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織花童話集Ⅱ  作者: 織花かおり


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8/10

8、真っ白な冒険

白い色って「無」のような「始まり」のような「光」のような不思議な色ですよね。

真っ白な高い高い塔に男の子と白いいぬと白いねこがいました。

男の子は、髪の毛こそ白くないものの、白い帽子と白いパーカー、白いズボンをはいていました。


一人と二匹は、高い高い塔の頂上を目指して、真っ白な階段を上り続けていました。


「もうう少しだね」

「もう少しですね」

「もう少し!」


とうとう一面に空が広がっている場所に来ました。

そこには空に向かって白いいっぽんぼうがたっています。


「私はここまでです。あのぼうは、私にはのぼれません」

いぬが残念そうに言いました。


男の子は、いぬをだきしめました。


ねこは、いぬにキスをしました。


そして、ぱかっ。

ぼうを登って、空を開けた男の子とねこは空をくぐりました。


そこは大きな白い道と道にそって高い高い木々がたっている場所でした。

高い木々には、見たこともない白いくだものがたわわに実っていました。


男の子とねこはぐんぐん進んでいきました。


すると……

向こうにもくもくと白い霧が立ち込め始めました。

「なにか起こりそうだ」


「がおおおおおおおおおおおおおおおお」

つんざくような雄たけびに、どっしん、どっしんという足音。


みると、真っ白な魔物が両腕をブンブン振り回しながら、こちらに向かってきます。

まっしろな魔物の牙は白く、とがっていました。


男の子と白いねこは、急いで逃げました。


魔物はスピードをあげて、男の子と白いねこにどんどんせまってきます。


白いねこはいいました。

「木の上へ!」

魔物は目が見えず、一番強いにおいを追いかけているようでした。


「あたいがひきつけるから、にげて!」


白いねこはそう言って、木と木の間をぴょんぴょん。


白いねこの匂いにひきつけられて、魔物は男の子から離れて行きました。


でも白いねこは子ねこ。

すぐに疲れます。


魔物の手が白いねこをつかまえようとしたとき、男の子が魔物の前に現れました。


「ここにいるぞ!」


そして、白いねこを抱き、走ります。


あっという間に追いつかれ、踏みつぶされそうになった時……。


「ワン!」


白いいぬが魔物の足にからみつきました。


「こちらにきなさい!さぁ、今のうちに逃げて!」


白いいぬは魔物よりすごいスピードで走っていきます。


男の子は道にとめてあった真っ白な自動車を発見しました。

ぶうううんとエンジンをふかして、白いいぬと魔物を追いかけます。

アッというまに、白い魔物を追い抜かし、


「こっちだ!」

白い車を走らせながドアをあけて、白いいぬをひきよせました。


白い車はそのまま海へ行きました。

白い砂浜にわだちをのこしながら、海の中に入っていきます。


魔物も海に入ります。


すると、海に入った途端……しゅわしゅわしゅわわわ。

魔物は人魚に変わり、バシャーンと尾ひれを振って、いきいきと泳ぎ始めました。

「呪いがとけだんだね」


白い車は海から出ました。


男の子は、びしょ濡れの白いいぬと白いねこをタオルでふいてあげながら言いました。

「きみは、どうやってここまできたんだい?」


「あのぼうを頭突きでななめにして、渡ったんですよ」


男の子は、白いいぬと白いねこを抱きしめて、顔をうずめました。


白いいぬと白いねこはされるがまま、男の子に身をゆだねました。


男の子は白い塔を自動車で回ることにしました。


もちろん白いいぬと白いねこも一緒です。


「ぶっぶっー」


誰もいない真っ白な道にご機嫌な真っ白な車のクラクションの音が響きます。


おわり



読んでくださって、ありがとうございました!

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織花かおりの作品
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作成:コロン様
― 新着の感想 ―
白い服装の男の子と白いいぬと白いねこが、白い塔の上を目指して互いに励まし合い、時に困難が訪れても、相手のことを思いやりながら進んでいく姿が、とても印象的です。 男の子がいぬとねこを大切に思い、離れる…
不思議で、面白いお話でした! 奇想天外な展開でありながら、三人の絆が温かいですね。楽しく読ませていただきました!
また奥行きのある作品を書かれましたね。 すごいです。 冒険譚のようで、 各々が自身を顧みず助けあう物語のようで、 白の無垢の中から生まれた魔物でさえも、 白で覆って救いあげる。 語彙力なくてすみ…
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