目覚めた先の・・・
長らくお留守にして申し訳ありませんでした。今日からまた頑張りますので宜しくお願いします。
「・・・・?」
目が覚めると、私は横になっていた。それも広く大きな、とても質の良いベッドの上に。何故?と思いながら体を起こすと視界の外から声がかけられた。
「よく眠っていた。あれからもう数時間は経つ」
「っ・・・申し訳ありません。私、気を失ったうえにベッドまでお借りしていたのですね」
ほんのりとランプの光が灯る部屋の中、紅く光る瞳だけが印象深く此方を見つめている。私は少しだけどくりと胸を高鳴らせると、それを気取られないように落ち着いた声を発した。しかし私が気を失ってから今まで、この魔王はずっと私を見ていたのだろうか。
「構わない。もともと、この部屋は魔王の妃の部屋として使われるのだ。我が后のそなたが使って、なんの不都合もない・・・ああ、その扉は隣の我の寝室に繋がっている。部屋も分けずとも良いと思うのだがな・・・決まりらしい」
私の視線の先に素早く気付いた魔王は勝手に説明を付け加える。一応、部屋は別れていると聞いて安心するが、この魔王の発言から先が不安になる。
「あの・・・私が貴方の妃になることは、決定なのですか?」
「妃になるに相応しい魔力と健康な身体。そして人間離れした美しさ・・・なにより我がそなたを気に入った。そなた以外を妃に迎える気は我はない」
まだ会って間もないのにどうしてそこまで気に入られたのか分からないけれど、どうしても私を妃にしたいらしい。
「すぐに気持ちを切り替えるのは難しいだろうが受け入れてもらうしかない。どのみち彼方には帰れないのだから」
帰れない・・・分かっていたことだけど、またこうやって正面をきって言われると本当にそうなのだなと改めて実感させられた。そしてひとつ、自分の中の僅かな期待も捨てることが出来た。
「彼方へ戻ることは・・・諦めました。私の力ではなにも出来ないのですもの。ですが、妃になる件に関しましてはやはり納得は出来ませんわ・・・急にこのような知らぬ場所に連れ去られ、私の中にあるという魔力のために望まぬ子まで産まされるなんて・・・貴族の子女として以上に一人の女として心身が拒絶をしてしまいます」
「ではどうすれば我が妃になることに頷く?」
漆黒の髪をさらりと揺らして首を傾げる姿は少しだけ可愛く見える。義兄よりも少しだけ歳上に見える魔王は美貌を誇る彼の王子や逞しい肢体を持つ聖騎士、知性を武器に貴族達と渡り合う義兄や甘い蜂蜜のような美青年とはどこか違う雰囲気を纏っていて、美形に慣れていたいたはずなのにどくんと胸が高鳴ってしまう。
「我の容姿は気に入らないか?」
ぐいと一気に間合いを詰められ美しい顏を近づけてくる。先程とは比ではないほどに胸が高鳴る。気に入らないかと言われれば、これだけ整った顔立ちを嫌だと思う女性はいないだろう。しかも相手が自分を妻にと望まれているのならば尚更に。
「あの、何故そのようなことをお聞きになるのです?私が嫌だと言っても、私の意識を閉ざして操ってしまえば良いのではないですか?そういうこともできるのでしょう?」
「まあ、逆らうものを魔力で圧することも可能ではあるが・・・」
やはりそういうことも出来るらしい。ならばやはり疑問である。私がどんなに嫌だと喚いたとしても傀儡のように操ることも出来るのに、この魔王は何故私の気持ちを尋ねてくるのだろう?
「出来れば、そなたには望んで我の妃になってほしいのだ。永遠にも近い年月を共に生きるのだ。感情がないままではお互いに辛いだけだろう?我も妻には少しでも好意を持っていてほしい」
「好意・・・」
きっと誰よりも強い力を持っていて、そして誰もが惹かれる容貌を持っている魔王が求めるものが、私からの少しばかりの好意だなんて・・・それがなんだか可笑しくてクスリと笑えば、魔王もつられて少しだけ微笑んだ。
私事ですがなんとか入院はしなくてすみました。それでもけっこうギリギリだったそうです。今は回復してせっせとお仕事頑張ってやっと小説を書けるまで落ち着きました。完全完治してカラオケに行きたい今日この頃です。それまでは小説を頑張って書き上げていきたいと思いますので皆様宜しくお願いしますm(__)m




