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6話 神は言っている。従業員を休ませろ、と。

行動を注目するとは決めたものの、所詮はただの学生でしかない俺にできることなどたかが知れているし、なにより面倒ごとに巻き込まれたくないので、あくまで遠くから見るだけに留めることにして。


彼らが足の引っ張り合いをしている間に、レベリングや魔石を使った実験を行いたいところ。


特にレベリングは大事だ。現時点で黒羽姉弟の親父さんが動いていないということは、姉も弟も父親に今回の事を伝えていないのだろう。


風紀委員長は親に伝えているだろうが、そちらも黒羽親父の足を掬うためにわざと情報を遮断している可能性がある。


そうでなくては保身に長けたあの親父が動かないはずがないからな。


そうなると黒羽親父に情報が伝わるのは姉や弟が週末家に帰ったときか、月曜までに四〇〇〇万円を用意できず、火曜になって契約の期限を迎えたあとか。


前者なら週末に藤本興業に連絡が入るだろうし、後者なら藤本興業から連絡を入れることになる。


その時になってあの親父がどう動くか。


俺がただの学生なら適当に圧力を掛けて終わらせただろう。

しかし龍星会が絡むとそうはいかない。


ギルドはあくまで中立の組織だからな。

クランに所属している人員を引き抜いたり、クランに所属している探索者に圧力を掛けることはできないし、そもそも黒羽親父以外の役員が反対するから、表立って動くことは出来ない。


表立って動けないなら”裏”を使う。


つまりギルドナイトが()()をしにくる可能性がある。


学生相手に? と思うかもしれないが、連中は四〇〇〇万円と自分の面子が掛かっていればそれくらいのことは平気でする連中なので、警戒して損はないはず。


もちろん彼らが総出で一人の学生を送迎しにくることはない。

今回の件で動くとすれば、黒羽と取引のあるギルドナイトに限られる。


俺以外に彼と取引があったのは上忍と弓聖だったはず。


二人を動かすことはないだろうから、どっちか一人。


「来るとしたら【上忍】だろうな」


弓聖はある程度武人として拘りがあるので小物を相手にしないが、上忍にはそういうのが一切ない。

あの人は金次第で本当になんでもやる人なのだ。


忍者と上忍のステータス上昇値は。


          忍者  上忍

STR(攻撃力)   7  15 (20)

DEF(防御力)   3   6 (10)

VIT(体力)    4  10 (15)

MEN(精神力)   8  13 (10)

SPD(敏捷)   12  20 (15)

DEX(器用)   12  20 (14)

MAG(魔法攻撃力) 6  12  (5) 

REG(魔法防御力) 5  10  (8)

合計        57 106 (97)       

※カッコ内は剣聖


こんな感じ。そして今のレベルが四三とかその辺だったはず。

上がっていたとしても四五以上ってことはないだろうから、四五で計算するとして、現在のステータスは。


       忍者×30 上忍×15 合計

STR(攻撃力)  210 225 435

DEF(防御力)   90  90 180

VIT(体力)   120 150 270

MEN(精神力)  240 195 435

SPD(敏捷)   360 300 660

DEX(器用)   360 300 660

MAG(魔法攻撃力)180 180 360

REG(魔法防御力)150 150 300

合計    1710 1590 3300


こうなる。これに補正分の132を分配するので、合計は3432。


対して今の俺がレベル三二で、ステータスが。


STR(攻撃力)   673  (15)

DEF(防御力)   650  (15)

VIT(体力)    661  (15)

MEN(精神力)   665  (15) 

SPD(敏捷)    663  (15) 

DEX(器用)    671  (15)

MAG(魔法攻撃力) 660  (15)

REG(魔法防御力) 650  (15)

合計        5293 (120)

※カッコ内は上昇値


これに全能力+100の指輪を装備すれば……うん、負けないな。


問題は奥野が狙われた場合だが、レベル三〇になった奥野のステータスが。


STR(攻撃力)   786  (14)

DEF(防御力)   216   (4)

VIT(体力)    334   (6)

MEN(精神力)   440   (8) 

SPD(敏捷)    557  (10) 

DEX(器用)    560  (10)

MAG(魔法攻撃力) 110   (2)

REG(魔法防御力) 270   (5)

合計        3273  (59)


なので、素の状態ではスピード負けするが、これに全能力+100すればスピードでもほぼ互角になる。いや、補正がある分不利か。


安全ラインに引き上げるためにはレベルアップが必要だが、侍から昇華した武者の上昇値が。


STR(攻撃力)      25

DEF(防御力)       6

VIT(体力)       10

MEN(精神力)      15

SPD(敏捷)       18

DEX(器用)       17

MAG(魔法攻撃力)    10

REG(魔法防御力)    10

合計           111


らしいので、上昇率倍化の指輪を装備した上で二か三上げておけばステータス上は圧倒できるようになる。


ただ、あの人は忍者らしく戦い方が非常に狡いので、奥野の性格では勝てない可能性があるが、まぁ俺が一緒にいれば問題ないだろう。


奥野には単独でダンジョンに潜らないよう言い含めているので、そこのところも問題はない。


というか、明日から金・土・日と二泊三日でダンジョンに潜るから、ここで安全ラインを超えさせればいいだけの話だ。


「というわけで今週末も頑張ろうか」


ダンジョンに潜れば金も稼げてレベルも上がる。

素材だって回収し放題! やればやるだけ成果になるって素晴らしい!

これ以上に大事なことなんてないよね!


……そう思っていた時期が俺にもありました。


「あ、その」


「ん?」


「今週なんですけど、ちょっと両親に呼ばれていまして。お休みってできますか?」


「……おぉう」


休み。そうか。休みか。


そうだよ。学生だもの。

俺みたいにギルドに拘束されていない限りは、週末に家族と会ったり友達と遊んだりするよ。


しかも彼女の両親は、ポーションを使ってようやくリハビリを終えた状況だ。

機会があったら会いたいと思うのは当然のことではないか。


言われてみたらって言われなくてもわかるよな。普通。


つーか『平日は浅いところで魔石を集めて、週末は深いところに潜って素材集めとレベルアップだ!』なんて、これって年中無休で働かせているのと同じではないか。


ブラックか。

ブラックだわ。

真っ黒だわ。

ギルドだわ。


ま、まさか俺が心から忌み嫌っていたギルドの連中と同じことをしようとしていたなんて。


いや、ギルドの連中でさえ俺にタダ券を使う時間は与えてくれていたな。

そう考えれば、俺はギルド以下、か?


え? アレ以下? 俺が?

否定したいが、現状否定できる材料がどこにもない。


「おぉう……」


やべぇ。凹む。


「し、支部長!? いきなり凹んでどうしたんですか!? やっぱり私みたいな未熟者がお休みを取ったらまずいですか!?」


休むことに負い目を感じているような発言が俺をさらに傷付けるッ!


「……いや、そうじゃない。むしろちゃんと休んでくれ。ほんと、頼む」


そうだ。彼女は俺の手伝いをするために探索者をやっているのではない。

あくまで自分たちが生活する為に探索者をやっているのだ。


俺の手伝いにしたって、現時点で世界最高クラスの実力を持っているだけで十分じゃないか。


目的を忘れないことは大事だが、それ以上に大事なことだってあるじゃないか。


他人が自分と同じだと思ってはいけない。

他人に滅私奉公を求めてはいけない。

そしてなにより、ギルドの連中みたいになってはいけない!


「ヨシッ! もう大丈夫だ。奥野もご家族と仲良くな」


「……本当に大丈夫ですか?」


「大丈夫だ。問題ない」


っていうか、今までが問題ありすぎたわ。

すまん奥野。

悔い改めて一番いいお土産を持たせるから赦して欲しい。

閲覧ありがとうございました。


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