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閑話 宰相の懸念

短いですが投稿します。今回はマイヤーズさん視点です。

「陛下」

「マイヤーズか・・・あの女はどうした」


先程、王妃様とご一緒であった空気は皆無で、今陛下を纏うものは魔王たるべく純然たる黒の気配だ。それだけ王妃様の存在が大きいということが解ると同時に、弱点でもあることが明らかである。


「あの者はご指示通り、魔力封じの部屋へ軟禁しております。窓もなく、出口はヴァンパイア族の護る扉一つのみ・・・彼等にも私と陛下以外を通すことのないように厳命しておりますので、魔力の使えないあの者が部屋から出るのは不可能でしょう」


私の言葉を聞いても不機嫌に顔を歪める陛下のお心は、きっと此処には居られない王妃様へ向かっているのだろう。


「ところで・・・王妃様はどうされたのでしょうか」

「クリスティーナなら部屋で休んでいる。色々と歩き回って疲れたと・・・」

「そうでございますか」


肉体的疲労は確かにあるのだろうが、恐らくあの者との対峙で精神も疲弊したのだろう。我等とは違い脆く壊れやすい王妃様を思うと胸が痛む。


「では、王妃様にハーブティーでもお出し致しましょう。私達はあまりそういうのは嗜みませんが、一部の種族では飲料や薬に使うそうですから、城の誰かに聞けばすぐにお届けできるでしょう」


こういう時に雑食性の種族がいることは有難い。現に彼等のお蔭で人である王妃様は空腹を感じなくて済んでいるのだから。


「我が持っていこう」

「陛下自ら、ですか?」


陛下のお言葉に驚き目を見開く。されることはあってもする側に回られることはあってはならない陛下が自ら王妃様に・・・


「あのようなことがあった後だ。あまり他の者をクリスティーナに近付けたくはない」

「そうでございますね・・・では準備が出来ましたらお部屋の前までお持ち致しますのでお待ち下さい」


そう言って私は陛下に一礼し準備の為にその場を後にする。


















今代の魔王陛下は最高の魔力と知性と覇気をお持ちでいらっしゃる。誰よりも秀でた存在の陛下はなんでもお一人でなさることが出来る故誰にも頼らず、感情も見せず、常に孤独と共に生きてきた。そんな陛下が初めて感情を動かした存在・・・それが王妃様である。陛下の止まっていた時間を動かした王妃様になにかあれば・・・冗談ではなく魔界は消滅するだろう。だからあの者には大人しく、王妃様の温情を素直に受け入れ改心してほしいものなのだが・・・。



あの喉元に喰らいつかんとする嫉妬の宿った瞳に、言い様のない不安を覚えるのだった。



そしてその不安は的中してしまうことになる。



閑話の癖に煽ります。そして自分へのプレッシャーになるという(;´∀`)




今年はもしかしたらこれが最後かもしれないです。書けたら買いたいんですけど年末5連勤があり余裕がないかもなのでとりあえず皆さん、メリクリ!!そしてよいお年を!!

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