表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不遇召喚師と異世界の少女達~呼び出したのは、各世界の重要キャラ!?~  作者: you-key
第1部【出逢い】篇 4章《残虐の女王が求めるもの》
192/383

178話【王女としての訪問】

累計10万PV達成しました。

ありがとうございます!!



◇王女としての訪問(ほうもん)


 豪勢(ごうせい)な馬車の中で、【リフベイン聖王国】第三王女、ローマリア・ファズ・リフベインが、その顔を(おお)って赤面していた。


「――ぁぁぁぁぁぁあっ!!面倒(めんどう)な事をぉぉぉぉっ!!」


 先日来た時とは全く別人のようなドレスを(まと)い、数々の装飾品(そうしょくひん)を身に付け、髪を()い上げている。

 しかし、顔を(おお)うそのオーラは、なんとも残念な人そのものだった。

 その隣でクスクスと笑う【聖騎士】の男は、その王女の様子を見て軽快(けいかい)に言う。


「いやー、早速(さっそく)やらかしましたね……あの兵」


 先程サクラとぶつかった青年兵士は、名をレグオス・イレイガルと言う。

 今日着任したばかりの、新人の【従騎士(じゅうきし)】だ。

 しかし、従順(じゅうじゅん)するはずの上司の騎士(・・・・・)は、ここにはいない。


「――笑い事ではないわよ……オーデイン。【聖騎士団長(クルストル)】の【従騎士(じゅうきし)】だからと帯同(たいどう)を許したが、普通あそこでぶつかる?……ワザとではないの?」


 レグオスは、【聖騎士団長】クルストル・サザンベールの【従騎士(じゅうきし)】だ。

 その騎士団長から、この青年の同行(どうこう)を許してほしいと頼まれて、仕方がなく許可をしたのが一刻(いっこく)(一時間)前。

 つまる所、レグオスはド緊張していたのだ。





「――あ、あの……その……ごめん、なさい……お、俺……」


 貴族の出でもなく、有名騎士の子息(しそく)でもない。

 そんな自分が、【聖騎士団長】の【従騎士(じゅうきし)】?と、いきなりの重責(じゅうせき)に心臓が飛び出そうだった。


 緊張のあまり、本来ならば動かなくていい筈の自分が、他の騎士に追随(ついずい)してしてしまった。

 ローマリア王女殿下(でんか)が馬車から降りるサポートをする。

 そんな兵士たちの邪魔をしてしまった。しかも、宿の前で掃除(そうじ)をしていた少女を突き飛ばしてしまったのだ。

 その瞬間、緊張は恐怖(きょうふ)に変わった。

 【聖騎士団長】の【従騎士(じゅうきし)】、ローマリア王女殿下(でんか)のお付き、そんな自分が、王女が訪問(ほうもん)する場所に(つと)める?人間を突き飛ばしたのだ。

 故意(こい)ではない。(けっ)して故意(こい)ではない。


「――なんだお(ぬし)っ……ぶつかっておいて、女子(おなご)に手を差し出すこともせぬのかっ!」


「……え、ええ!?」

「はっ?」


 青年と、倒れる少女の間に割って入った小柄な少女は、とんでもない事を言い出した。

 自分は確か、倒れる少女に手を差し伸べた。謝辞(しゃじ)もした。はずではなかっただろうか。

 その証拠(しょうこ)に、倒れていた少女もぽかんとしている。


「――ちょっ!【忍者】っ!馬鹿!その人はあたしに手を差し伸べたわよっ――あんたが叩いたんでしょうが!」


(うわぁぁ!良かった、良かったあああああっ!)


 倒れていた少女が、もう一人の少女の手を取って立ち上がり。

 どこからか取り出した紙を()った(たば)で、二つ(くく)りの少女を殴った。

 こう、すぱーーんと。


「痛っ。何をするかっ!?人が善意(ぜんい)で助けたと言うにっ!」


「それは善意(ぜんい)じゃなくて押し付けって言うのよ!……――ごめんなさい、あたしもボーっと突っ立ってたから……」


 ツインテールをぶんっと揺らして、少女は青年に(あやま)った。


「あ、いや……俺――いや私も、失礼しました!」


「いえいえ、騎士様もお仕事ですから……邪魔してしまい申し訳ありません」


 お(たが)(あやま)り合い、何度も謝辞(しゃじ)の投げ合いをする。

 ザ・日本人の行動だ。

 サクヤだけは、自分がややこしくしたとも理解せずにむすっとしていたが。




 そして、重々(おもおも)しくも馬車の扉は開く。

 それに合わせて、一斉(いっせい)に兵士たちは敬礼(けいれい)をする。

 合わせるように、レグオスも敬礼(けいれい)をしているが。

 ゆっくりと降りてきた王女は、レグオスの前まで歩んでくると。


「……失態(しったい)だぞ。レグオス・イレイガル」


「――は、はひぃ!!」


 まるで子供の様に小さな身体で、王女は威圧感(いあつかん)を放ち、レグオスを見上げる。

 馬車の中では、監査役(かんさやく)の【聖騎士副団長】オーデイン・ルクストバー公爵が、声を抑えて笑っている。

 それはもう、涙を流して。


(あぁ……報告(ほうこく)されるんだろうなぁ……)


 【従騎士(じゅうきし)】レグオスのデビューは、華々(はなばな)しくとは行かなかった。





「サクラ殿、サクヤ殿……久しい、とまではいかないが、息災(そくさい)であったか?」


 ローマリア王女は、笑顔で二人に挨拶(あいさつ)をする。

 その光景(こうけい)に「おおっ」と、兵士たちは(おどろ)く。


「これはローマリア王女殿下(でんか)……宿屋【福音のマリス】へお()しいただきありがとうございます。ですが本日はどういったご用件でしょう?……何分、何も知らなかったもので、お茶菓子(ちゃがし)の準備もままならないのですが」


 サクラが答えるが、いつもの軽い感じは一切ない。

 ローマリアが王女としての()()っている事に気付き、そう対応(たいおう)したのだ。

 ただし、隣の【忍者】はキョロキョロしているが。


「いやなに……今日は急に押し掛けたのだ、こんな大勢で押し寄せてすまぬと思っているところだ、しかし……ご主人は出てこぬな。今のやり取りを見ていぬわけはあるまいに」


 そう。ご主人(宿の)。

 エドガー・レオマリスが、《契約者》であるサクラとサクヤがトラブルに巻き込まれている状態(じょうたい)で出てこない訳がない。

 では何故(なぜ)出てこないのか。答えは簡単。


「あはは……では殿下(でんか)、そのご主人のもとにご案内致しますね……」


「うむ。大儀(たいぎ)であるな、サクラ殿」


 「どうぞこちらに」と、サクラは(ほうき)をサクヤに(あず)け、王女を案内する。

 するとフロントのカウンターで――先程馬車でローマリアがしていたように、頭を(かか)えるエドガーが居たのだった。





「――す、すみません殿下(でんか)。サクヤが……」


「えっ、わたしですかっ!?(ひど)いです主様(あるじさま)……!!」


「そうに決まってるでしょっ!あの騎士様にも悪いことして……どうすんのよっ!面倒なことになったら!」


 ローマリアを案内したサクラは、理解していないサクヤをハリセンで叩く。

 すぱーーん!と。もう()れたのか、痛いとも言わなくなった。

 実際(じっさい)痛くはないだろう。反射的に痛いと(のたま)うことは誰でもある。


「いいや。私の部下もいらぬことをしたからな……本来はあそこに立つものではないのだ、あの者は――なぁ?レグオス・イレイガル?」


 後ろに待機する三人のうちの一人。

 レグオスに、ローマリアは冷たい視線(しせん)を送る。


「……も、申し訳ありませんっ!!段取りを理解せず、軽率(けいそつ)な真似をしました……!」


 頭を下げる。下げる、下げる、下げる。

 ペコリペコリペコリと。それを見て、サクラが笑い言う。


「あははっ……面白い人ですね、王女様。もう許してあげてくださいよ」


「――フッ……サクラ殿が言うのだ、そうしよう。ところでエドガー、いや、エドガー殿……私が今日ここに来たのは――依頼(いらい)……ああいや、ロザリーム殿にではなく……」


 依頼(・・)と言う言葉にエドガーは、改めてローザに指南役(しなんやく)依頼(いらい)をしに来たのだと思った。

 それを敏感(びんかん)(さっ)して、ローマリア王女は否定(ひてい)する。


「え、違うんですか……?」


「ははは、違うよレオマリス君……」


 と、ここで、三人待機しているうちのもう一人、【聖騎士】オーデインが前に出て答える。


「ルクストバー(きょう)……」


「申し訳ありません殿下(でんか)……話が進みそうにないので、私が出しゃばらせていただきますよ」


「……い、いや。構わぬ……くもないが、今は頼む。(さい)は私が……」


「はい殿下(でんか)……ではレオマリス君、いや、エドガー・レオマリス殿……これを受け取っていただけるかな?」


 オーデインは、(ふところ)から書類(しょるい)を取り出してエドガーに渡す。

 丸められた羊皮紙(ようひし)()め具には、(ろう)(ほどこ)されている。

 その(ろう)(いん)は、第一王女(・・・・)の物だった。


「――えっ!!……す、すみません……これに目を通す前に、皆を集めてもよろしいですか……?」


「うむ。当然だな……では前回と同じ場所に案内してもらおう……よろしいかな?」


「ええ。勿論(もちろん)です殿下(でんか)……サクラ、殿下(でんか)とお三方を……【黄昏(たそがれ)の間】に」


「あ……はいっ。では王女様……こちらへどうぞ」


 サクラは返事をするなり、二階へ上がる大階段へと王女を(まね)く。


「うむ。行くぞオーデイン、レグオス、レイラ(・・・)


「はい」

「は、はい!」

「……は……はい」


 もう一人の待機者は、オーデイン・ルクストバーの【従騎士(じゅうきし)】。

 レイラ・エルヴステルン――エドガーの妹、リエレーネ・レオマリスの学友にして、騎士学生の少女だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ