第26出撃 温泉
人参機神ウサギロボ、毎週月曜日更新中です。
「やっと休める〜」
座ったら今までの疲れがどっと湧いてきた。
それは晃子も同じようだ。
「さっそくじゃが、ワシは腰痛に利くと言う温泉にでも入ってくるの」
婆ちゃんは無理やり歩こうとしていた。
「私が一緒に行きます」
晃子は婆ちゃんを支えながら露天風呂に行ってしまった。
「……俺も行くか……」
一人で部屋にいても仕方がない。
「温泉は……あっ、あっちか」
通路には大きく看板で温泉に続く順路が書かれていた。
迷いようがない。
「ここか……」
少し歩くと、男湯と女湯ののれんが見えた。
(えっと、俺は……)
正直女湯に入りたい。
今なら晃子もいる。
男ならみたいが正義なのだ。
しかも、今なら他の客はいない。
(……でも婆ちゃんはいるし……嫌われたくないないから……)
俺は男湯に向かった。
脱衣所を出るとかなり広い露天温泉だった。
ここは室内温泉はないみたいだ。
屋根はあるから雨天時でも利用は出来るみたいだけど。
「はぁ〜、なんか疲れがとれる気がする……」
温泉に入ると一気に疲れがとれる感じがした。
「この声……亮太も入ってるの〜?」
壁の向こうから晃子の声がする。
この壁の向こうは女湯なのか……。
「ああ、今来たところだ」
「ふ〜ん、お客さんだぁ〜れもいないから壁越しで話せるね」
「だな」
壁越しじゃなくて一緒に入りたいのだけど。
「婆ちゃんは大丈夫か?」
「うん、なんか痛みが和らいできたみたい」
それは良かった。
「私も疲れがとれてきてるよ。ここの温泉って凄いね」
本当にその通りだ。
婆ちゃんの腰が治るまでまだ暫くここの温泉に入れると思うとありがたい。
「暫く泊まるんだから、今度一緒入る〜?」
まさかの晃子からのお誘いだ。
「えっ、いや、それは……」
まさかのお誘いでパニックになってしまった。
「ははは、冗談だって。流石に恥ずかしすぎるよ」
「はは、だよな〜」
(なんだ、冗談か……、本気で良いのに)
正直、ガッカリした。
「今の慌ててる亮太、見たかった〜」
「見なくて良い!!」
「でも、いつかは……」
「ん? なにか言ったか?」
晃子の言葉がよく聞こえなかった。
「ん〜ん、なんでもな〜い」
そんなやり取りをしながら、俺達は初日の温泉を楽しんだ。
本作をお読みいただきありがとうございます。
よろしければブックマークと評価をお願い致します。
感想も宜しくお願い致します。
それでは引き続きお楽しみくださいませ。




