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やっと来た救い

あれから・・・私がここに連れてこられてから2日過ぎた。太陽が昇り月が顔を出すのを、填め殺した窓からただ眺めるだけの時間。逃げたいけれどいつのまにか足首に填められた真鍮の鎖がジャラリと音を立てて私の自由を奪う。



「確か・・・アーダルベルトルートだと部屋に閉じ込められて鎖に繋がれるのよね・・・あら?今の状況がまさにそうじゃない?私いつの間にかバルトロスからアーダルベルトルートに移行してたのかしら?」



そんな行動をとった覚えがないからこれがどういうことなのかわからないけれど、ただ言えることはもしかしたら私はこのままここから出ることができないかもしれないということだ。一生を狭い部屋の中だけで過ごすなんてなんて拷問だろうか。唯一の話し相手は私を拐ったアーダルベルトのみ・・・というか、彼が私を拐ったことは分かっているだろうから最早聖騎士ではいられない。仕事のない彼はどうやって私を養うつもりなのか・・・本当に色々と不安しかないわ。




「クリスティーナ、寂しかったか?」

「そう、ですね・・・誰とも会いませんから」


私がそう言えば、部屋に入ってきたアーダルベルトはムッとしながら私の横に腰掛けた。



「貴女は俺だけを求めればそれでいい。他はいらないだろう」



不機嫌な顔を隠しもせずにアーダルベルトは私に口付けた。勿論唇は死守しておりますとも。今は私に触れるということに満足しているけれど、それがいつ足りなくなるのか・・・本当に誰か助けてくれないと近い将来、私は純潔ではなくなるわ。



「あの、お聞きしたいことがあるのですが・・・」

「なんだろうか」



なんだかんだアーダルベルトはしっかりと私の言うことには耳を傾けてくれる。それはバルトロスにも言えることだけれど。



「アーダルベルト様は国から追われる立場になったわけですが、資金はあるのでしょうか」

「ああ、そんな心配はいらない。これでも聖騎士になるまえは侯爵家の次男だったからな。それ関係で色々と学ぶことが多かったから他所の国でもそれを生かして稼ぐことはできる。なんなら他国の聖騎士としてこの国を落とす・・・という方法もあるか?それならば追われる心配もなくなり貴女も安心できるだろう」



うん、誰もそんなこと望んではいないわ。というか、彼なら本気でやりかねないから怖い。



「一番簡単な方法は・・・貴女が清らかな乙女ではなくなったことを王子に突きつけてしまうことだろう。ここに王子以外の子種があるのだから王子が良くとも王や王妃は許さないだろう」


そう言ってアーダルベルトは私のお腹を愛しそうに撫でた。いませんよ?貴方の赤ちゃんいませんからね?



「俺も愛する人がこんなに近くにいるのになにもせずにただ触れるだけなんて無理だ。今すぐにでも俺の愛を貴女の体に直接刻みたい・・・何度も何度も・・・ここに命が芽吹くまでずっと・・・」

「いや、それは駄目ですわ」



なんだか発情モードになってしまったアーダルベルトに危機感を覚え私はベッドの上をずるずると後ずさった。それを逃がさないとばかりに服を弛めながら迫るアーダルベルト。鎖を掴まれ引き寄せられてしまえば自然と彼の胸に収まってしまう。



「もう俺から逃げることはできないのに何故拒む?貴女には選択肢はないんだ。俺を受け入れる選択肢しかね・・・大丈夫、痛くはしない。初めてなのだからしっかり覚えていられるように、気持ち良くて自らねだるようにたっぷりと弄ってあげよう」




アーダルベルトの大きな手のひらで肩を押され、私の体はベッドへ深く沈んだ。彼はシャツを脱ぎ捨てると上半身をこれでもかってくらい近くで見せつけた。さすが鍛えているだけあってとっても逞しい腹筋をお持ちで、8つに割れたそれに思わず触れたくなるのも仕方ないと思う。というか、彼に手を掴まれて無理矢理触らされていますね。



「王子なんかよりもずっと貴女を楽しませる自信がある。ああ・・・貴女が触れるだけで全身が喜びで昂る」



顔を恍惚に染めるアーダルベルトはゆっくりと私の纏うドレスに手を伸ばす。



「さあ、貴女の綺麗な体をすべて俺に・・・」

「っ!!」



ぐっと掴むドレスに力を入れて今にも破り捨てそうになったとき、





バァン!!




「それ以上私のクリスティーナに無礼な真似はさせないよ、アーダルベルト」

「バルトロス様!!」

「王子・・・何故ここが」



大きな破壊音の次に聞こえた声に、私は安堵からか震える声でバルトロスの名を呼んでいた。



「流石は国一番の聖騎士だった男だよ。私が君の行動を掴んで見つけ出すのに随分と時間をかけてしまったのだから。そのせいで大事なクリスティーナに怖い思いをさせてしまったのは本当に申し訳なかったけどね」



眉尻を下げて困ったような表情を見ると、何故たが安心して涙が溢れた。ああ、強がってはいたけれど、やっぱり私は怖かったのだろう。自覚してしまえばぽろぽろと涙が次から次に落ちていく。



「君が賢くて助かった。早々に国から出ていれば見つけるのは簡単だったろうけどクリスティーナに怪我でもさせていたかもしれないからね」

「それは・・・どういう?」



そうか、バルトロスが居るということはここはまだ国内なんだ。バルトロスが言ったことを思い出せば確かに、どうしてすぐにでも国外へ出なかったのか。



「クリスティーナが不思議がっているけれど、今は反逆者をどうにかしないとね」

「俺に敵うでも?剣の腕は王子も知っているでしょうに」



そこで私ははっとなる。確かにバルトロスは強い。稽古程度の試合ならばアーダルベルトとは互角だろう。だけど相手は戦においては本物なのだ。そもそもの戦い方が違うのだ。



「そうだねぇ・・・確かに君はとても強いけど、大切な人の運命が懸かっているんだから私だって君を殺す気でいくよ?想いのぶんが重なるのだから、君とて私を簡単に地に伏せると軽く見ない方がいいよ」

「そうですか・・・ならば試してみましょうか」



そう言うと、アーダルベルトは長剣にしては短く、短剣にしては長い獲物を鞘から抜いた。恐らく室内など周りに障害物があっても扱えるように作られたものだろう。それだけでもアーダルベルトが戦いなれていると容易に想像できる。



「王子の獲物は、随分と可愛らしいのですね」



一方、バルトロスが握っているのは15センチほどの短剣とニードルのような鋭く尖ったものだった。アーダルベルトの言うように、あれでは勝負が見えているのではと不安になる。



「ふふ、これはこれでとても役に立つんだよ。まあ、実際に味わってもらえれば分かることだけどね」



バルトロスはにっこりと笑って目の前のアーダルベルトを挑発した。




「私からクリスティーナを奪った罪、己の命で償うといい」




その言葉が合図となり、二人は動き出した。








次はバトルですがバトル苦手なんだよなー。アーダルベルトの家を商家と侯爵家で迷ったのですが聖騎士隊長という身分を考えて侯爵家のほうが有利かなと思いそちらにしました。まあどこの国でもやっていけるとなれば断然商家のほうが有利なんですけどね。まあアーダルベルトは頭も良く顔も良く剣の腕もたつのでどこでもやっていけるでしょう!!しかしなろうのほうはどこまでのエロスが許されるのか分からんですな。

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