大国公爵視点 余計なことをしてくれた小国の小娘に痛い目を見せてやることにしました
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まだの方はそちらからお読みください。
トレント公爵家と言えば大国のシュタイン王国の中でも名門だ。領地も広く領民の数も100万人近くおり小さな国よりも下手したら大きいのだ。
そう、インスブルクなんて小国よりは遙かにでかいのだ。
俺はそのトレント公爵家の当主だ。
我が娘アラベラは俺が侍女に手をつけて産ませた娘だが、ボルツアーノ王国から迎えた正妻の手前、傍に置いておくわけにはいかず、教会に預けておいたのだ。
すっかり忘れていたのだが、教会から連絡が来て、アラベラは聖女の可能性があるとのことだった。
教会の言うことなど眉唾物だと思ったが、もしアラベラが教会に聖女と認定されれば、公爵家の箔付けになる。うまくいけば王家に嫁入りすることが出来るかもしれない。丁度正妻が流行病で亡くなったこともあり、俺はアラベラを公爵家に呼び戻すことにしたのだ。
娘は侍女に似て、美しく成長していた。これなら王立学園に入れば王太子の心を取り込めるかもしれないとアラベラには公爵家で最低限の礼儀作法を叩き込んだ。その上で年齢の近い我が公爵家の息がかかっている貴族令嬢を集めてお茶会を開いて、その娘達と仲良くさせたのだ。そして、アラベラに出来れば王太子と仲良くなるようにと命じて王立学園に送り込んだ。
王太子にはインスブルクなどと言う小国から王女が婚約者として送り込まれていたが、インスブルクなど小国、我が公爵家からしたら格下も良いところだった。その上、その小娘はがさつで趣味が剣術という変わり者で、成績も中庸だった。学園に手を回してクラス分けの試験でも貴族点をなくし、逆に100点引いてやればなんと最下位クラスに落ちてくれた。一方の娘は400点の加算点で王太子と同じAクラスに送り込めた。アラベラはうまく立ち回ったみたいで、王太子と仲良くなったとのことだった。
後は根回しだ。しかし、王家への根回しはなかなかうまくはいかなかった。何でも、今回の婚約は国王陛下の肝いりだそうだ。余計なことはするなと宰相から忠告された時は驚いたが、その国王が一年で亡くなると、全てこちらに都合の良いように動き出した。
うまく立ち回れば婚約破棄させることも容易いだろうと、アラベラにいろいろ立ち回らせた。アラベラは順調に王太子の気持ちを自分に向けさせて、小娘との仲をわるくさせた。
最後は卒業パーティーの時に、小娘にえん罪を着せて婚約破棄に持ち込むことなど、我が公爵家からしたら容易いことだと俺様はほくそ笑んだのだ。
するとなんと言うことだ。婚約破棄された小娘は、あろうことか王太子を張り倒して出奔したのだ。
俺様には信じられなかった。我が娘のアラベラもその時に殿下とぶつかって、顔に軽傷を負わされた。更には信じられないことに娘は捕まえようとした騎士団を潰走させて、インスブルクに逃げ出したというのだ。
陛下も王妃も激怒してくれて、アラベラが王太子妃になるのはこれで確定したかと思われたのだが、激怒した国王は俺様にインスブルクの征伐を命じられたのだ。インスブルクなど山多く痩せた土地が大半の攻め取ったところで何の利もない国だ。出来れば、断りたかったが、娘の顔を傷つけられたという汚名返上と我が公爵家に新たな小国の征伐という勲章を受けるには丁度良いかもしれない。俺様が次の国王の義父になり、その次の国王は孫になり王家の外戚となるのだ。征伐に成功すれば領土も広くなるだろう。上手くいけばそのままインスブルク王国を治めさせてもらえるかもしれない。
陛下は10万の軍を預けてくれるとのことでこれは楽勝だと軍を進めたのだ。
しかし、あろうことか先鋒のバウディが小娘の前に大敗ししまったのだ。一万の軍勢が千にも満たない敵にだ。余程油断してくれたのだろう。兵達は敗戦にショックだったのだろう。小娘にやられたと叫んでいたが、王女の剣術などたいしたことはないはずだ。なにしろ王太子と対戦して気絶させられたくらいなのだから。
傍にいる側近の方がくせ者だろう。特に何を考えたのか、剣の腕の確かな辺境伯の嫡男が王女について出奔しているのだ。そやつ等が強かっただけだろう。
俺はその対策を取るべく魔術師団を王都から送ってもらうように依頼したのだ。
しかし、小娘は緒戦の大勝で気を良くしたのか、我が軍が怯えて、引きこもっているとか、俺様が腰抜けとか好き勝手に言ってくれたいたのだ。
「おのれ、小娘め、今に覚えていろよ」
俺様は辺境伯の小せがれの対策に魔術師団の到着を心待ちにしながら地団駄踏んで悔しがった。
そんなところにだ。王都から緊急の連絡が入ったのだ。
『何をぼやぼやしている。即座に全軍で総攻撃してインスブルクを占領し、生きたまま小娘を捕まえて我が前に引き立てよ』
と陛下より命令が入ったのだ。
何でも小娘は新聞に俺様のことを国境の町に小娘に怯えて逼塞していると広言しているというのだ。
更には陛下を跪かせて自分の靴をなめさせると…………陛下が激怒されているというのだ。
「おのれ、小娘め、もう許さん!」
さすがの温厚な俺様もこれには切れた。陛下に余計なことを吹き込んで、なおかつ、陛下を侮辱するなど許せん。本来は魔術師の到着を待ちたかったが、激怒した陛下の手前、何が何でも早急に戦果を出す必要があった。
「よし、全軍に告げよ。直ちに出陣する」
俺様は全軍に命じたのだ。
全軍で力押しすれば小さい砦などイチコロだろう。
その上で小娘を捕まえて、我が怒りの限りを叩きつけて恥辱まみれにしてやる。
待っていろよ小娘。俺様を怒らせたことを死ぬほど後悔させてやる。
俺は心に誓ったのだ。
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次は決戦です。
リディの運命やいかに。
今夜更新予定です。
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