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婚約破棄されたので下剋上することにしました  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して


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税率を減らす方向で話をまとめたら、今度は私の配偶者の問題が上がってきました

「姫様の縁談についてはおいおい相談させていただくが、今は領地の税率をどうするかというお話です」

 マトライは全員を見回した。


 円卓には私を中心にその横に宰相マトライ、ブランドン・ノール辺境伯、モスリム伯爵、アラカルト男爵、逆は大魔術師レナード、エイブ・アルトス飛竜騎士団長が座っていた。これが今の新生竜王国の重臣になる。宰相の後ろにはレックスともう一人補佐官が、私の後ろにはハワードとベティが、アーチボルトは扉の前に陣取っていた。


「まあ、さようですな。リディアーヌ様の婚姻の件も早急に決めねばなりませんが……」

 モスリム伯爵はなおも未練がましく言っていたけれど、

「伯爵。それはまた後日」

 マトライに釘を刺されていた。

「で、姫様は国に税は要らないとおっしゃるが、今後のことを鑑みるにそれは難しいのではないかと私めは思いますが……」

「じゃあ、教会に合わせて1%にする?」

 私が提案すると、

「1%では心許ないのでは」

 にべもなくマトライに却下された。


「リディアーヌ様は領民のことを考えて税の引き下げを考えて頂いておりますが、領民達は税の引き下げをその場では喜ぶとは思いますが、いきなり下げるというのもどうかと思います」

 ブランドンが言い出した。

「さようです。領民達は良いことはすぐに忘れ、悪いことだけ覚えていて後でグチグチ文句を言いますからの。一旦下げた税は中々元に戻せませんし、戻せば領民は不満を覚えましょう」

 モスリム伯爵もそう言ってくれた。

「ここは教会税が9%も安くなると言うことで宜しいのではありませんか?」

 アラカルト男爵までそう進言してくれた。


 でも、私が領民だったら働いた分の半分以上が税金で持って行かれるのは嫌だった。

 今の案では領主が四割で、国が一割、教会が一%で五十一%になるではないか。過半数が税金で持って行かれる。


「では、リディアーヌ様はどうされたいのですか?」

 レックスが聞いてくれた。

「領民の皆も一生懸命働いているんだからせめて半分以上は残るようにしてあげたいわ」

 私が言うと

「半分ですか?」

「では国の取り分を九%に下げますか」

 マトライが言ってくれたが、

「うーん」

 私が渋い顔をしていると

「判りました。領主の取り分を三十九%、国の取り分を九%教会の取り分を一%にすれば皆負担することになるかと」

 ブランドンが提案してくれた。

「そのような半端な計算が果たしてうまくいきますかな」

 モスリム伯爵が疑い深そうに見てきた。確かにこの国の民の識字率や計算できる者の数は少ない。前世の日本人にとっては簡単な計算も、この世界の人間には難しいかも知れなかった。

 私は早急に識字率の向上と計算出来る人間を増やすこともやっていかないといけないと心に決めた。まあ、これはレックスらと相談すれば良いだろう。


「ノール辺境伯の案でいきましょう」

 私は頷いたのだ。

 領民は今まで六十%税を負担していたのを、領主が四十%を三十九%に、国が十%を九%に、教会は十%を一%に減らして合計四十九%の税負担に減るのだ。領民も喜ぶだろう。尤も教会はブツブツ文句を言いそうだが、魔女裁判なんて開いて悪事を働いている教会など、本来は全廃したいくらいだ。残けるだけでも感謝してほしい。これで文句を言ってきたら取り潰しだ。私はそう決意したのだ。


 税の話し合いは私の決断に全員頷いてくれて終わった。

 よし、これで今日の会議は終わりだと私はほっとしたのだが……


「さすれば、次の議題として、リディアーヌ様の婚姻の件を審議いただきたいと存じますが」

 せっかくなくなった話題をモスリム伯爵が蒸し返してきたのだ。


 何故今頃蒸し返す?

 私は少しいらっときたのだが


「新生竜王国は今のところリディアーヌ様に万が一のことがあった場合に継ぐものがおりません。お世継ぎの件がこの王国の早急なる問題点であると思いますが」

「確かにモスリム伯爵の申されることは一理あるが、事を急ぎすぎますとまたいろいろと問題も出てきましょう」

 マトライがやんわりと断ってくれて私はほっとした。


「いやいや、マトライ宰相。このお世継ぎ問題は急ぎすぎるということはございませんぞ。何しろ今の新生竜王国は先程も申したようにリディアーヌ様のお後が全くいらっしゃらないのだ。早急に考慮すべき問題であろう」

 モスリム伯爵も中々しぶとい。もっとも当事者の私はそれどころではなかったのだが……


「まあ、モスリム伯爵。姫様もまだ、十八歳。それも男に振られたところですからな」

 レナードが擁護してくれたんだけど、振られたって強調するな!

 私はむっとしてレナードを睨み付けたが、恐竜並みの神経をしているレナードはびくともしなかった。


「さようでございますな。シュタインを降伏させた暁にはその王太子を人質兼王配にしても良いかも知れませんが」

「伯爵。それは絶対にありませんから」

 私ははっきりと断りを入れたのだ。それだけはあり得なかった。


「そうですぞ。伯爵。リディアーヌ様に酷い扱いをしたエイベルなどをリディアーヌ様の婚約者候補とするなど許されることではありません」

 レックスが言ってくれて、ハワードらが頷いてくれた。

「私は例えばの話をしただけですぞ。レックス殿。リデイアーヌ様のお相手の候補は私の孫息子もおりますし、ノール卿のご子息も立候補したそうにしておられますし」

 そう言うとモスリム伯爵はにやりと笑った。

「そうかその方も立候補されるのか、レックス殿?」

「それは……」

 レックスは必死に何か考えているみたいだった。


 私はレックスがすぐに返事してくれないことに何故だかかがっかりした。


「まあ、もっとも偽名では立候補は出来ませんな、レックス殿」

 勝ち誇ったようにモスリム伯爵が言ってくれたんだけど、私はその前のレックスの態度にモヤモヤしていて伯爵の言葉をよく聞いていなかったのだ。


ここまで読んで頂いてありがとうございます。

レックスの正体は?

その前に教会の動きも急を告げます

次回は明朝です。

お楽しみに

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

私の次の作品はこちら

『もふもふ子犬の恩返し・獣人王子は子犬になっても愛しの王女を助けたい』https://book1.adouzi.eu.org/n9267kb/


私の今一番熱い人気の作品はこちら

『【電子書籍化】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://book1.adouzi.eu.org/n9991iq/


3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

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表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【9/25シーモア先行配信はこちら、3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
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表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【8/26シーモア先行配信していたものは、3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】

https://www.cmoa.jp/title/1101429725/

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ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://book1.adouzi.eu.org/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://book1.adouzi.eu.org/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://book1.adouzi.eu.org/n8911gf/



このお話の前の話

『男爵令嬢に転生したら実は悪役令嬢でした! 伯爵家の養女になったヒロインよりも悲惨な目にあっているのに断罪なんてお断りです』https://book1.adouzi.eu.org/n7673jn/

― 新着の感想 ―
いつも楽しく読ませて頂いています。 一番強いのになぜか流され姫様……大変ですね(汗) 誤字報告ができない場所だったのでこちらに。 その前に教会の動きも宮を告げます→宮 →急かな?
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