ロリコン変態審査官を退治しました
ドラちゃんは猛スピードで飛ばしてくれた。
ドラちゃんはギンガルメアルプスと呼ばれる5000メートル級の高峰の峰峰の間を飛んで行くんだけど、雪を頂いた山々はとてもきれいだ。
ハワードはチャーリーの飛竜のチャイに乗って行ったということだから、ドラちゃんにはチャイの匂いを追いかけてもらったんだけど、チャイでこんな高山を飛んだんだ。ドラちゃんなら平気でもチャイにとっては結構大変だったんじゃないんだろうか?
5000メートルの気温は氷点下だ。普通は凍るのだ。
ドラちゃんは厚い羽毛で覆われているから問題はない。私も魔術で体を強化しているので問題はない。
レックスは凍っていた……魔術での強化は普通の人達は中々出来ないみたいだ。
仕方が無いから私が一緒に強化魔術で覆ってあげる。
基本的には私は放出系の魔術は使えないが、私にくっついているレックスはなんとか対応出来た。
ついでに冷え切った体に熱も流してあげる。
「姫様も甘いですな」
私の横を飛んでいるレナードが呆れてくれるんだけど、レナードも高速で飛んでいるにも関わらず、びくともしていない。障壁か何かで覆っているんだろう。
高空は風もきつく、その中を飛ばしているのだから、私達に向かって凄い風が吹いていた。
強化している私はびくともいていないけど。レックスは大変だったはずなのだ。
だから私が甘い訳では無いはずだ。
私は考えずに飛ぶことにした。
ドラちゃんは超高速で飛んでくれたお陰で、あっという間に高山を抜けた。
そろそろモスリムにの街のはずだ。
「レックス!」
私は思いっきりレックスの手を叩いた。
「ああ、リディ、すまん、又気絶してしまったみたいだ」
「本当に、訓練が足りないんじゃ無いの!」
私が恥ずかしさを隠すために少し強めに言うと
「申し訳ない」
レックスが済まなさそうに謝ってきたけれど、別にレックスに謝らせたい訳ではない。
私は、本題に入った。
「まあ、良いわ。それよりもついたわ」
「判った」
私はレックスの手に手を重ねて、再度熱を流した。
「えっ、暖かい。ありがとう、リディ」
レックスが驚いて礼を言ってくれた。
「私の護衛が手がかじかんで腕が動かないじゃ、困るからね」
私は言い訳しつつ、高度を急激に下げる。
モスリムの街並みが見えてきた。
「ギャオーーーーー」
ドラちゃんが咆哮してくれた。
教会が見えてきた。
ステンドグラスが壊れている。
「あそこから突入して」
「ギャオーーーー」
私の指示にドラちゃんは咆哮してくれた。そのまま一気に割れたステンドグラスの間から、中に突入してくれた。
中ではチャイとチャーリーが傷だらけになって騎士達に囲まれて戦っていた。
「チャーリー!」
私の叫び声とともに、
ドシン!
「「「ギャーーーー」」」
ドラちゃんが着陸と同時に多くの騎士を下敷きないし弾き飛ばしてくれた。
「姫様!」
「チャーリー、大丈夫?」
「なんとか」
「レナード、ここは頼むわ」
「はいはい、姫様は人使いが荒いですな」
そういう尻からレナードは次々に爆裂魔術を聖騎士達に向けて発射してくれた。
ドカーン
「ギャーーーー」
ドカーン
「ギャッ」
爆発のたびに二、三人騎士が吹っ飛んでいく。
ここは、レナード一人に任せても問題ないだろう。
「ドラちゃん。ハワードに向けて突っ込んで」
「ギャオーーーー」
ドラちゃんは叫ぶと、思いっきり頭を振り上げてくれて、地面に頭突きをしてくれたのだ。
ドシーーーーン
凄まじい大音響と共に、一気に床を突き崩してくれた。
ダーンと言う音ともに、床が崩れる。
「「「ギャーーーー」」」
悲鳴が聞こえた。
ドラちゃんが首を伸ばす。
そこには満身創痍のハワードと、その背に一人の少女が背負われていた。
その周りの瓦礫の下に騎士達が倒れていた。
さすがギャオちゃん。ハワードを避けて瓦礫を落としてくれるなんて天才じゃないの?
私は一瞬感心したのだ。
「リディアーヌ様。いきなり大量の瓦礫攻撃は凄いです」
剣を持ってハワードが言った。
どうやら、ハワードが剣で瓦礫を弾き飛ばしてくれたらしい。
まあ、それはそうだ。ここは結果が良かったから良しとしよう。
私はそう思うことにした。
「おのれ、貴様が竜娘リディアーヌか」
騎士に囲まれた男がまだいた。
私は無名剣を抜くとハワードの傍に降り立った。
「貴様ね。子供を拷問して喜んでいるというロリコン変態司教は」
「誰がロリコンだ」
男が叫んでくれたが、
「だってこんな小さな子を拷問にかけたって聞いたわよ」
私は腰あたりの身長を手で示した。
ハワードの背負っている女の子は大きいけれど、私は伝言で子供が拷問を受けていると聞いていたのだ。
「はあああ、そんなことをするか。それと俺様は審査官様だ。司祭などではない」
男が必死に言うんだけど、
「えっ、審査官って司祭に顎で使われる雑用係じゃ無いの?」
私が馬鹿にしたように言ってやると、
「何だと、貴様、審査官様は教皇猊下直轄の役職で司祭なんかよりも何倍も偉いのだ! 金髪の山姥のくせにもう許さん」
男が何故激高したのか判らなかったけれど、この男は言ってはいけない私の二つ名を言ってしまったのだ。
その瞬間私は完全にぷっつん切れてしまった。
「誰が金髪の山姥ですって!」
私は剣を抜き放って、一気に男に迫ったのだ。
「えっ、やばい、その女を殺……」
男は叫んでいたが、そんなの間に合う訳は無いのだ。
私は次の瞬間には男の目の前にいた。
そして、右上段に構えた剣を斜めに斬り下げていた。
「ギャッ」
男は真っ二つになって吹っ飛んでいった。
ついでに周りにいた騎士達も、私の怒りの一撃の風圧を喰らって一緒に吹っ飛んでいたのだ。
後の雑魚はレックスが拘束してくれた。
こうして私を呼んではいけない二つ名で呼んだロリコン変態審査官は、私に退治された。
その後、少し遅れてきた飛竜騎士団によって街を警護していた聖騎士団は壊滅、モスリムの街は完全に開放されたのだった。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
リデイを怒らせるたびに、リディの支配領域が広がっていく新生竜王国でした。
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