竜王の側近の独り言 大国国王は魔人になり、殺されそうになりました
俺はそれから必死にリディの横に立てるように努力した。
インスブルク王国のリディアーヌ王女殿下の配偶者の立場ならば俺の地位でなんとかなった。
我がボルツアーノ王国はインスブルク王国から見れば大国だ。普通ならば俺の本来の地位なれば問題なく嫁にもらうことも出来た。
普通ならばだ。
でも、リディは竜姫リディアーヌ。それが認められるかどうかはまた、別の話だ。
リディを迎えに来たのが、巨大な金色の古代竜だったのだ。
「ドラちゃん!」
俺はリディがその竜をそう呼びかけて唖然とした。
「えっ?」
俺は唖然とした。リディが五歳の時に連れ帰った古代竜がここまで大きくなっているなんて思ってもいなかったのだ。
俺たちは、なんとかその竜に乗せてもらったが、そのスピードは凄まじくて、本当に落ちなくて良かった。
インスブルクでは兄嫁等にはリディはあまり歓迎されていなかったみたいだが、いやいやリディ一人いれば百人力だろうと俺は思った。邪険にするのはおかしい。リディ一人いれば下手したら無敵だ。小さい国なんて一人で征服できると俺には思えた。
リディは古代竜に乗って攻撃に向かうのだが、俺たちもついていく場合は飛竜部隊の誰かの背中に捕まるしかない。一人はリディの後ろに乗るしかなかった。空飛ぶ巨大竜から振り落とされないためにはリディにしがみつくしか出来ない。
俺はリディの後ろを誰にも譲るつもりはなかった。
リディの後ろの位置を死守するために、俺はまたしてもハワードと対戦した。
今度もハワードは必死に戦ってきた。
上背を使って上からから凄まじい勢いで打ち込んでくるのだ。
俺は防戦一方になった。
ガキンッガキンッガキンッ
でも、俺はリディを他の奴等に触れさせるつもりは毛頭なかった。
一瞬の隙を突いて、ハワードに逆襲したのだ。
「グワッ」
鎧の上から剣を叩きつけられて、さすがのハワードも膝をついた。
「くっそう! また、負けた」
剣を叩きつけてハワードは悔しがった。
「り、リデイアーヌ様の後ろの守りは貴様に任す。しかし、邪な考えを起してみろ。その場で貴様を叩き斬る」
なんかハワードはほざいてくれた。
理性では判っているが、それは無理だろう。
竜に乗るリディの後ろからお腹に手を回してしがみつくのだ。
どうしても体が密着してしまう。
夢にまで見たリディに後ろから抱きついている感じなのだ。
鎧を着ていてもほのかにリディの体温を感じてしまうのだ。
この位置を絶対に他の奴には渡さない。
俺は心に決めたのだ。
尤もそんなことを考えていられるのは最初だけで、リディが本気で古代竜を飛ばしてくれたら、俺はあっという間に体に当たる風と力で気を失ってしまったのだが……
こんなのに平然としていられるリディは凄かった。
シュタイン王国の攻撃はしつこく熾烈だったが、リディはそれを悉く覆して、逆襲した。
気づいたら古竜王国を再興し、余計な事をしたギンガルメを併合、シュタイン王国をも降伏させていた。
しかし、シュタイン王国の降伏は罠だったのだ。
気づいたらリディは落とし穴から下に落ち、助けようと動き出した俺たちにゴーレムが襲いかかってきた。
「おのれ!」
ガキッ!
ゴーレムが振り下ろした剣を俺は強化魔術を使って受けた。
何とか受けきったのだ。
ガン!、ガン!
ゴーレムは何回か打ち込んでくれた。
しかし、ゴーレムの力は強いが、動きは遅い。
一回、一回、打ち込みは防ぐのが精一杯だったが、
でも、何回も受けてばかりではいられない。
「喰らえ!」
俺はそう叫ぶと飛び上がって上から強化魔術を使って首を剣で斬りつけた。
ズバッ
鋼鉄のゴーレムの頭が飛んでいった。
ドシーン
大きな音をたてて首を失ったゴーレムが倒れた。
続いてハワードが、最後はなんとか、アーチが仕留めていた。
俺達は残った国王を睨み付けた。
「ふんっ、所詮、ゴーレムはゴーレムか、役に立たんな」
そう言うと国王は瓶の口を開けて何かおどろおどろしい薬を飲みこんだのだ。
俺達はてっきり自害したと思った。
そんな国王を無視して、リディを探しに地下への道を探そうとした時だ。
「ウオーーーー」
いきなり国王が喉を押さえて叫びだしたのだ。
毒が体に回ったにしてはおかしいと俺は思った。
国王は、おどろおどろしい煙に包まれていたのだ。
「な、何事だ?」
俺達は何が起こったか判らなかった。
国王はドンドン大きくなっていったのだ。
俺は唖然とそれを見ていた。
何だ? これは?
こんな巨人化する薬なんて……
そういえば魔人になる薬というのがあると聞いたことがあった。
なんでもその薬を飲むと魔人になってしまうという言い伝えだ。
でも、それを一国の国王が飲むのか?
俺には信じられなかった。
「わっはっはっはっは」
国王、いや、既に国王は真っ黒に染まった魔人になっていた。
「我は今、魔人になれたぞ。これで邪魔な貴様等を全員退治してやるわ」
魔人になった国王は笑って叫んでくれた。
「おのれ、化け物め」
ハワードが叫んで斬りかかった。
「グウォッ」
しかし、斬りかかったハワードは悲鳴に近い叫び声を上げて魔人に蹴り飛ばされていた。
ドシーン!
そのまま壁に叩きつけられていた。
「おのれ!」
俺は剣を振りかぶって斬りかかる。
蹴り上げて来た魔人の蹴りを避けて飛び上がるが、今度は俺に向けて魔人は殴りかかってくれたのだ。
飛び上っていた俺は避けようも無く、そのまま巨大な魔人の手が目の前に来た。
「グオッ」
俺は斬りつけた剣もろとも魔人になった国王に殴り飛ばされていた。
ドシーン
そのまま、壁に叩きつけられて、俺は意識が飛びそうになった。
なんとか立上がるが、その俺の横にアーチが殴り飛ばされてきた。
ドシーン!
アーチは血を吐いて、そのまま起き上がってこなかった。
「おのれ」
ハワードが斬りかかる。
しかし、魔人に蹴られた後遺症かいつものスピードが無い。
そのままもう一度蹴り飛ばされていた。
俺は剣を構えて、再度斬りかかるが、魔人はその俺の正面から蹴ってくれたのだ。
「グオッ」
もろに蹴りが腹に入り、俺はそのまま壁に叩きつけられていた。
立上がろうとしたが、力が入らない。
そこにゆっくりと魔人が歩いてきた。
くっそう
俺はなんとか立上がろうとしたが、力が入らなかった。
ゆっくりと魔人が近づいてきた。
さすがの俺も死を覚悟した。
続きは今夜の予定です。
ここで終わり?
続きは今夜です。お楽しみに。








