52. Bonus Stage ロード・オブ・ザ・ウルフ 狼の帰還
「あら?フェンリル今日は学園に行くの?」
「わん!」
やっと筋肉のシゴキが終わったらしい。
これでやっと学園の女の子たちに会いに行けるよ。
ヤツらはまだ学園にいるようだけど、ご主人様の訓練がないなら多少の危険はあるかもだけど大丈夫だろう。
何故に危険を顧みずに突き進むのか?
それはそこに聳える魅惑の双丘があるからさ。
この探究心は筋肉如きでは挫く事はできない。
ボクは狙った獲物は逃さない愛の狩人。
なんせ西で最強を誇った魔狼の王――狼は狩りの達人だからね。
ふっふっふっ……
学園の女生徒たちよボクは帰ってきたーーッ!!!
そして、その日から学園におけるボクの痴への探究が始まった。
ご主人様の受講の間に校内探索を敢行する。それは一瞬の気の緩みがボクを地獄へ叩き落とす数々の危険が隣り合わせの探検だった。
時にご主人様の命を受けた下僕の捜索の網を潜り抜け、時に悍ましい筋肉の群れから恥辱の逃走を余儀なくされた。
だいたいあの筋肉たちは何なの?
雄鶏のトサカみたいな髪型しやがって!
アイツらが視界に入っただけでボクのおっぱいの園が一瞬で筋肉地獄だよ!
ホントありえないよッ!
だけどボクのこの苦しく辛い冒険も甘美な香りに包まれた美しい宝を発見したことで報われた。
ボクは遂に新たな大いなる山と美しく香気な花園を発見した!
それは想像と情熱をかき立てる一枚の名画のような幻想的な光景――巨乳の園!!!
「キャーッ!見てこの子カワイィ!!」
「やだぁすっごく人懐っこいわ」
「真っ白で毛がふっさふさよ」
「や〜ん私にも抱っこさせてぇ」
凄いよここッ!
女の子の大半がCカップ以上はあるよ。
こんな理想郷があったなんて。
まあ、若干1名ボクを熱い眼差しで見詰める可愛いんだけどBカップにもはるかに満たない残念ピンク頭がいたけど……ボクはいくら可愛くてもCカップ未満には興味がないのだ。
ごめんよピンクの人。
こうして数々の苦難を乗り越えたボクと魅惑のボインたちとの蜜月の日々が始まった――――
「フェンリル〜明日アレクサンドールに帰るからね」
――――と思ったら、再び筋肉たちを地獄送りにし始めたご主人様から帰還命令が下った。
「王都に来て半年も経ったし、たまにはお父様やお母様にも顔を見せないとね」
それって……
「お母様もあんたがいなくて寂しい思いをしてるかもだし」
やったぁーーッ!ママンに会えるんだ!!
「私が走れば2、3時間で到着できるからもっと頻繁に帰れるんだけど、それやるとお父様に怒られちゃうから」
ちょっと待ってよ。アレクサンドールまで馬車で数日かかる距離だよね?魔狼モードのボクでも丸一日かかるんじゃないかな。
ご主人様はぶっ飛びすぎだよ――――
――――そして馬車に揺られて数日後。
馬車の旅はサイコーだったよ。
なんせスキンシップと言えば殴る、蹴る、ど突く、首根っこを抑えるのご主人様がボクをずっと膝の上に乗せてくれたんだから。しかも、優しく背中を撫でてくれるオマケ付き。
えがったー……ご主人様のフトモモえがったー……
ご主人様はホント順調に育っているよ――シリ、フトモモ、パイオーツサイコー!
まだママンのフトモモには及ばないけど、まあママンは別格――神の領域だからね。
ママンを除けばご主人様はボクリサーチで1、2を争うよ。
数々の美女たちに膝枕をさせてきたフトモモの大魔術師と呼ばれたボクの調査に間違いはないよ。
「さあ懐かしの都グレコローよ」
アレクサンドールの領都グレコローを一望できる丘で馬車を停め、ご主人様はボクを抱きかかえて地に降り立つ。
そこに広がる景色は、つい半年前までは当たり前のように見ていたもの。ボクの胸に熱い何か……ボクの体を突き動かそうとする激しい情動が湧く。
思っていた以上にボクはこの地へ帰りたかったらしい。失って初めてホントに大切なものに気がつくなんて、ボクもまだまだだね。
「わおぉぉぉおん!」
アレクサンドールよ、ボクは帰ってきたーーーーーーッ!!!
「もう!そんなに興奮しないの」
ご主人様が呆れたように苦笑いするけど、やっと愛しのママンに会えるんだよ!
落ち着かせようとしたのか、ご主人様はボクの背中を一撫でして馬車に戻り、領都の屋敷へ向かった。ご主人様はいつになく優しい手つきでボクを撫でてくれたけど、ボクはもうソワソワしていてもたってもいられなかった。
「おお!カレリン様お帰りなさい」
「ただいまサムシン。門を開けてくれる?」
「はっ!只今」
門衛のサムシンか……彼は厳つい男だけど、無理に触れてこないし上等な餌もくれるから嫌いじゃない。
彼を見ると帰ってきたんだと実感が湧いてくる。
馬車は正面玄関で停車し、ご主人様は下車すると待ち受けていたパパンに抱きついた。
「ただいまパパ」
「お帰りカレリン。随分と綺麗になったね」
「もうパパったら。半年じゃそんなに変わらないわよ」
いや、ご主人様はこの半年で更なる化け物に変貌したよ。
「いやいや本当に大人っぽくなったさ。ママもびっくりするぞ」
「そうかしら……そう言えばママは?」
「ああ、ママも迎えに出たかったようだが……ちょっと出られなくてな」
そう言うとパパンはボクに視線を送ってニヤリと笑った。
なんだその不敵な笑いは……
はッ!パパンめッボクのママンに何かよからぬ事をしたんじゃないだろうな。
「出られないって……まさか病気なの?」
「いや病気ではないんだが……今は大事な時期だからね」
「それって!」
なになに?
ご主人様が何やら驚いているけど……
「もしかしておめでたなの!?」
ん?おめでたって…………なにぃぃぃぃぃいいい!!!
おめでたってことは、ママンが妊娠したということ?
ま、まさかこのパパンは非道にもボクのママンに種付けしたのか!!
「くっくっく……」
パパンのヤツ!勝ち誇った顔をしやがってぇぇぇ!
ウソだウソだウソだウソだウソだぁぁぁぁぁ!!
ボクのママンがこんな奴にぃぃぃぃぃ!!!
「あっ、こらッ!勝手に行かない」
ボクはご主人様の腕の中から飛び出した。
ママンを探そうと匂いを辿ろうとしたけど辺り一帯からママンの残り香が漂っている。当たり前か、ここで暮らしているんだから。
どこ?どこにいるのママン?
ママンがパパンの毒牙にかかったなんて……
しかも、ママンが妊娠したなんて……
信じられない!信じたくない!!
嘘だと言ってよママン!!!
「わおぉぉぉおん!」
ママァァァン!!
いまボクが行くよ!
ボクの鼻が中庭の方へ向かっているママンの真新しい匂いをキャッチする――が、何だ?ママンの匂いに別の何か変な臭いが混ざって……
ボクは駆ける!駆ける!駆ける!
ただ必死に走る!ママンの為に!
そして中庭についたボクは中庭にある四阿で安楽椅子に腰かけくつろいでいたママンを見つけた。ママンもボクに気がつき、その美しい面貌をボクに向けてにっこりほほ笑んだ。
「あら?フェンリルちゃんじゃない」
「わんわん♪」
あゝママン~会いたかったよぉ。ママンのチチぃ!ママンのフトモモぉぉぉ!
「ごめんなさいね。今フェンリルちゃんに構ってあげられないのよ」
なぬッ!
「今ね大事な時期なのよ」
だ、大事な時期!
安楽椅子に座るママンの顔から視線を下げていくと……
まず、その大きく膨れ上がった……おっぱい――グレィィィットォ!
感動さえ覚える神秘の霊峰!サイコーだよママン!
更に視線を下げていくと綺麗なラインのアンダーバストが――ブラヴォォォ!!
もう、胸が震えて涙が止まりません!素晴らしいよママン!!
そして、ボクの視線は更に下がりお腹が――
「パープルちゃんがおめでたなのよ」
――膨らんだ犬がママンの膝の上にッ!!!
な、な、な、な……
「もうすぐ産まれるのよ♪」
「ふっふっふっ……今ママはパープルに夢中なのだ」
「私達が王都に居る間にママが寂しくないようにと飼い始めたんだって――」
な、な、な、な……
「――これ全部」
「わんわん!」
「きゃんきゃん」
「くぅ~ん…くぅ~ん…」
「ばぅばぅ!」
「わおぉぉぉん!」
なんじゃぁ~こりゃぁぁぁあ!!!
よく見れば中庭には小型から大型まで大きさ取り取り、色取り取りの数えきれないほどの犬畜生どもが占拠していた。
「仲間が増えて良かったなフェンリル」
啞然としていたボクにパパンがニヤニヤしながら近づいてきた。
「ママや家人達が寂しがっていてね……」
な・ん・だ・とぉぉぉ!!!
ばッ!と周りを見れば、Eカップ茶髪美侍女のミレリーちゃんが子犬を頬擦りし、Gカップシルバーブロンドメイドのケイトちゃんが大型犬に抱き着いて……
「1人に1匹可愛いワンちゃんさ……可愛いは数だよフェンリル」
なんだとぉぉぉ!!!
辺り一面、ボクの美侍女と可愛いメイドちゃん達がそれぞれ犬の世話をしている。
「貴様1匹では全員の相手は無理だったが、このように数を集めれば皆の満足度が高まるのだ!」
くッ!確かに……しかも様々な犬種を揃えることで、それぞれの好みに合わせられる。これはボクも脱帽の見事な戦略!
「今の時代は一匹狼よりも46匹わんちゃんなんだよ。この屋敷に、もう貴様の居場所はないッ!!!」
パパン!謀ったなパパンッ!!
だ、だけど、どうせ軟弱なこいつらはご主人様の圧力に負けて逃げ去るに決まっている!
「バカめッ!猫とは違うのだよ猫とは!!」
なッ!ボクの声が聞こえるてるのか!?
「貴様の考える事などお見通しだ!犬は群れる習性のある動物、猫のようにカレリンを見ても逃げず、寧ろカレリンの大きな力を認めて安心して服従するのだ」
ぐぞぉぉぉぉぉお!!!
「うわぁはっはっはっ!貴様の言葉は分からずとも、貴様が悔しがっている事は分かるぞ!」
ボクとパパンはお互い相手を射殺さんばかりの激しい視線をバチバチとぶつけ合った。
「もう!パパもフェンリルも下らないことで争わないの」
下らないことだってぇ!
「何を言うんだカレリン!」
男にとってこれほど重要なことはないよ!
「男なら、危険をかえりみず……」
死ぬと分かっていても行動しなくてはならない時がある!
「男には負けると分かっていても……」
戦わなくてはならない時があるんだ!
「男は信念を持って戦い続けてきた!その信念…それは……」
この世には命をかけて戦うに足る素晴らしい胸があるんです!
「何だかんだ言っても2人ともけっこう仲が良いわよね」
ボクとパパンを見るご主人様の目は完全に呆れていた。
「ふん!貴様がどんなに足掻いたところで全ては無駄無駄無駄ッ!」
くッ!悔しいけど確かにパパンの言う通り。
この現状を打開する術をボクは持たない。
「うわぁはっはっはっ!悔しいのぉ悔しいのぉ」
「もう!パパ虐めすぎ!ほらフェンリルいらっしゃい」
うわぁぁぁぁぁん!
ボクは手を広げて迎えてくれたご主人様の大きな胸に飛び込みえっぐえっぐと泣きながらしがみついた。
「そんなにスンスン泣かないの。フェンリルには私がいるでしょ?」
よしよしと柔らかくてボリューミーなボインがボクの悲しみに暮れた心に温もりをくれる。ここのところ、ご主人様はボクに優しく甘やかしてくれる。
うっうっうっ……ご主人様……ええ乳や〜。
「クックック……この負け犬めがッ」
ご主人様の乳を堪能していたら、パパンが勝利を確信した顔で笑い、見ればママンの膝の上でクソ雌犬もパパンのように勝ち誇った目をして嘲笑ってやがる。
ぬおぉぉぉお!
コイツら!コイツら!!コイツら!!!
ごおぉぉぉおッ!!!
ボクの怒りのオーラが紫の炎となって立ち昇る。
このままでは終わらんぞ!
走り去るボクの後方で、ご主人様がパパンを嗜めていたが、それでは問題は何も解決しない。重要なのは今ボクが何をすべきか考えることだ!
ママンのパイオツをッ!ママンのフトモモをッ!ボクの地上の楽園を取り戻すために!
ボクが取れる唯一の手段はやはり……更なる可愛いを目指す!
そしてママンのチチとフトモモを憎っくきパパンとクソ犬から取り戻す!!
ボクはもう最高の可愛いを体現している。
これ以上に可愛いを追及するのは困難だ。
自分を変えられないのなら手段は一つだ!
それは――お洒落!
よぉし、行きつけのペットショップで例の物の作製依頼をしなきゃ!
パパンにクソ犬ども!
首を洗って待っていろよ!
あれを手にしてボクは貴様らに復讐してやる。
貴様らぁぁぁ――
――楽には死ねんぞッ!
ボクは最高の『1つの首輪』を手に入れるんだ!
そして――
――可愛い王に!!ボクはなるッ!!!
――――アレクサンドール領の発展著しい領都で魔狼フェンリルは己の可愛いを凌駕できる首輪をひそかに作っていたのだった。首輪には、フェンリルのキュートさ、プリティーさ、他の可愛いを越えようとする意志が注ぎ込まれていた。それは、全ての可愛いを超越する首輪だった』
みなさんお待ちかねぇ!
新入生を迎えるべく入学式に参加したカレリンは、ガルムの婚約破棄に絶体絶命!
さらに今ここに!五車聖の面々と転生ヒロインが大集結!彼らは力を合わせて、カレリンを迎え撃つではありませんかぁ!
令嬢類最強!?~悪役令嬢より強い奴に会いに行く~「最終死合!悪役令嬢vs集結ガルム連合」にぃ、レディィィ、ゴォ!!




