表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/70

2月9日(2)

***


 何とか退屈な授業とみんなからの追及をやり過ごした。

 そして今、俺は芽衣の家の前にいる。


 ピンポーン……


 彼女の家には何度も来ていたのに、こうしてインターホンを鳴らすのは初めてだった。

 今までは事件の調査をした後、一緒にここへ来ていたからだ。

 付き合っていることもあり下校時は彼女と一緒だったが、制服から着替えたかったので、一度自宅に帰っていた。


「はーい、ちょっと待ってー」

 インターホンを通して芽衣の声が聞こえた。

 直後、トタトタという足音が扉の向こうから聞こえてくる。

「ごめーん、待った……?」

 扉が開かれると、隙間から芽衣が顔をのぞかせた。

 学園でも顔を合わしていたにもかかわらず、こうして彼女の顔を見ると自然と頬が緩んでしまう。

「いや、全然……。ただいま」

「あはは、おかえり」

 彼女は目を逸らしながらはにかむ。そんな愛らしい姿がさらに胸を高鳴らせた。

 靴を脱ぎ、玄関を上がる。

「……なんかとてもいい匂いがする」

「あ、わかった? ……へへ、今日は肉じゃがを作ってみました」

「あ、俺の好きなやつだ」

「ほんとっ⁈ やった。あとちょっとで出来るよ」

「なにか手伝うことはあるか?」

 最近は料理の練習をしているんだ。少しは彼女の役に立とう。


 しかし、

「え、ほんとう? それなら、お鍋を見ていてくれるかな? わたし、シャワーを浴びてくるから」

 ぱっと顔を輝かせながら彼女が言う。

「……え、それだけ?」

 予想外の難易度に目をぱちくりとさせる。

「ん、それだけ」

 どうかした、といった感じで彼女は小首を傾げる。

「い、いや、……なんでもない」

「そう?」

 そう言って彼女は浴室へと向かった。

 俺も言われた通りの役割を果たすべく、キッチンへと向かう。

 コンロの上には、火にかけられた両手鍋があった。蓋を開けてみると、中には牛肉にジャガイモ、こんにゃくなどがグツグツと煮詰められている。

 さらに、鍋の近くには肉じゃがに合いそうな副菜まで二人分用意されていた。


「なるほど、ほとんど準備が出来ているってわけか……」

 相変わらずの手際の良さに舌を巻くしかない。

 たしかにこれなら、自分に出来るのは鍋の火を見るぐらいだろう。


 ということで、苦笑いをしながら俺はお鍋の火を見つめることになった。


少なすぎじゃね、というツッコミはなしでお願いします……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ