。
「Eクラスには勉強の出来ない男爵家の子供達はいるかも知れないから気をつけるんだよ」
と父には言われていたが、まさか、王女様で未来の王妃様と一緒のクラスになるなんて、思いもしなかったのだ。
でも、未来の王妃様が勉強が出来なくても良いのか?
と思わないでも無かったけれど……
しかし、王女様はとても気さくな方だった。
「リディと呼び捨てで呼んでね」
と皆に言われたけれど、そんなの出来るわけは無かった。
リディ様は剣の腕前は凄いらしく、剣術部に入ってたちまち並み居る先輩達を吹っ飛ばして、一年生にもかかわらず部長になっていた。クラスの剣術部の面々、ボルツアーノ王国の伯爵家の令息であるレックスとか第二騎士団長の息子のアーチとかはたちまちリディ様に心酔して、配下みたいになっていた。
でも、そもそも、何故、こんな最低のEクラスに貴族の人間が多いんだろう?
アーチとかは脳筋で勉強できないのは一緒の授業受けているから判るけれど、レックスは勉強もとても出来るのだ。それにリディ様も先生に当てられても普通に答えられるんだけど……
本来はAクラスにいる方なのに、絶対に変だ。
私はその理由が最初はわからなかったんだけど、二年生になったらよく判った。
王太子殿下は婚約者のリディ様を無下にして、同じA組の公爵令嬢のアラベラとよく一緒にいるのだ。王太子はリディ様と一緒にいたくなくて、手を回してEクラスにしたんだと思う。
確かにアラベラもきれいだったけれど、リディ様の方が凜々しくてとても美しかった。
リディ様は男性だけでなくて、女性にもとても人気があったのだ。
リディ様は平民だと言って私達を見下すことなく、普通に接してくれた。
一度消しゴムを落としてしまった時だ。
「はい」
と後ろから渡してもらって、
「ありがとう」
と敬語も使わずにその渡してくれた相手を見たら、リディ様だった。
「も、申し訳ありません。リディ様」
私は慌てて謝ったが、
「もう、敬語なんていらないわよ。ポーラ」
私はその言葉を聞いて感激した。何をって、リディ様が、未来の王妃様が私の名前を覚えて頂いていたのだ。クラスメートと言ってもほとんど話すことの無い平民の私の名前をだ。
私は未来の王妃様に名前を覚えてもらって感激したのだ。
家に帰った時に、その話を父に自慢したら
「そうか、未来の王妃様はとても気さくな方なんだな。この国の未来も安泰だな」
父の言葉に私は頷いたのだ。
私はこの国の未来の王妃様のために私も少しでも助けになろうと必死に勉強した。
その甲斐あって、私は卒業したら王宮で働くことが決まったのだ。
「良かったわね、ポーラ」
リディ様は自分のことのように喜んで頂けたのだ。
「はい。リディ様、いえ、リディアーヌ様の為に頑張ります」
私はリディ様に決意表明したのだ。
それはクラスで王宮で働くことの決まった皆の思いだった。
「期待しているわ」
満面の笑みを浮かべてリディ様は頷いてくれたのだ。
私はこの人のために頑張ろうと心に誓ったのだ。
「リディアーヌ・インスブルクとの婚約を破棄することを宣言する」
そんな私の熱い思いは、卒業パーティーで王太子がリディ様を婚約破棄したことで潰えたのだ。
「この大ぼけやろう!」
私は出来たらそう叫びたかった。
この学園にいる大半の生徒も心の底からそう叫んだと思う。
お前の替えはいくらでもいるけれど、リディ様の替えは無いんだよ。リディ様は隣のアラベラなんか足下にも及ばないくらい立派な方なのに!
私達は拳を握りしめて殴りたかった。
もっともそれはリディ様がやってくれたけれど。
むかつく王太子はリディ様に張り倒されて取り巻きもろとも吹っ飛んでいた。
私達はそれを見て本当にスカッとしたのだ。
でも、我がシュタイン王国にとって最悪の始まりだった。
学園の皆に挨拶して去ったリディ様は、追っ手を次々に撃破、怒り狂ったアラベラの父を大将に攻め込んだシュタインの大軍もリディ様の前に殲滅された。
私達は心の片隅でそのことを喜んでいた。
そうしていたら、今度は文官仲間の一人のベティがいなくなったのだ。
ベティは男爵令嬢でリディ様と親しかったから、王妃に捕まってしまったそうだ。
クラスメートで騎士になったトムの情報によると何でも、王妃に鞭打ちされているそうだ。
私達は青くなった。
次は自分かもしれない。
でも、そんなときだ。
いきなり、王宮で爆発があったのだ。
驚いて外に出てみると、竜に乗ったリディ様が飛んで行くところだった。
金色の竜に乗るリディ様はとても様になっていた。
新聞で話題になっている竜姫様の意味が初めてわかった。
「おい、逃げろ!」
クラスメートで騎士になったトムが私に叫んでくれた。
「リディ様だ」
「しぃっ! ベティを助けに来てくれたんだ」
人差し指を口元に当てたトムも嬉しそうだった。
その日王宮は灰燼と化したが、私達は良かったとベティの為に思ったのだ。
翌日からの後始末と王宮の再建で私達文官も大変だったけれど……
そんな中、今度はリディ様がアラカルト男爵家で独立したと知って私は驚いた。リディ様は次々に勢力を広げて、その支配域は古竜王国並みになった。そして、インスブルクで起こった反乱を機にインスブルクと隣のギンガルメ王国を併合して巨大な新生竜王国を立ち上げられて初代国王に就かれたのだ。
本当にあっという間だった。
私はリディ様の為に喜んだけれど、このシュタイン王国の未来がどうなるかとても心配になってきた。
友人の中には新生竜王国に亡命する者が続出した。
でも、私は家族があるし、そのまま王都に留まったのだ。それが間違いだった。
ドンドン
扉がなって扉を開けたら
「ポーラ・フューゲンだな!」
いきなり聖騎士達がなだれ込んできたのだ。
「な、何なのだ! お前らは」
父が叫んでくれたが、
「ポーラに魔女の疑いがある。大聖堂に連行する」
「何だと、そんな訳は」
「煩い、どけ」
「父さん!」
父が騎士に弾き飛ばされるのが見えて、私は騎士達に後ろ手に縛られて連行されてしまった。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
教皇の毒牙がポーラの身に……
ポーラの運命やいかに?
続きは明日です。
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『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』
https://book1.adouzi.eu.org/n8911gf/</a>
最終章開始です。
魔神と化したゼウスに挑みかかる無敵の戦神シャラザールとクリス達の運命やいかに。
これはとても面白いのでまだの方は是非!
思いっきり楽しめること請け合います。
最初は泣けます








