閑話 古代竜を私が飼うことにしました
私がその子を連れて帰ったらそれからが大変だった。
「レックス、大丈夫なの?」
みんな、レックスに抱きつかんばかりに心配していた。
「リディ、あなた、レックスに何をしたの?」
次にお母様が私に聞いてきたんだけど、
「私が何かするわけないでしょ!」
私がむっとして言うと、
「ついてこないでとか言って張り倒したんじゃないでしょうね」
お母様がとんでもないこと言ってくれるんだけど!
「そんなことしたら、この子死んでるわよ」
私が口を尖らせて反論すると、
「そこは判っているのね」
お母様が安心したように言ってくれるんだけど……
何か違う!
私は女の子で、この子は騎士志望の男の子なんですけど……
淑女捕まえて張り倒したのかとか聞くのは絶対におかしい!
まあ、私は女扱いされたことないけれど……
私はもう諦めモードだった。
その時やっとその子は目を覚ましたのだ。
「あれっ、ここは?」
「王宮よ。リディに酷いことされたの?」
お母様はまだ言っているし、
「いや、リディは別に」
男の子は慌てて否定してくれた。
「竜が出たのよ」
私はむっとして言った。
「竜って飛竜が出たの?」
「違うわよ。もっとでかかったから、古代竜だと思うわ」
お母様に私が答えるが、
「なに言っているのよ。古代竜なんて、あなたが、対処できるわけ無いじゃない」
「そうだぞ、リディ! 古代竜から逃げてきたのなら、直ぐに討伐隊を出さないと!」
お父様まで指摘してくれるんだけど、
「退治できたと思うわ」
私がそう報告したけど、
「そんなわけ無いだろう! ただちに騎士団長を呼べ。古代竜を王都に近づけるな」
「いや、だから……」
「ほっほっほっほ。さすが姫様ですな。古代竜を一人で退治されたのですか」
後ろからレナードが現れて私を褒めてくれたのだ。
「しかし、レナード。この子が一人で古代竜を倒すなどあり得ないだろう」
お父様は信じてくれないみたいだ。
「何をおっしゃるのです、陛下。姫様は初代竜王の生まれ代わりと言われるほどのお方なのですぞ。古代竜を倒しても全然問題ございません。それを証拠に胸に抱えておられるのは姫様の倒した古代の生まれ代わりの子竜ではありませんか」
レナードが私の胸にいるドラちゃんを見てくれた。
「えっ、このドラちゃんが古代竜の子供なの?」
私が驚いて改めてドラちゃんを見ても、暴れていた古代竜に似ているところは金色なところだけだった。
「ピーッ」
可愛くドラちゃんが鳴いてくれた。
なんかひよこのでかいのみたいで可愛いのは可愛い。
「何だと。その金色のが古代竜の子供だというのか?」
ぎょっとしてお父様がドラちゃんを見てくれた。
「リディ! 古代竜のような危険なものを王宮に持ち込んではいけません」
「そうだ。リディ、すぐに捨ててきなさい」
お母様とお父様が言い出したんだけど……
「ええええ! こんなに可愛いのに」
「ピッ」
ドラちゃんも私に頷いてピタッと私にくっついてくれたのだ。
こんな可愛いドラちゃんは捨てられない。
「まあまあ陛下。我がインスブルク王国は元々古代竜が守り神ではないですか。その守り神様を捨てるというのはどうかと思いますぞ」
「ピッピッ」
レナードの言葉にドラちゃんは大きく頷いてくれたのだ。
結局捨てろと叫ぶお父様とお母様をレナード達が抑えてくれた。
「危険なことが判ったら即座に捨ててくるのですよ」
「そうだ。巨大化したなんて事があれば即座に捨てさせるからな」
お母様もお父様もブツブツ言いながらなんとか認めてくれたけれど……
ドラちゃんはとても可愛いのに!
レナードの言葉によると、なんでも古代竜はまれに倒されると子竜化して生まれ変わるのだとか。
「まあ、姫様に倒されてどちらが強いかはこのドラの助も判っておりますからな。姫様に逆らうことはあり得ますまい」
「ピー」
レナードの言葉にドラちゃんも頷いてくれたんだけど。
侍女達も最初はおっかなびっくりだったけれど、食べ物とかお菓子とかあげるととても嬉しそうに鳴くのだ。
たちまち侍女達はピーちゃんの虜になってしまった。
ピーちゃんは絶対に雄みたいで、胸のでかい侍女ほど喜んで近づいてピーピー鳴いて餌をもらっていた。
本当に可愛いドラちゃんなんだけど、古代竜だと思い知らされることがたまにある。
普通魔の森とか一緒に行っても魔物は出てこないのだ。
ドラちゃん連れてダンジョンに行くとダンジョンがパニックになって大変なことになるのだ。魔物全てが皆逃げ出すし、最下層では全魔物が頭下げている事まであった。
さすがにそんな魔物は狩れない。
この世界の頂点が古代竜だというのがよく判った。
でも、今は魔の森の草原でひなたぼっこしてドラちゃん抱っこしてお昼寝中だ。さすがに襲ってくる魔物はいなかった。
「当然でしょう。あり得ないことに二匹も世界最強がいるんですから。儂でも逃げ出しますぞ」
レナードが何か言ってくれたが、無視だ無視!
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
小さい時の閑話でした
リディとレックスのこともどこかで閑話にしたいです
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