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不遇召喚師と異世界の少女達~呼び出したのは、各世界の重要キャラ!?~  作者: you-key
第2部【動乱】篇 1章《帝国内乱》
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21話【指南役の噂】



指南役(ローザ)(うわさ)


 【聖騎士】ノエルディア・ハルオエンデの【従騎士(じゅうきし)】、リエレーネ・レオマリス。

 彼女が【召喚師】エドガー・レオマリスの妹だと言う(うわさ)は、あっと言う間に広がったのだが、実は火消しも相当早く行われた。

 というのも、それ以上の(うわさ)が、城内で(ささや)かれていたからだ。


「おい、聞いたか?」

「ん?なにを……?」

「おっ!もしかして、ローマリア様の指南役(しなんやく)の話だろ?」


 三人の騎士が、仕事もそっちのけで会話をしている。

 それを、二人の少女は白けた顔で見ていた。

 一人はリエレーネ。言うまでもなく、ほんの少し前まで(うわさ)の的になっていた女の子だ。

 もう一人の少女は、レイラ・エルヴステルン。

 リエレーネの学友であり、【聖騎士副団長】オーデイン・ルクストバーの【従騎士(じゅうきし)】だ。


「――男って、皆ああなのかしら……」


 サンドイッチを(つつ)ましく頬張(ほおば)りながら、嫌なものを見る様に(つぶや)く。


「い、いや~、どうなんだろうね……皆がそうとは(かぎ)らないと思うけど……」


 弁当のサラダを少し口に運び、隣でムッとするレイラに自嘲気味(じちょうぎみ)に言う。


「この前までリエの話をしていたのよっ!?」


 (おも)にあの三人だ。

 警備騎士である身ながら、(ひま)そうに世間話をしている。

 真面目なレイラからすれば、そうとう腹立たしい事だろう。


「あはは……でも、ローザ様(・・・・)のお陰かな……」


 ロザリーム・シャル・ブラストリアは入城の(さい)偽名(ぎめい)として、ローザ・シャルの名で勤務(きんむ)をしている。

 特に隠す必要は無いのだが、(すで)にローザの名で、城内に知れ渡っているのだった。


「でもあの人……リエのお兄さんの知合いでしょ?」


「わ、私は知らないよ……最近会ってないし、帰ってもいないから」


 リエレーネはローザに会っていない。

 レイラは一度、【福音のマリス】で会っているのだが、会話らしい会話は無かった。


「――帰りなさいよ……騎学の建て直しが完成するまで、学校は休みなんだから……」


「……そ、そうなんだけどねぇ」


 フォークでサラダをザクザクと刺し、言いにくそうにレイラの方を向く。


「いやほら……宿舎(しゅくしゃ)は無事だったし、あの後()ぐに【従騎士(じゅうきし)】に選ばれて、その……ごたごたしてたし……ねぇ?」


「ねぇ?じゃないわよ……そりゃ私だって【従騎士(じゅうきし)】に選ばれたのはうれしいけど……」


 騎士学校は、エミリアとセイドリック・シュダイハの決闘の(さい)に使われた提供(ていきょう)場所だった。

 しかし、“悪魔”バフォメットが大暴れをした結果、校舎が破壊された。

 それで現在は授業(じゅぎょう)が受けられなくなっていたのだ。

 レイラは、その(さい)の休みに家に帰ったらいいのでは?と言っているのだが。

 遠回しだが、ローザと話さなくていいの?という事なのだろう。


「なんだか、お兄さん凄いわよね……ローマリア殿下(でんか)とお知り合いなのも凄いけど、ローザ様とどこで知り合ったのかしらね。気にならないの?」


「……」


 答えはリエレーネの顔に出ていた。

 それはもう滅茶苦茶(めちゃくちゃ)気になっている。

 あの決闘の日から、悶々(もんもん)としている程に。

 ローザだけではなく、黒髪の少女二人もそうだ。

 一人は出場者のサクラと言う少女。もう一人は名前は分からないが、どちらも可愛いかったのだけは分かる。


「……」


 リエレーネの顔を見るレイラは、「ああ~、はまっちゃってるわねぇ」と、天を向いて(なげ)く。

 長い付き合いだからこそ分かる、リエレーネの性格を。

 無言で虚空(こくう)を見つめ、何かをブツブツ(つぶや)き出し。


「おーい、リエー?お昼終わるわよー。食べなさーい」


「……」


 ブツブツは止まらない。

 「会いに行く」「誰に?」「いやローザ様」「そこはお兄ちゃんでしょ」「それは無理」「なんで?」「()ずかしい」「何故(なぜ)?」「しばらく会ってないし」「だから行くんでしょ?」「無理」「【従騎士(じゅうきし)】になったこと、()めてもらえるかもよ?」「……それは、欲しい」「じゃあ行こう?」「……よし!行こう!」


「レイラ、私……ローザ様に会いに行く!!」


「――いやそっちかーいっ!!」


 (ひと)りで会話しだしたリエレーネの言葉を聞き終え、レイラは盛大にツッコんだ。

 リエレーネの壮大(そうだい)(ひと)り言は、兄が(から)むと出てくるのだが、この様に(ひと)りで会話をしだし、(ひと)りで解決していく。

 本来は同じ騎士学生のラルンとピリカも一緒にツッコむのだが、二人は【従騎士(じゅうきし)】では無いので当然ここにはいない。

 そして、(すで)にリエレーネの中で答えは出ているので、レイラには止められなかった。


「――行ってくるね!」


「……え、い、今から!?」


「うん。後よろしくね!」


 シュバっと立ち上がり、リエレーネは返事も聞かずに走り出す。

 レイラは腕を伸ばして(つか)もうとしたが、間に合わず。


「あ、ちょっとリエ!……昼仕事どうす……んの……行っちゃった……」


 伸ばした腕を戻して、レイラは天を(あお)ぐ。


「……ふふ。面倒臭(めんどうくさ)い子なんだから……もうっ」


 リエレーネのこの性格のお陰で騎士学生を続けられてきた事を思い出し、レイラは笑ったのだった。





 【白薔薇(しろばら)庭園(ていえん)】。

 広い城内の中で、第三王女ローマリアの傘下(さんか)の騎士が駐屯地(ちゅうとんち)とする、王城の東地区だ。

 その一部の部屋から、少女の悲鳴が木霊(こだま)して来る。


「――あぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


 部屋の入口を守護する騎士は、その声に一度ビクッと肩を(ふる)わせるも、「またか」と()ぐに気を取り直して勤務(きんむ)に戻る。

 そしてその室内では、第三王女ローマリアが、第三王女付き指南役(しなんやく)、ローザ・シャルに、しこたましごかれていた。

 (ひたい)からぷしゅ~っと(けむり)を立たせて、ローマリアがへの字に横たわる。


「――行儀(ぎょうぎ)が悪いですわね、ローマリア様……それでは立派な王族にはなれませんわよ?」


 ローマリアの(ひたい)にぶち当てた指をフッと一吹きして、ローザが言う。

 この前の時とは違い、髪をアップにして(すず)しそうだ。

 というのも、《石》の力を最低限に(おさ)えて生活をし出した為、汗を()くようになったからだ。

 第二王女スィーティアに勘付かれない為でもあるが、これはローザに取っても好都合(こうつごう)だった。


「さぁ、もう一度。立ってくださいローマリア様」


 スパルタなローザの指導(しどう)に、ローマリアは失敗するたびにデコピンをされていた。

 今は、立ち振る舞いの作法だ。

 ローマリアは秘蔵っ子だったため、公爵家やそれに近い貴族にしか出向くことをしていなかった。

 伯爵令嬢(れいじょう)(今は公爵令嬢(れいじょう))であるエミリアですら、この前会ったのが初めてなのだ、王女らしい振る舞いを個人的には頑張っていたローマリアだったが、ローザに言わせれば全然だめらしい。


「ロ、ローザ……少し休憩を……おでこが火を()きそうなのよっ!」


 前髪を上げ、赤くなったデコを見せる。

 確かに赤い。しかし、箇所(かしょ)は一ヶ所。

 つまり、何度も失敗し、何度もデコピンを受けては、全て同じ箇所(かしょ)を的確に打たれていたのだろう。


駄目(だめ)です。私も(ひま)じゃないの……理解でき(わか)るでしょう?」


 そもそも指南役(しなんやく)なのでは。と内心では思うローマリアであったが、事態が事態なのでそうは言えない。

 ローザは最近、図書館(としょかん)で本を読み(あさ)っている。

 初めは医学書だったが、最近は歴史書や童話(どうわ)なども読んでいるようだ。

 それも、サクラの記憶を取り戻すためだと、勿論(もちろん)理解している。

 更には、スィーティアが《石》の反応を探って城内を探し回っていると言う危険性もある。

 そのせいで、毎日でも(おこな)いたい筈のローマリアの勉強時間も、限られていた。


「うぅ……いずれたんこぶに進化してしまいそうだわ……」


「なら、そうされない様に(つと)めなさいな……それでなくても、努力不足で舐められるているのだから」


「――うぐっ」


 痛い所を突かれた。ローマリアはこの前、とある公爵家に執務(しつむ)挨拶(あいさつ)に行った。

 そこでミスをして、赤っ(ぱじ)をかいてきたのだ。

 その場に帯同(たいどう)したローザが頭を(かか)える事になる(ほか)、ノエルディアはメイドに間違えられていた。


「ほら、立ちなさい。いや立て」


「――ローザが怖いっ!どんどん遠慮(えんりょ)が無くなっているぅっ」


 周りに誰もいないからと分かっていても、王女にしていい態度(たいど)であろうか。

 そんなローマリアとローザが練習を再開しようとした時だった。

 ローマリアに取っては運良く、部屋の扉がノックされた。


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