第20出撃 キャロニウムキャノン
人参機神ウサギロボ、毎週月曜日更新中。
「どういう事じゃキャロ」
何故、儂は若返っておるんじゃ。
訳が分からない。
『キャロニウム粒子で肉体を最も活性していた状態にまで戻しています』
そう言えば、そんな事言っていたな。
てっきり、反動を無くすとかだと思っておったが……。
「これなら、儂戦える、行くぞ亮太、晃子ちゃん!!」
婆ちゃんは若返ったのが嬉しいのかテンションが高い。
「まさか、婆ちゃんが若返るなんて……」
「びっくりだね。しかも、めちゃめちゃ美人さんだし……」
それは俺も思った。
若い頃の婆ちゃんがあんなに美人だったなんて。
「なにしてるヨ〜。そっちの新型機はなんだヨ〜」
「儂じゃよ」
「誰だヨ〜、会った事ないヨ〜」
いや、会ってるんだけどね。
俺は心で思ったが何も言わなかった。
誰も若返ったなんて思わないからな。
「儂じゃよ、お前さんとスピード勝負した婆さんじゃ」
「…………はぁぁぁぁぁぁぁぁ!! あの婆さんだって〜!! なんでそんなに若返ったんだヨ〜!!」
かなり動揺している。
無理もない。
俺だって混乱してるんだから。
「えぇい!! 訳が分からないヨ〜。だから、もう終わらせて帰って寝るヨ〜、見よ!! この真の姿を!!」
猪型ロボは変形していく。
二足歩行のロボ型から完全な猪型に。
明らかにスピードに特化していそうな形体だ。
貫通性が高そうな二本の角もついていて、かなり厄介そうだ。
「来るぞ!!」
「婆ちゃん、無理すんなよ」
俺達は迎え撃つ。
「行くヨ〜、スピードマックス!! ストレートホーン」
さっきとは比べ物にならない速度で向かってくる。
しかし、猪と同じで真っ直ぐしか進んできていない。
これならかわせる。
ドゴォン
「うわぁ〜」
「きゃぁ〜」
回避したはずなのに吹き飛ばされた。
「いや、回避しきれておらぬ。あやつが速すぎるのじゃ」
婆ちゃんは見ていたのだ。
回避しようとした瞬間に猪型ロボの突進に吹き飛ばされた所を。
「うっうぅ……」
「大丈夫か、2人共」
「……なんとか……晃子は?」
「私もなんとか大丈夫……だけど、ウサギロボが……」
ウサギロボの損傷が酷い。
「ナビニィー、被害報告を」
『かしこまりました。移動系回路破損、武器の一部使用不可、ウサギロボ、損傷率78%です』
今の攻撃でそんなにダメージを受けたのか。
『自己修復開始、キャロニウムエネルギーを使用します。完了まで150時間』
「いやいや、150時間も待てないから!!」
「次でウサギロボの最後だヨ〜」
「亮太〜!!」
『相葉カナエ様、キャロニウムキャノンLVMAX使用する?』
キャロニウムキャノン?
LvMAX?
もうなんでも良い、この状態を変えられるなら。
『キャロニウムキャノンスタンバイ、モードキャノン』
キャロットロボの腕が大砲みたいになった。
『全キャロニウムエネルギー充填』
「なんだヨ〜!! そんなに倒されたいかヨ〜!! ならお前から倒してやるヨ〜!! ストレートホーン!!」
猪型ロボが突進してきた。
『キャロニウムキャノン、スタンバイオッケー、号令を』
「良くわからんが、発射じゃ!! キャロニウムキャノン発射!!」
きゅぅぅぅ〜、スガァァァァァン!!
物凄いビームがキャロットロボから発射された。
キャロットロボの目の前まで来ていた猪型ロボは直撃を受け、吹き飛んだ。
斜め上のほうに発射した為、近くの山の頂上付近も吹き飛んでしまったけど……。
ビームは日本列島を横断するように飛んでいってしまった。
「とんでもない威力だ……」
「うん……、もうビックリしすぎて、リアクションもないよ……」
凄すぎて唖然としていた。
ボタンのやつも、流石にあんな凄いビームを受けたんだから、倒せたはずだ。
「勝った〜」
「うむ、儂等の勝利じゃ」
『キャロットのキャロニウムエネルギー残量0、キャロニウムエネルギーをチャージしてください』
「なんじゃと、はっ!! 確かに全エネルギーを充填とか言っておったような……、すまぬ、これでエネルギー問題は解決したと思っておったが……」
「いいって、まだ黄金人参は少しあるし、ここの基地にもあるかもしれないじゃん」
フォローを入れてなんとか収めた。
しかし、キャロニウムキャノンで全エネルギーを発射してしまったので、エネルギー問題はまだまだ続くようだ。
とりあえず俺達はロボを時計にしまい、地面に降りた。
「婆ちゃん凄い……って、元に戻ってる!!」
「なぬ、本当じゃ!! 儂の身体が……。どういう事じゃキャロよ」
『肉体の活性化はコクピットのみ有効なんですよ』
つまり、キャロットロボの操縦の時だけ若返るって事か……。
「そんな……普段も若い頃のままにしといておくれ〜!!」
婆ちゃんの叫びは響くが、なんとか猪型ロボを撃退出来た。
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