【冬童話2026】神様の火
【冬童話2026】への参加作品です。
ある寒い寒い国に心優しい神様がいらっしゃいました。
神様はある時、貧しくあたたまるものがない母娘を自分の神殿によんで、火にあたらせました。
火にあかぎれだらけの手をかざした母娘は、「あたたかい」とじっと火を見ながら、寄り添います。
ゆらゆらと揺れる火は、母娘の心までじんわりさせました。
そしてある時は、家のない者たちを自分の神殿によんで、火にあたらせました。
その火であぶったチーズとパンと与えられた家のない者たちは喜び、火に薄汚れた手をかざします。
ゆらゆら揺れる火は、涙でかすみました。
またある時は、心が疲れすぎて、眠れないものを自分の神殿によんで、火にあたらせました。
その温かさは、遠い昔に天国へ旅たったおばあさんの温もりに似ていて、眠れない者は思わず手をかざします。
ゆらゆら揺れる火は、いつしか眠気を誘い、寝息をたてている男性を優しくあたためました。
またまたある時は、自分がちっぽけでなにもできないと悩んでいる若者を自分の神殿によんで、火にあたらせました。
色々な本をみてきた目に火は優しく偉大に映り、若者は思わずえんぴつだこのできた手を火に近づけます。
ゆらゆら揺れる火は、じんわり体を温め、若者はゆったりした気持ちを取り戻しました。
そしてまたある時は、いつ亡くなってもおかしくない者たちを神殿によんで、火に当たらせました。 体と心の芯から温まったの者たちは、痛みも苦しみも和らぎ、その火に手を合わせました。 ゆらゆら揺れる火は、死の恐怖と悲しみを少しずつ鎮め始めました。
その火は暖かく、美しい光を放ち、見ている者を癒し、心を穏やかにしたのです。
神様は思いました。
この世は可哀そうな者がたくさんいる。
その者たちにこの火は力を与えた。
間違いなく必要なものであろう。
では、元気な者には必要ないだろうか?
幸せで満たされた生活を送っている者たちはどう反応するだろう?
そう考えた神様は、心満たされて幸せな生活を送っている子供たちを神殿によび、火にあたらせました。
神殿は寒かったので、子供たちは「うわぁ、あったか~い」とすぐさま火の近くにきました。
そして体が温まると、家にいた時のように、本を読んだり、遊んだりしました。
ゆらゆら揺れる火は、それを喜んでいるかのようでした。
その中で、じっと火を見続けている子が一人いました。
神様は、その子に尋ねました。
「遊ばないのかい?」
その子は、
「あまりに暖かくてきれいだから、みとれていたの」
と言いました。
「そうだね。この火は寒くて暗い場所をポカポカにしてかがやかせるほどきらきらしているよね」
「うん。それにこの火にあたると何だか元気が湧いてくるような気がするの」
「君は元気がないのかい?」
「ううん、元気だよ。でも、この火を見ていると、なんだか勇気をもらえるの。もっとがんばろうと思ったり、もっとありがとうって言いたくなるの」
「それはすごいな」
「ぼく、この火を絵にかいていい?とっても好きになったんだ」
すると、他の子どもたちもすぐ火に寄ってきました。
「私もこの火、好き」
「ぼくも」
「この火を見ていると、明るくなれる」
「私も絵にかいていい?」
子どもたちの様子を見て、神様は決めました。
「可哀そうな者には力を与え、満たされたものには感動を与える。そして全てのものに恵みを与える。決めた!この火を空にかかげよう」
こうして、神様の火はお日様となって、私たち一人一人を照らす存在になったのです。
お日様は、今日もそっと何も言わなくとも、あなたをすみずみまで照らしていますよね。
それはとても素晴らしいことなのです。
おわり
雨も曇りも好きなのですが、お日様が顔を出すときらきらしてやっぱりすてきだなって思います。
そんな思いを込めました。
そして、子どもの頃必ず画用紙に太陽を描いていたなぁなんて懐かしく思いだしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございます!
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