第25出撃 休息
人参機神ウサギロボ、毎週月曜日更新中。
「よし、長崎に向けて出発じゃ!!」
また婆ちゃんの運転で行くのか。
しかも、今の場所は青森、その正反対と言える場所にあるのが長崎。
車で何日かかるんだ?
正直想像もしたくない。
俺達は車に乗り込んで山道を下った。
そして、街に入って暫く走っていると……。
グギ!!
キキィー!!
嫌な音がして、婆ちゃんが急ブレーキを踏み、車が止まった。
「アタタ」
婆ちゃんが腰を抑えながら唸っている。
どうやらぎっくり腰のようだ。
「すまぬ……動けそうにないの……、暫く出発は延期で……」
婆ちゃんは申し訳なさそうな顔で言っている。
暫くこの地に留まる事になりそうだ。
敵が来ないと良いけど……。
「何処か宿でも探そっか」
晃子が宿を探そうと提案してきた。
幸いな事に山からは降りてこられたし、最近は戦いやら移動やらで、ちゃんと休めてなかったから大賛成だ。
「でも、やってる宿あるのか?」
アニマル帝国の進軍で各地の人が減っている。
(てか、逃げ出した人は何処に行っているんだろう?)
「とりあえず宿と人探しだな」
そう言って俺と晃子は探し始めた。
街を歩いていると民宿『ド根性』って宿が見えてきた。
「とりあえず、あそこに行ってみない? 宿の名前からしてやってそうじゃない? 」
確かに名前だけ見ればやってそうだけど……。
アニマル帝国が近くで暴れたのにやっているのか?
「あの〜、すみませ〜ん」
晃子はさっそうと中に入っていった。
俺も後に続いた。
「亮太!!」
宿に入ろうとした瞬間、晃子が顔を出しきた。
「なっ、なんだよ。ビックリしたぜ」
頭をぶつけるところだった。
「ごっごめ〜ん、でも予想通りやってたよ」
「えっ? 」
俺は宿の中を見ると年老いたお婆さんが1人立っていた。
「えっと、この宿やってるんですか?」
俺はお婆さんに聞いてみた。
「はいはい、やっとりますよ。創業50年を誇るこの宿を簡単に手放したら、死んだ爺様に怒られちまうよ」
いやいや、まずは自分の身を守らないとっと思ったが口には出さなかった。
「3人なんですが、泊まれます? 」
「大丈夫じゃよ、露天風呂もあるから楽しんでいっとくれ」
この宿は露天風呂もあるそうだ。
晃子と入れたら嬉しいんだけど、そんな場合ではないか。
婆ちゃんもいるしな。
でも、いつか2人で旅行とかして……。
「なに、ニヤついてるの? 早くおばあちゃん連れてこよ」
そう言って、婆ちゃんがいる場所まで戻って行った。
「ちょっ、待ってくれ!!」
俺も慌てて後を追いかけた。
婆ちゃんを連れて宿に戻ってきた俺達。
「よし、そんじゃ部屋に案内するじゃよ」
お婆さんに案内されたのは、かなり立派な客室だった。
「あの……ここって高いんじゃ……」
俺はお金の心配をしてしまった。
「あ〜、3人で一泊3000円でかまわんよ。そっちの婆様の腰が悪いんじゃろ? 治るまで格安にしといたる。それにうちの露天風呂は腰痛にバッチリじゃからの」
3人で一泊3000円は安い!!
「良いんですか?」
「かまへん!! かまへん!! ヘンテコなロボット達のせいでこの辺りに人が居なくなっちまったから、お客が来てくれるだけでも有り難いのよ」
そう言うものなんだろうか。
でもありがたい。
とりあえず、好意に甘えることにした。
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