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これで漸く幸せに?

「クリスティーナはもう貴方のものではありません。貴方の進む道にクリスティーナはいないということを、よくよく覚えていてくださいね」


そう言って義兄はちゅっと音を鳴らして私の頬に口づけた。バルトロスを挑発する瞳を向けながら。それを見たバルトロスは顔をこれでもとかというほど歪め口を開きかけたが、そのままなにも言わずに出ていってしまった。私は口づけをされた頬に手を当てながら自分よりも遥か上にある義兄の顔をギロリと睨み付けた。


「メリオロス様、あれはいくらんでも酷いですわ。バルトロス様が可哀想でした。なにもあれほど追い詰めなくとも・・・」

「だけどあれで漸く分かったのではないかな?自分はもう君の隣には立つことはないと。これで俺も余計なことは考えずにクリスティーナだけを想っていられるよ」


そう言って爽やか全快の笑顔を見せる義兄に、少しだけ、ほんの少しだけ胸が高鳴った。


「漸く問題も片付いたから次は俺達の結婚式のことを考えよう。どんなドレスにしようか。なにを着ても君は綺麗なのは知ってるけれど一層輝くドレスがいいね」


花嫁になる私よりも楽しみにしている義兄は私が相槌を返すことをいいことに次から次に話をふってきた。それが夜更けまで続いたせいか私は眠気に負けいつの間にか眠ってしまい朝目覚めると義兄と同じベッドで眠っていたという、令嬢にあるまじき行為をしてしまっていた。


「そんなに気にしなくても俺達はじきに夫婦になるのだから誰も咎めやしないさ。まあクリスティーナが気にするなら俺達の秘密にしておけばいい」


綺麗な顔で綺麗にウインクする義兄を見て、いっそのことお父様にでもバラして婚約破棄してやろうかと本気で思ったのは内緒だ。








この時私はこのまま義兄とすんなり結婚して幸せになるものだと思っていた。しかし神は私にまだ試練を与えたいようで最後の最後にとんでもない爆弾を落としていった。














それは、とある午後の日。家令が私に来客があることを知らせにやって来たことから始まる。特に約束もしていないはずだが?と首をかしげながらも階下に降りてみると、私と同じ年齢くらいの女性が応接間で居心地悪そうに待っていた。


「こんにちわ、初めてお会いしますよね?」

「はい・・・」


私が名乗ると、彼女も自分の名を名乗った。家名から子爵家の令嬢なのは分かったが、その令嬢がなぜ自分を訪ねてきたのかは、やはり分からなかった。


「それで、貴女はなぜ私に会いに?私、貴女と面識はないはずなのだけれど」



優しく、威圧しないように尋ねてみると、彼女は意を決したようにばっと顔を上げて口を開いた。



「メリオロス様とのご婚約はなかったことにしてくださいませんか!!私のお腹には・・・彼の子どもがいるのです!!」





彼女のその言葉に、私の意識は真っ白になった。











メリオロス浮気疑惑!!次回、クリスティーナはメリオロスとの婚約はなかったことにしようとするがここでメリオロスのヤンデレが覚醒する!!・・・はず?突如降ってきたネタなのですがストーリーの終焉には必要だろうと見切り発車で突撃中。

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