番外 籠の中のクリスティーナ(バルトロスルートメリーバッド)
クリスティーナ救出後、バルトロスに監禁されたらのはなしです。15禁からはみ出ていないか心配です。
アーダルベルトに拐われ監禁され、バルトロスに救われた私は再びあの鳥籠のような部屋に閉じ込められた。窓には茨細工が施された鉄柵が、唯一の出入り口である扉には外から鍵が掛けられてしまいさらに門番のように常に騎士が在中している。身動きの取れなくなってしまった私は、ただただバルトロスがこの部屋に訪れるのをただ独りで待つしかなかった。
ガッチャンッ
大きな音を立てて外から鍵が開けられる。この扉が開くのは三回だけ。朝、朝食と私の身支度を整えるためにカリーが入室するとき、昼、昼食を運ぶとき、そして夜、バルトロスがこの部屋に戻ってくるときだ。今は夜なのでバルトロスが帰って来たということになる。
「クリスティーナ、ただいま」
「・・・おかえりなさいませバルトロス様」
バルトロスは部屋に入るなり私を抱き締め存在を確認するように全身を触る。その間に夕食の準備が終わりバルトロスに抱っこされて席に座るのだ。座ると言ってもバルトロスの膝の上、食べるのも飲むのもバルトロスの手からしか食べさせてもらえない。自分で食べられるのにそう言っても聞こえていないようにニコニコ笑いながら食べ物を口にもってくるのだ。だから最近では無駄な抵抗はやめてされるがままになっている。
夕食が終わるとまた扉は閉ざされ完全に二人きりの世界になる。そうなればバルトロスのやりたい放題である。
「クリスティーナの髪は本当に美しいね。月の女神も嫉妬で逃げたしてしまうだろう」
そう言いながら丁寧に私の髪を洗う。そう、入浴さえ彼の手で行われるのだ。最初は羞恥から抵抗した。だけど力では男であるバルトロスには勝てないし「君は私の妻になるんだから夫が妻の世話をするのは当然だろう?」と尤もらしい言葉で言いくるめてあれよあれよとこれが日常になってしまった。
「さあ、次は体を洗おうか。全部綺麗にしないとね・・・ここも、ここも・・・」
「んっ」
肌を傷付けるからとバルトロスは手で直接私を洗う。泡立った彼の手が全身を這うように滑ると敏感な部分は反応し声が漏れてしまう。それを楽しむようにわざとねちっこく、厭らしくするのだ。
「さて、綺麗になったから上がろうか。長湯は逆上せてしまうからね」
優しい声で語りかけるバルトロスは私を抱き上げるとバスルームを後にした。柔らかなタオルで体と髪を拭かれしっかりとケアまでされる。
「クリスティーナ、私がいない間変わったことはなかったかい?」
「なにも、なにもありませんでした。いつも通りの静かな一日でした」
そしてバルトロスは眠る前にこうやって私に尋ねるのだ。私のことなんてカリーや騎士から聞いているのに絶対に私の口から言わせるのだ。
「そうか。もうすぐ結婚式だから忙しくなるよ。ドレスも豪華なものを作らせようね。君が純白のドレスを纏って私と並ぶ姿・・・想像するだけで美しいよ。そのまま君は私に体を開くのだよ?白に赤が映えて・・・ふふっ」
自分の世界に入ってしまったバルトロスはもう戻らない。そのまま自分の理想の私を口にしながら眠るのだ。私も、ただ黙って眠りにつく。せめて夢の中くらいは自由に生きたいから・・・。
「クリスティーナ、愛しているよ」
「バルトロス様、私も貴方を愛しています」
暖かな陽だまりの中、私の膨らんだお腹を愛し気に撫でるバルトロスに私も自然と笑顔になる。
「どちらに似ているのかな。私としては小さなクリスティーナが欲しいのだけどね」
「どちらでも構いませんよ。どちらに似ていても私同様に愛してくださるなら」
まだ性別さえ分からないのだけれど、彼の子供ならば私は誰よりも愛せる。バルトロスが私に与えてくれる愛と同じくらいに。
「うん。私も君以外に初めて愛せそうだよ。だって私の君への愛が形になった証だから」
この言葉に、私は嬉しさから涙が溢れた。今まで彼の世界には私しかいなかった。けれどこれからは違う。私と、彼と、お腹の子・・・彼が大切に思う存在がもっと増えたらと、いつの間にか私の膝の上で眠る彼をそっと撫でながら願うのだった。
これが現実なのか、それとも囚われた先に夢見たただの妄想なのか・・・知るのは流れた涙だけ。
こちらが正規ルートに近いエンディングです。これにて本当にバルトロスルートは終了です。




