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不遇召喚師と異世界の少女達~呼び出したのは、各世界の重要キャラ!?~  作者: you-key
第2部【動乱】篇 3章《聖槍、天高く》
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141話【想いは届く2】



◇想いは届く2◇


 その日、エミリア・ロヴァルトは。

 まだ顔合わせをしていなかった【聖騎士】全員と顔を合わせた。


 南方(とりで)駐留(ちゅうりゅう)するメンバー。

 【聖騎士】ヴィクトー・マルドゥッガ。

 【聖騎士】オルドリン・スファイリーズ。

 【聖騎士】ロット・グン・ファーバ。

 【聖騎士】ヘイゲラットレイアーズ・ラドアーザス。

 【聖騎士】ノエルディア・ハルオエンデ。

 【聖騎士】エミリア・ロヴァルト。


 そして王都に残っているメンバー。

 【聖騎士団長】クルストル・サザンベール。

 【聖騎士副団長】オーデイン・ルクストバー。

 【聖騎士】ギルオーダ・スコスバー。

 【聖騎士】アルベール・ロヴァルト。


 【リフベイン聖王国】の戦力の中枢(ちゅうすう)である【聖騎士】の半数以上が、南方(とりで)に居る。

 それがどれほどの事態(じたい)なのか、エミリアにはまだ分かっていない。

 自分の事、守りたい人たちの事、それだけで手一杯だったのだ。





 テーブルに置かれたのは、ロットが()れてくれた紅茶だ。

 自分勝手に退出していったヘイズとノエルディアの分は無く、長方形テーブルには四人分のカップが置かれていた。


「わっ……いい香り」


 エミリアは紅茶の(にお)いを()ぎ、思わず声を出す。

 それを、ロットは嬉しそうに。


「そうでしょう。これは、【ルウタール王国】の茶葉なのですよ……」


「――えっ!?」


 (おどろ)いた。てっきり聖王国のものだと思ってしまって、「どこで買えるんですか?」と聞いてしまう所だった。

 しかし、これが敵国産の物だとしたら、いったい何処(どこ)から?

 そんな事を考えているのがバレバレだったのか、ロットは丁寧に答えてくれた。


「これは、近くの村の特産(とくさん)だそうでね……ご丁寧(ていねい)に売ってくれているんだよ」


「……それって」


 続きを、ヴィクトーが補足(ほそく)してくれた。


「……まあそう言う事だ。【ルウタール王国】とは、現在(にら)み合いの最中(さなか)……それでも、戦いに巻き込まれたくはないと言うのが村の本心だろう。この茶葉もそうだが、ここ最近の我々(われわれ)の物資は、近くの村の献上品(けんじょうひん)だよ。だが、後でやっかみを付けられてもたまらん。だから格安ではあるが、買わせてもらっているのさ」


 ここから一番近い村、名は【ホルセト村】と言うらしい。

 この村の村長は、戦時に巻き込まれたくはないようで、ここ南方(とりで)度々(たびたび)(おとず)れては、物資を提供(ていきょう)してくるらしい。

 しかし、いざ戦いが起こった時、略奪(りゃくだつ)されたなどと言われてはたまらない。

 だから、せめてもの価格で購入(こうにゅう)しているのだと言う。


「実際【ホルセト村】は、王国の首都(しゅと)へ通る道ではあるから……(むずか)しい所ね。まして、【ルウタール王国】は熱帯雨林……森を抜けなければ、次の地点に移動が出来ないのよ」


 オルドリンが紅茶を飲みながら言う。

 ヴィクトーとオルドリンは、ここに来てから長い。

 それだけ、【ルウタール王国】にも(くわ)しくなっているのだろう。


「――それに」


「……?」


 笑いながら話していたヴィクトーだったが、一転して真剣なものに変わる。

 エミリアは飲もうとしていた紅茶のカップをソーサーに置き直し、待つ。


「……最近、よくルウタールの兵士が国境(こっきょう)を割って侵入(しんにゅう)してくる……」


「――えっ!?」


 ドキリと、心臓が鳴った。


「その(たび)撃退(げきたい)はしている。こちらに被害(ひがい)はない……だが、(あま)りにも頻度(ひんど)が多いのでな……騎士たちの疲弊(ひへい)もある」


 それに加えて聖王国にも報告があった、(とりで)建築(けんちく)だ。

 しかも、弓矢や投石を不可思議(ふかしぎ)な力で防いでいると言うのがあり、手を焼いているのだ。


「なので、【聖騎士】三人の援軍(えんぐん)は、非常に士気(しき)を上げてくれる。それに多少ではあるが、兵も連れて来てくれたからな……充分に戦力になるだろう」


「し、精進(しょうじん)します……」


 期待に(こた)える事が出来るかと不安になるが、そこは対応していくしかないと腹を(くく)るエミリア。


「うむ、期待するぞ。かく言う昨日も戦闘があったのだ、監視は怠らず、いつ出撃してもいいように準備してくれ……ハルオエンデにも、(つた)えておくんだぞ?」


 (あき)れ気味に言う責任者(ヴィクトー)に、エミリアは背筋を伸ばして。


「は、はいっ!!」


 と、他の二人も。


「「了解(りょうかい)!」」


 と、(うなず)くのだった。





「――何それ?」


 声を出したのは、異世界人サクラだ。

 【福音のマリス】に帰宅して、第一声がこれだった。

 言われたのはエドガー、エドガーは戸惑(とまど)ったように、手に持つ祭具(さいぐ)をサクラの正面に()えて言う。


「いや……何て言うか……ヴァジュラって言うんだけどね?」


『わーっはっはっはっ!(おどろ)け白いの!()の名は【聖槍ヴァジュラ】だぁぁ!』


「……【異世界召喚】の結果がこれ(・・)っと事かな?」


『ゴラァァァァ!誰がこれだ!?おい指をさすなぁぁぁぁ!!』


 まったく動じないサクラに、逆にエドガーが(おどろ)く。

 一緒に帰って来たメルティナも、現在サクラの隣で(おどろ)いていると言うのに。


「お、(おどろ)かないのかい?」


 意外そうに。


「うん。異世界だって受け入れてから、何があっても動じないって決めたし……現に《魔法》とか“魔王”とか“悪魔”とか見てるし。こんくらい(・・・・・)平気でしょ」


『だぁぁれがこんくらいだぁぁぁ!!――だから指をさすなってばぁぁぁぁぁ!!』


 ヴァジュラは黄玉(おうぎょく)をバチバチと発光(はっこう)させて激怒するが、サクラは完全無視だ。

 ただ単に(めず)しいものを見る様に、ヴァジュラを見つめて。

 しかし、(ひたい)の《石》をキラリと瞬間(かがや)かせると。


「……ヴァジュラだっけ?」


『そのとーーーりだ!白いの』


「――うっさ……あたしはサクラ。で、後ろ(・・)にいるのがサクヤ」


「え?」

『お?』


 サクラが指差す、エドガーの影の中から。

 にゅーーんと出てくる、【忍者】サクヤ。


「うわっ!?」

『にょわっ!』


「わたしはサクヤだ。主様(あるじさま)……エドガー殿のシノビだ」


「サ、サクヤ……どうやって――あ、そうか。それが【忍術】ってやつなんだねっ!?」


「はい、主様(あるじさま)。【影移動】と言う術です」


 影から出終えたサクヤは、ポンポンと忍び装束を正して言う。

 エドガーは興味(きょうみ)ありげに色々と聞きたそうにしているが、紹介はまだ終わっていない。

 (おどろ)きで固まっている緑の代わりに、サクラが。


「んで、こっちの固まっているのが、メルティナ……メルって呼んだげて」


「――あ。ワタシはメルティナ・アヴルスベイブと呼称(こしょう)します。サクラが言う通り、メルとお呼びください」


 正気に戻ったメルティナは、ぺこりと頭を下げた。

 するとヴァジュラが、意外にも。


『あ……これはご丁寧(ていねい)にどうも……私はヴァジュラと申しまして……って!何を言わせるのだぁぁぁ!!』


「あ、あはは……」


 とりあえずの異世界人たちの対面に、エドガーは安心する。

 そして、そのエドガーの後ろから来た二人も。


「よかったわね。サクラもサクヤも動揺(どうよう)しなくて」


「そうだな。其方(そなた)は「喋ったぁぁぁぁぁ!」って叫んでいたからな……ローザよ」


「う、五月蠅(うるさ)いっ!」


 ローザとフィルヴィーネだ。

 ローザは、先程の事を思い出させられて顔を赤くする。

 確かに(めずら)しい光景(こうけい)だった。


「そんな事より、あの槍をどうやってエミリアに届けるかよ。ヴァジュラもエミリアに会う事に乗り気みたいだし……」


(われ)はいかんぞ?」


「言ってないでしょ……そんな事」


 フィルヴィーネの《転移魔法》があれば早いのは確かだ。

 エミリアたちが向かった【ルウタール王国】との国境(こっきょう)付近までは、馬車で向かう。

 エドガーたちには【装甲車ランデルング】があるが、【リズリュー渓谷(けいこく)】を、あの巨体で進むのは無理だろう。


「……メルティナが飛べれば、言う事は無かったけれど」


「今それを言っても仕方なかろう。解決もせぬうちに、あ奴にまた《石》を付けさせるのか?」


「だから、そんな事言ってないってばっ!!」


 そうだ。メルティナは、《石》を外して自分自身と向き合い始めた。

 それを、無理矢理《石》を付けて飛べなどとは言えない。

 ローザだって、同じ経験をしたからこそ、絶対にそんな事を言うつもりはない。


「私だって……充分に理解してるわ。あの子がどんな思いで《石》から離れて、どんな想いで今……ただの人間として過ごしているのか……」


 それは、異世界人共通の想いだ。

 すべては“契約者”の為、大切な人に想いを(つむ)ぐ為。

 彼女たちは、その為に――進んで行くのだ。


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