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人参機神ウサギロボ  作者: テイル
15/46

第14出撃 青森へ

毎週月曜日更新中です。

宜しくお願いします。

「うぁ〜、婆ちゃんもっとゆっくり走って!!」


「きゃあぁぁぁ~」


 婆ちゃんの運転は想像の遥か上をいっていた。

 暴走運転手とは婆ちゃんの事を言うのだと思うくらいだ。


「他の車がいないからスイスイ進めるの!!」


 婆ちゃんはノリノリで運転している。

 だが、確かに他の車は走っていない。

 皆、何処かに避難しているのだろうか?


「よし、ここから高速にのって青森に行くじゃ」


 この運転で高速道路を走るのか?

 勘弁してくれと思うのは俺だけではないはずだ。

 しかし、婆ちゃんしか運転出来ないのなら仕方ない……。


 高速道路に入った瞬間、車はスピードを上げた。

 俺はスピードメーターを確認してみると、時速180キロで走っていた。

 

(これ、軽自動車だぞ……軽で180キロって……)


 アクセル全開で走り続ける車。


「よし、のってきたじゃ!! ミュージックオンじゃ!!」


 婆ちゃんは車のカーナビを操作して音楽を流し始めた。

 その音楽はいかにもスピードを出させるような感じの曲だった。

 車は音楽にのるようにスピードを上げまくる。

 もはや軽自動車のスピードではない。


「ちょっ、止めて〜」


 晃子が車酔いを起こしている。

 この運転では無理もない。


「婆ちゃん、晃子が」


「なんじゃ、情けないの……、なら近くのサービスエリアにでも止まるかの」


(なんでサービスエリアがある事知ってるんだ?)


 暫くして車は無事にサービスエリアに辿り着いた。


「な……なんとか無事に着いた……」


「ほれ、少し休憩じゃ!! 青森まではまだまだかかるからの」


 婆ちゃんの言葉はスルーして、俺は晃子を車から下ろし、ベンチに寝かせた。


「ありがと……」


「ああ、とりあえず休んでろ。俺は飲み物でも買ってくるからさ」


(普段は人でいっぱいのサービスエリアも人型いない……、アニマル帝国のせいで何処かに避難して引きこもっているんだ……)

 

 俺はお茶と食べ物を持って晃子と婆ちゃんの所に戻った。

 もちろん、お金は置いてきた。


「ほら、飲み物だ」


「ありがと……でも置いておいて……」


 まだ動けそうもない。


「晃子ちゃんは車に弱いんじゃな……」


(いや、弱いとかそういうのじゃないと思う……)


 しかしそれを口に出来ない。


 この先もこの地獄のドライブが続くのか?

 そう思うと憂鬱になる。


「なあ婆ちゃん、もっとゆっくり、安全運転で行こうよ」


「なんじゃ、世界の危機なんじゃから急ぐのは当たり前じゃろ」


 それはそうなんだけど……。

 でも、今のままじゃ、アニマル帝国と戦う前に婆ちゃんに殺されてしまう。

 晃子もこんな感じになってるし……。


 ドコォーン


「なんだ!!」


 近くにで凄い音がした。


「まさかアニマル帝国のやつらか?」


 辺りを見渡してみた。

 すると、大きな猪みたいなロボが高速を破壊しながら走ってきていた。


「おっ、まだこんな所に人が残ってたのかヨ〜」


 猪みたいなロボから猪顔の人が降りてきた。

 いや、人なのか?

 顔は猪で、身体は人間っぽい感じだが、少し違う気がする。


「おいおい、こんなオンボロ車に乗ってるのかヨ〜」


「なんじゃお主は!!」


「おやおや、オンボロ車の運転手はオイボレのババアがヨ〜」


「オイボレとはなんじゃ!!」


 婆ちゃんが興奮している。

 まぁ無理もない。

 なんか喋り方もムカつくし。


「俺様は、アニマル帝国のスピードスター、韋駄天のボタン様ヨ〜、ババア、あんたにスピード勝負を申し込むヨ〜」


 スピード勝負?


「俺様の愛車、猪丸と、ババアの車で勝負ヨ〜」


 俺達がウサギロボのパイロットってのは分かっていないようだ。


「婆ちゃんどうする?」


「そんなのは決まっている。受けてたってやるじゃ!!」


 婆ちゃんは気合い十分で受けてしまった。


「さっ、亮太、晃子ちゃん、車に乗るんじゃ」


「いや、晃子はまだ車酔いが……」


 このまま車に乗ったら確実に婆ちゃんに殺される。

 なんとかしなくては。

 せめて晃子が回復するまでは時間を稼がないと。



「おい、ボタン!! 少し時間をくれないか?」


 単刀直入にお願いしてみた。


「なんでだヨ〜、早くやろうぜスピード勝負をヨ〜」


「か弱い女の子が寝込んでるんだ、休ませてくれ」


 晃子の身体が一番大事だから、素直に話して待ってもらうしかない。

 もしダメなら、一人でもウサギロボを呼び出して倒すしかない。


「う〜、分かったヨ〜、1時間だけだヨ〜、それ以上は待てないヨ〜」


 そう言って、ボタンはまた走り出して行った。


「ふ〜、なんとか時間は稼げたか……」


 これで晃子が少しでも良くなってくれれば良いのだけど……。


「ありがと……、早く治す為に少し寝るね」


 そう言って晃子は眠ってしまった。

 婆ちゃんはやる気満々で車のガソリンを補給している。

 セルフガソリンスタンドがあるサービスエリアだったが、正直、ないサービスエリアで良かったと思ったのは内緒だ。


 それからあっと言う間に1時間が過ぎた。

 晃子も目を覚まし体調も回復したようだ。

 サービスエリアにあった、酔い止め薬を俺達は飲み、万全の態勢でボタンを待った。


「待たせたヨ〜」


 ボタンが帰ってきた。

 これから地獄のスピード勝負が始まるのだった。

本作をお読みいただきありがとうございます。




よろしければブックマークと評価をお願い致します。




感想も宜しくお願い致します。




それでは引き続きお楽しみくださいませ。

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