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俺の祖父は創造神 ~管理する世界でのんびり過ごす現人神~  作者: 名無しの戦士
第5章

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第130話 結社『福音黒十盟団』

 大陸と呼ばれる地の中小国を統べる、ラーヘム魔導国。

 その首都たる魔都は、魔法を応用した錬金術や魔術を駆使し、頑強かつ上に伸びた美麗な建物と高度な上下水道を備えた都市だ。首都外の町に生まれた国民達は魔都で住まう事を憧れに持ち、魔法魔術学園が教える高等魔法教育の教えを受けようと幼子の頃から魔力量を鍛え上げる。

 百年にも亘る魔術師・錬金術師の囲い込み政策が作り上げた、国内、いや大陸最高級の文明を誇る街。それが魔都だ。美味い食事。強固で快適な住宅。良質な衣服。高度な魔道具。隙が少ない治安。

そういったものを求めて王都に来る者は、国の内外を問わず多い。…それ故、魔導国を狙う他国も存在する。


 ラーヘム国の右、大湖を挟んだ宗教国家ロスチャーロス教国。光神ラヴァッグウルセイラを唯一神と崇め、神の塔に祀られた女神像を世界に魔物と異種族をばら撒いた邪神と広める宗教国。公認の一神教以外の神を崇める事を禁止事項と大陸全土に渡って知らし、拒否すれば邪教徒と認定され歴史の闇に葬られた国が数え切れない。教国が認めない神を信仰すれば破門者と事触れを出し、国王だろうと生死不問の重罪人として扱われる、その非人道じみた国教を周辺諸国の王国、帝国、太陽国、その他全ての国が蛇蝎のごとく嫌っている。


 領土と高度な魔法技術を持つラーヘム国も例外なく、技術を我が物にせんとする教国から長年狙われ続けてきた。しかし、意外にも領土を占拠された事は一度も無い。理由はヴェンロン要塞同様…否、ヴェンロン要塞より強大な長距離連動魔導胞に阻まれて戦に参加する歩兵等を薙ぎ払ってきた。



 其処は限られた者のみ知る隠された地下、選ばれた者だけが知り得る方法で立入が許された空間。

 岩壁を魔術と錬金術で平らに成形しただけの、窓もない灰色の壁、こつ、と。硬い石の床が靴音を伝える。円形の壁沿い設置された螺旋階段を降りた先には単純だが同時に美しさを醸し出す扉。


 開け放つ扉の先には然程広くない空間が広がっている。その内壁は錬金術によって造られた強度と耐久性に優れた建材で舗装されており、汚れの付着の発生を防ぐ効果もある。そんなこじんまりとした光が届かない闇に覆い隠された暗き室内に置かれた円卓、それを囲むように用意された八つの椅子がある。

 上位者が座るべき上座の席を中心に、円卓が部屋の中心にある。円卓を囲む席には、合わせて六人の男女が既に席についていた。反して目立つ空席が二つ。スポットライトが当たっているかのに着席した六人の場所だけが光に照らされている。部屋の壁際には付き人らしき人が彫刻の如く微動だにしないで立っている。


「…それで、失敗したって聞いたが?」

「ええ、()()は失敗しました」


 円卓に頬杖をつき、心底ダルそうにスキンヘッドの大男がテーブルに置かれた報告書をペラペラと一目しながら問いかける。大男の問いに答えたのは皺一つ見受けられない生地がしっかりとした白衣に身を包んだ男性が、鼈甲ぶちの眼鏡を左手で押し上げて木霊のように返答した。


「その失敗で第六柱は狩られ、第七柱の服従魔物の二割を失たって…あぁ?王国支部壊滅以来の大失態じゃねーか第二柱様よぉ!?」

「そうよ~!大量の魔物を服従されるのにどれだけ時間が掛かったと思ってんの~!」


 スキンヘッドの大男に加担する一人の女性。軽くウェーブが波打つ深緑色の髪を手でかき上げた年若い妖艶な美女。スリットが深い紅色のドレスを着飾り胸を強調する女は色香を武器にする者。赤いレースの手袋をはめて、ハイヒールを履いている。白く輝くダイアモンドを中心に、周りを個物のルビーで飾ったネックれるを首に下げている。


「貴女は得したでしょう七席柱…おっと、今は元七柱殿でしたね」

「ふふふ、長年六柱にしがみついたジジ様が消えたわ~。対価にジジ様は私から使役魔物を借りて、私は恩返しとして位が上がり、両者得をしたって訳。ほら、第一柱様が良く口にするウェン・ウェンってやつよ」


 女は思わずドキリとされられそうになる艶美な微笑を浮かべ化粧で赤い唇を歪み、開く。


「正しくは、ウィン・ウィンです。前も同じ間違いをやり取りした記憶があるのですが、貴方は何時学習するのかな?」


 中心に用意された上座の席から一番近い場所に座った喪服と見紛うようなダークスーツを着こなした男が辞書よりも分厚い本のページを捲りながら言葉を返す。


「んな事より、全員が集まったのは何時ぶりだぁ?数年は経ってんじゃねーか」


 優雅さの欠片も無造作な仕草でどかりと椅子に座った大男が口を開く。


「790日と8時間45分ですね。全く、頭の出来が悪い者達が集うと中々疲れますね」

「ああん!?分刻みで数えていたのかよ…そういやぁ、じじぃと同類だったなお前」

「失礼な。私をあのような魔法狂いと同じにしないでいただきたい。論理、数、空間、変換といった概念を扱う数学者と言う非常に名誉な役職に就く私の株を下げた謝罪を要求する」

「っはん!数字狂いと魔法狂いなんて俺からすれば同質なんだよ。それとも何だぁ?力ずくで異を唱えるのか、ぁあ!?」


 白衣の男とスキンヘッドの大男が言い争いを始める。徐々にナイフでも叩き付ける口調は息巻き、二人よりドス黒い妖気(オーラ)が漂い始めている。着席した他の者は既に慣れているらしく会話に割って入る事はしない。


「この状態でもぐっすり眠り続ける第三柱様は大胆わね~。寧ろ呑気な性格らしら?ふふ」

「ヒュー…ZZZ」


 ワインレッドを基調にした現六柱の女は机の上に突っ伏して寝ている若さに輝く娘。小柄な背中に、髪の毛を肩に届くほどに伸ばした紫色の髪が鳥の巣ように絡まり、ボサボサ頭に置かれた花冠には出鱈目な魔素量が籠っている。それ故、少女の花冠に触ろうとする輩はこの場にいない。勿論、過去にはいたのかもしれないが、今頃誰も生きていないであろう。


「………」

「あん、何コッチじろじろ見てんだぁ四柱の?」

「……」

「ッチ、変わらずの無口野郎で。気味が悪いったらありゃしねぇ、お前の口が飾りか何かかえぇ?」


 絶賛機嫌が悪い大男は円卓を挟んで反対側へ座す人物に標的を変えた。外見は若々しく見える男、鍛え抜かれた肉体。グリフォンから剥いだ皮を有効な魔法で加工したコートを羽織った男は会議に参加しても一、二言最低限しか喋らない事で有名な幹部。優秀な魔法使いであるのは堂々たる雰囲気で一目瞭然なのだが、部下も作らずにいつも孤独で旅をしてる変わり者。


「…………」

「気に食わねーなー。今この場でその気障ったらしい顔をブチ潰して俺が四柱に「――止めろ」…」


 構わず突っかかっていた大男を制す声が彼の耳に入った。岩壁を貫くような視線で首を廻せば、パタンと辞書より分厚い本を閉じた光沢のある、生地にシルクが織り込まれたスーツに靴。洒落たタイを締めた男は立ち上がって上席である空席を見ていた。


「彼女も起こしなさい、そろそろ降臨されますよ」


 その言葉の意味を分からない者は存在しない。残りの面々も起立すれば未だ夢の中でお休み中だった少女を同性である現六柱の女性が強引にも起こす。


「皆…揃っているようですね」


 性別が判別できない程絹糸のようなか細い声が皆の耳に入ってくると、淡い光が飛び込んだ。座るべき上座を中心に光の粒子が立ち上っている。空間を照らす光が収まれば種族不明の男、もしかしたら女かもしれない。長く黄金を溶かした金の髪、黒と紫のオッドアイ。整った顔立ちに、切れ長の眼。

 背格好を隠したローブを着た者。


 秘密結社『福音黒十盟団』、盟主本人が降り立った。

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