魔人を無名剣で倒しました
私は聖女を張り倒して聖女の間を破壊すると、上に残してきたレックス等がどうなったか、とても心配になってきた。
まあ、いるのはゴーレムと国王だけだから、問題はないとは思うが、いまだに誰も降りてこないというところが心配だった。
上の制圧が終わっていれば今頃はハワードかレックスのどちらかが私のことを心配して顔を出しているはずだった。
私は直ちに上に戻ろうとして、はたとして困った。
上への戻り方が判らないのだ。
私が落ちた穴は完全に塞がれていた。
他の出口は見た感じ見当たらなかった。
気絶している聖女を叩き起こして聞き出せば良いのかもしれないが、それも面倒だ。
壊れた聖女の間は本当に天井からのもれる光でしか照らされていなかった。
もうこうなったら、力技でやるしかない。
私は天井を突き破ることにしたのだ。
私は助走を付けると一気に飛び上った。
ダーン
次の瞬間、大きな音をだして私は頭から天井を突き破っていた。
でも、勢いが足りなくて、ズボッと言う感じで開けた穴に填まってしまったのだ。
手が抜けない。私は必死に出ようともがいた。
が中々出来ない。
気になって周りを見ると、そこには壊れたゴーレムが3体と真っ黒な巨大な怪人と、倒れ込んだレックスとハワードとアーチが見えた。
「えっ?」
私は驚いた。
レックスもハワードもアーチも血を流して倒れていたのだ。
3人もやられるなんて黒い怪人が原因なのか?
「なんだ。竜娘。聖女の間で死んだのでは無かったのか」
真っ黒な怪人が声を出してきた。この怪人は話せるみたいだった。
「あんなエセ聖女が私を倒せる訳は無いでしょう」
私は怪人に言い切った。
でもこの怪人は誰なんだろう?
そういえば国王が見当たらないけれど、まさか国王が怪人になった?
「そうか、あの聖女も所詮口だけか? それより貴様は何をしておるのだ?」
穴に填って出られなくなった私を見て国王は聞いてくれた。
「煩いわね。ちょっと失敗したのよ」
私は体を振って出ようとした。
「それよりあなたは誰なのよ?」
「何を言っておる。シュタイン王国の国王じゃ」
「国王がいつから化け物になったのよ」
「ふんっ、貴様に勝つために魔人の薬を飲んで魔人になったのだ。これでもう貴様には負けん」
魔人になった国王が自信満々に叫んでくれた。
「私に勝つために自ら進んで化け物になるなんて、気が狂っているわ」
私が呆れて言うと
「元々化け物の貴様に言われたくない」
魔人になった国王はとても失礼なことをほざいてくれた。
「何ですって!」
魔人の言葉に私はぷっつんきれた。
「ふんっ、嵌まったまま怒っておれば良いわ。動けない貴様の前で貴様の側近達のとどめを刺してやる」
魔人はそう言って笑うと、まず、レックスに向かって歩き出した。
私は必死に穴から出ようとしたが、出られなかった。
魔人はレックスの前で大きく足を振り上げてくれた。
そんな、レックスを殺すつもりなの!
私は強引に穴から手を出すと、私の真横にあったゴーレムの頭を魔神の顔めがけて無造作に投げつけた。
ガツン
大きな音がして魔人の後頭部にゴーレムの頭が激突したのだ。
ダンッ
そして、魔人は顔をもろに地面に激突させてくれた。
「お、おのれ、良くも」
魔人は私を振り返って睨み付けてくれた。
憤怒の形相だった。
「良くもやってくれたな、竜娘」
怒り狂ってこちらに来る。
やばい!
私は必死に体を穴から出そうとしたがお尻が引っかかって出られなかった。
「竜娘め、死ね!」
その私を思いっきり魔人は蹴飛ばしてくれたのだ。
「グウェェェェェ」
思わず胃液が逆流してくれた。
その蹴りは私のおなかに食い込んでスポンと私は穴から抜けた。
それで終わる訳も無く、腰から壁に激突したのだ。
ドシーーーーン
凄まじい音がする。
私は一瞬息が出来なかった。
でも、これで穴から抜けられた。
私は魔人を倒す満々だった。
私は首を振って立上がった。
「さすが化け物、びくともしないのか」
「化け物に化け物って言われたくないわ」
私はそう叫ぶと魔人に向かって走った。
そのまま飛んで魔人の顔を殴ろうとするが、蹴りが飛んで来た。
私は空中でその蹴りにパンチを浴びせるが、魔人の足は頑丈でびくともしない!
そのまま必死に蹴り上げてくれるが私のパンチと同じくらいの力だ。
そのまま離れる。
離れしなにパンチを浴びせてくるが、それは私もパンチで受ける。
くっそう、全然、効果は無い。
まあ、それは魔人にしても同じなんだけど……
素手で魔人に対処するのは限界があった。
聖剣があればこのまま倒せるのに!
でも、ここには聖剣は無い。
私はさっと周りを見ると、そこにレックスの剣が落ちていた。
魔人とやりあう、隙に剣を拾ったのだ。
殴ってきた魔人のパンチを剣で受けた。
「ギャーーーー」
魔人が叫んでいた。
そう、私は基本剣士なのだ。無名剣でも素手よりは効果が出るのだ。
聖剣を握るとそれが最終兵器になるだけで、無名剣でも十分な凶器になるのだ。
「化け物になったシュタイン元国王・クラーク・シュタイン。貴様を成敗する」
「何をいうか、貴様にだけは爬虫類の貴様にだけはまけん!」
「喰らえ、闇の一撃」
魔人担った国王クラークは魔人の最終兵器を放ってくれた。
「ウォーーーー」
私はそう叫ぶとその黒魔術を無名剣を振って弾き飛ばしたのだ。
ドカーン
天井に巨大な穴が開いた。
「では今度はこちらから行くぞ」
私は走り出したのだ。
「何を!」
魔人が殴りかかってくるが、それを避けると魔人の真下に入るや、思いっきり飛び上ったのだ。
そして、下から上に剣で斬り上げたのだ。
「ギャーーーーーーー」
断末魔の声を上げて魔人は真っ二つに斬られたのだった。
「」
ここまで、山あり谷ありでしたが、30万字弱、なんとか書き上げました。
巨大な新生竜王国が出来て、下剋上完了です。
ここまで私のお話、長い間、お付き合い頂き、本当に有り難うございました。
ブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
そして、明朝このお話は完結予定です。
リディとレックスの間はどうなるのか?
お楽しみに!








