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不遇召喚師と異世界の少女達~呼び出したのは、各世界の重要キャラ!?~  作者: you-key
第2部【動乱】篇 2章《天使奔走》
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50話【黒銀翼と白銀牙】



黒銀翼(こくぎんよく)白銀牙(はくぎんが)


 未来ある少年。ラインハルト新皇帝(しんこうてい)に、シュルツは(こうべ)()れて言葉を()べる。

 その様子を、大臣と二人の騎士も固唾(かたず)を飲んで見守っている。


「――ラインハルト・オリバー・レダニエス陛下(へいか)……陛下(へいか)が仰られた()、このシュルツ・アトラクシア……最大の褒美(ほうび)として受け取りたく思います……是非とも軍事顧問(ぐんじこもん)の件、(つつし)んで(つと)めさせていただきましょう」


 初めから反抗(はんこう)するつもりなどは無かった。利用するものは何でも利用する。それがシュルツのやり方だ。

 しかし、不思議(ふしぎ)とこの少年の言葉は信じられると感じた。

 いや――思い知らされたのかもしれない。


「そうか……それは重畳(ちょうじょう)。その思い、有難(ありがた)頂戴(ちょうだい)する事としよう」


 ラインハルトに頭を下げさせなかったシュルツの気遣いと、覚悟を持った宣言(せんげん)に。

 孤立(こりつ)するかも知れない可能性があるにも(かかわ)らず、(したが)うと心意気を見せた誠意(せいい)に。


「――聞いたな。ボーツ大臣」


「……は!」


 ラインハルトはボーツ大臣と、背後に待機する騎士二人に()げる。

 騎士二人も、「ははっ!」と(うなず)いた。


「シュルツ殿は軍事顧問(ぐんじこもん)継続(けいぞく)。ボーツ大臣と双璧(そうへき)を成すもう一人の大臣は、近い内にも任命(にんめい)しよう……それと、【黒銀翼(こくぎんよく)騎士団】と対を成す【白銀牙(はくぎんが)騎士団】の件だが……俺はお前たちに(たく)したい」


 ラインハルトの言葉は、後ろに待機する二人の騎士に向けられた。


「え……!マジで――じゃなくて、本当ですかっ!?」

「そ、それは……こ、光栄(こうえい)です……!陛下(へいか)!」


 後ろに待機していた騎士二人は(おどろ)く。

 ここに居る時点で、実力はあるのだろうと思ってはいたが、シュルツは観察(かんさつ)するように二人を見る。


 一人はショートカットの女性。

 堅苦(かたくる)しそうな言葉使いと、(ととの)えられた服は、生真面目(きまじめ)を言い(あらわ)していた。

 もう一人は、言葉使いで分かるかもしれないが、軽い口調(くちょう)の青年だ。

 年齢は、二人共20歳を超えるかどうかといったところだ。


「ああ。ルーク、それにアイシア……【黒銀翼(こくぎんよく)】は帝国を羽ばたき、外敵(がいてき)を斬る(つばさ)だ……対して【白銀牙(はくぎんが)】は、この帝国を守る(きば)となるのだ。その役目(やくめ)、お前達なら成し()げられると期待しているぞ」


「――は、はい!(つつし)んでお受けします!」

「お任せ下さいよ!!陛下(へいか)!」


 ドンと任せろ!そんな風に言うルークと呼ばれた青年。

 (かしこ)まりながらも、期待されることに嬉々(きき)とするアイシアという女性。

 二人は、以前からのラインハルトの護衛(ごえい)騎士だ。

 それだけ、実力だけ(・・)は折り紙付きといえよう。


「――ゴホン!では、【白銀牙(はくぎんが)】の騎士団長はアイシアに、副団長はルークに任せましょう」


「えぇ!?そこは俺じゃないんすかっ!?」

妥当(だとう)でしょう、あなたでは無理無理」

「なんだよ連れねぇな……はぁ……」

「ふふ、陛下(へいか)の一番盾は、わたしが引き受けたわ」

「なんだよ、一番盾って。槍じゃねーの?」


 二人でやり取りをする事に、ボーツ大臣はわざとらしい咳払(せきばら)いをする。


「ゴホンゴホンゴホン!!」


 ババッと、背を正す騎士二人。

 そっと笑うラインハルトの笑顔を見たのは、シュルツだけだった。


「では陛下(へいか)。【白銀牙(はくぎんが)】の団長はアイシア、副団長はルークでよろしいでしょうか」


「ああ、適任(てきにん)だろう」


 【黒銀翼(こくぎんよく)】の騎士団長と副団長は(すで)に決まっているし、もう議題(ぎだい)はない。

 ラインハルトは席を立ち、(きびす)を返す。

 それが分かっているかのように、ボーツ大臣は頭を下げた。

 副団長ルークは、ラインハルトの後をついて行く。

 団長アイシアは、ボーツ大臣と話し合いをする為に残り。

 シュルツは。


(なるほど。何も言わなくても、それぞれが次の行動に移せるのか……確かにこれは、聖王国では見ないな)


 新しく決まったばかりの団長として、アイシアは話をする必要がある。

 だから残るのは当然であり、必然的にラインハルトの護衛をしなければならないのはルークになる。

 それを、言われるまでもなく行動に移し、ボーツ大臣も自分が【白銀牙(はくぎんが)】の編成をすると分かっていたのだ。

 シュルツは軍事顧問(ぐんじこもん)として、これからも帝国と関わりを持つと決めた。

 “魔道具”の開発をするには、確かに専門(せんもん)技師(ぎし)が必要だろう。

 しかしきっと、ラインハルトは数日もかからずに用意してくる事だろう。

 【魔道具設計の家系(アイテムメーカー)】を切って捨てる事が出来るのだ、それなりの人物の確保はしていると考えられる。


(……さて、どれほどのものかね……レディルくらい万能(ばんのう)でないと、俺の知識が無駄になる事……理解しているのかな?陛下(へいか)は……)


 円卓(えんたく)を後にするラインハルトの背を見ながら、シュルツはそんなことを考えていたのだった。





 (おどろ)くことに、ラインハルトは翌日、(すで)技師(ぎし)を用意してきた。

 自室までわざわざ迎えに来た女性に、シュルツは心の底から(おどろ)いていた。


「……いや、流石(さすが)驚愕(きょうがく)と言わざるを()ないな……数日はかかると()んでいたのだが」


「ラインハルト陛下(へいか)のご命令ですので。わたしはカイネラ・リューソンと言います。わたし達技術屋(ぎじゅつや)は……あなたのような異国の人間にも(したが)いますよ。よろしくお願いしますね、室長(・・)


 シュルツの目の前で、その当人に若干(じゃっかん)の毒を(ふく)んだ言い方をするのは、眼鏡(めがね)をかけた女性だった。

 名をカイネラ・リューソンと言う。高身長の22歳。

 緑色の軍服を身に(まと)い、ロングスカートには太腿(ふともも)付近までスリットが入っていた。


 シュルツは軍事顧問(ぐんじこもん)の他に、技術顧問(ぎじゅつこもん)とも呼ばれていた。そこに新たに“魔道具”開発室の室長(しつちょう)と言う、新たな役職(やくしょく)を与えられていたのだった。


「いやー、キミのように若い女性が部下か……なんだか緊張するね。よろしく頼むよ」


 シュルツは毒づかれた事を完全に無視して、棒読みで女性の手を取る。

 グッと()められた力で、嫌々だと何となく(つた)わる。お(たが)いにだ


(それでも何も言わずに俺に(したが)うと言うのは、陛下(へいか)人望(じんぼう)だろうな……つくづく、ラインハルト陛下(へいか)は若者の支持(しじ)が高かったんだな……)


「……いえ。こちらこそ……それでは室長(しつちょう)、早速ですがお仕事です」


「……はい?」


 挨拶(あいさつ)を終えて(そく)仕事。

 情緒(じょうちょ)もへったくれもない。

 だがしかし、シュルツも仕事が嫌いな訳ではない。性格的にも職人気質(しょくにんきしつ)、部下になる人物達がどんな奴かとも気になっていた。

 しかし、まさか紹介されて()ぐに仕事にかかるとは思わなかったが。


「ーですから仕事です。前任者の工房(ファクトリー)は手付かずで残っていますから、そこを拠点(きょてん)にしてもいいとの事です。現在技師は77名、わたしと室長(しつちょう)(ふく)めれば79名になります。正直言って、物凄く腕の立つ者は多くありません……わたしの言いたい事、分かりますでしょう?」


「……」


 指導(しどう)しろという事だ、その77名に。

 シュルツは一気に鈍重感(どんじゅうかん)に襲われる。

 一度頓挫(とんざ)している以上、今度はゆっくりまったりと事を進めたかったと言うのもあり、この国のお人柄上、仕事熱心だということを失念(しつねん)していた。


「――何をしているのですか?室長(しつちょう)。行きますよ、こちらです」


 スタスタと一人歩いて行ってしまうカイネラ。

 有無も言わせないままに、彼女は(すで)に仕事モードのようだ。


「あぁ……面倒臭(めんどうくさ)いなぁ……――はぁ……でもまぁ、こういうのもいいか」


 シュルツはカイネラに付いて行く。

 向かう先は、帝国最大の“魔道具”工房(ファクトリー)

 近い未来、【アトラクシア研究室】と名付けられる、その場所だった。


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