隣国からの干渉に対してぶち切れました
「レックス、ついて来なくて良かったのに!」
私は後ろのレックスに叫んでいた。
「はああああ! 反逆なんて起こった王宮にリディを一人で行かせられるわけないだろう!」
レックスが言ってくれたけれど、
「ええええ! 王宮に行けば味方はいっぱいいるわよ」
私が不満そうに言うと、
「はっはっはっは! そこまで見事に姫様に相手されていないとはレックス殿も悲しいですな」
レナードが笑うと、
「空しくなるので黙っていてください」
レックスが文句を言っていたが、
「えっ、別に頼りにしていないわけではないのよ。私の足りないところは埋めてくれるから」
「なるほど、レックス殿は、姫様の雑用係だと」
「せめて補佐役と言ってください」
レナードにレックスが注文をつけていた。
「レックス、貴様、いつもいつも姫様の後ろに乗るとは許せん!」
「おい、ハワード、暴れるな!」
ハワードが私達の後ろから叫んでいて、後ろにハワードを乗せたチャーリーが注意をするが
「もう、チャーリー等も残っていて良かったのに」
「そういうわけにはいかないでしょう」
「そうだ、リディ! 勝手に出て行くなよな」
元気になったアーチまで言ってくれるけど
「でも、時間が無いから私は行くけど、ゆっくりでいいからね」
「えっ」
「ちょっと、リディアーヌ様!」
「暴れるな」
慌てる皆を置いて私はドラちゃんを急加速させたのだ。
「ギャーーーー」
レックスの悲鳴を残して……
ドラちゃんは5千メートルの山を軽く越えてくれた。
ここはまだ、完全な雪山だ。
その遙か上を飛んでいるので六千メートルを軽く超えているはずだ。
チャーリー達はこの山を越えられるかなと少し心配した。
特にハワードを乗せたチャーリーが心配だった。
まあ、なんとかしてくれるだろう。
「しかし、レックス殿も気絶するとはまだまだですの」
私の横を飛びながらレナードがレックスを見下ろした。
「慣れない人間は普通は気絶するわよ。気絶しないのはチャーリーとかエイブくらいよ」
「なるほど。しかし、姫様の王配ともなるとドラの助に乗って気絶するようでは務まりますまい」
「それはそうだけど、ってレナード! 私は王じゃ無いわよ」
私が文句を言うと
「まあ、姫様、ここまで来たら諦められるしかないのではありませんか」
レナードはそう言ってくれるんだけど……
ええええ!
私が生まれた時からの守り役のレナードにまでそういうの?
私はさすがにまずいと思いだした。
「それより、今はインスブルクの王宮のことだろう」
私にしがみついていたレックスが話し出した。
「おおおお、やっと王子様がお目覚めですか」
「レナード殿、茶化すのはおやめください」
「なるほど、姫様の王配になるのは冗談だと」
「絶対に諦めません」
そう言ってレナードが私をぎゅっと抱きしめてくるんだど……何なのよこれは
「近いから!」
私は赤くなって肘鉄をレナードに喰らわせていた。
「グッ」
レナードが落ちていった。
「えっ? ドラちゃん!」
私がドラちゃんに合図するとドラちゃんは急旋回して、パクリとレナードを咥えてくれたのだ。
「おい、リディ!」
「ふんっ、抱きついてくるレックスはそこで反省して」
私がむっとして言うと、
「そんな、リディ」
「ドラちゃん、飛ばして」
「ギャーーーー……」
ドラちゃんが加速してくれて、レックスは気絶したみたいだ。私に抱きついた罰だ。
そのままドラちゃんは雪の高原を突っ切って一気に緑のアルプに入ってくれた。
「おい、竜だ」
「金色の竜は竜姫様の竜だぞ」
「上に乗っているのは、あれは竜姫様だ」
「竜姫様!」
羊飼い達が私に手を振ってくれた。
私は国を追放されたのに、関係なしに私を竜姫と慕ってくれているみたいだ。
私は大きく手を振ると、一気に飛竜のいる竜谷に向かったのだ。
切り立った山々に飛竜が巣を作っている。
「ピィィィィィ」
「「「ピィィィィィ」」」
飛竜達がドラちゃんと私を見て鳴いてくれた。
「姫様!」
「姫様が帰られたぞ」
私は飛竜騎士団の駐屯地に降り立ったのだ。
ぽいっとドラちゃんは着陸するとレックスを吐き出していた。
「ぎゃっ」
レックスが地面に激突して叫んでいた。
まあ、レックスはびくともしていないはずだ。
私はそのまま地に降りた。
「姫様」
私の傍にエイブが跪いてくれた。
「挨拶は後よ。現状はどうなっているの?」
「はい。陛下に呼ばれたビリー様がギンガルメの騎士達を使って反逆した模様です」
エイブが答えてくれた。
「陛下はビリー様に王位を譲ろうとされておりました」
何故かここに居る宰相のマトライが教えてくた。
「お兄様に王位を譲ろうとして、何故お兄様が反逆するの?」
私はわけが判らなくて聞いた。
「おそらく、殿下は陛下が姫様を呼び戻して王位を譲ろうとなさったと勘違いされたかと。そのまま殿下が反逆されたと思われます。その前にギンガルメから騎士達が商人に紛れて入り込んでおるのを確認しておりましたから」
「マトライ、それが判っていて、何故、止めなかったの?」
「申し訳ありません」
「申し訳ありません、姫様。マトライから聞いていて警戒を強めていたのですが、想像していたより騎士達の数が多かったのです」
マトライとエイブが謝ってきた。
「どれくらい入り込んでいたの?」
「二百名は越えるかと」
「そんなに!」
「王宮にコーデリア様の新しい配下だと10名の騎士を殿下が召し上げられて、アバネシー閣下の配下30名と殿下の騎士10名の計50人で決起、城下から150名の兵士を王宮に入れて占拠した模様です」
「こちらの対処は」
「現在、陛下の監禁場所を現在探って居るところです」
エイブが教えてくれた。
「お父様の傷は大丈夫なの?」
「今は判りませんが、命に別状は無いかと思われます」
「エイブ様、大変です」
そこへ、飛竜の伝令が飛んできた。
「ひ、姫様、良かった」
「どうしたの?」
私を見てほっとした伝令に聞くと
「ギンガルメの大軍が国境の砦に到着して開門を要求しています」
「何ですって」
私はぷっつん切れた。
「これ以上ギンガルメに好きにさせない!」
私は皆に誓ったのだ。
ここまで読んで頂いて有難うございました
ギンガルメの大軍に対してリディはどうする?
明朝ご期待ください
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