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【完結】おかん転移 残念でした私が聖女です〜娘を癒すために異世界で食堂をはじめたら、娘に一途なイケメンが釣れました〜  作者: 黒砂 無糖
第3章 母と娘の恋模様

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重なる想いと幸せの約束 

やっと・・・長かったわね?

こちらに来てから、今に至るまで、

色々な事に巻き込まれはしたけど、


お母さんと一緒に、

店をやるのは楽しかった


元の世界と違って、

時間もゆっくり流れている様に感じたんだ


カウンターでお母さんと

今までとこれからの話をしていた


「じゃあ、お母さんと一緒にここに残る?」


そう尋ねられだけど・・・


「正直迷ってる。ここでの事、忘れたくは無いの。でも・・・」

記憶が残らないなんて思わなかった。



ソージュの事は、綺麗な思い出のまま

置いておくつもりだった


––––忘れたくなんか無い


そう思った時




カランカラン♬




「あら、ソージュいらっしゃい」


彼の事を考えていたら、

急に本人が現れたから


驚いて、咄嗟に立ち上がってしまった


ソージュは私を見つめながら

真剣な顔で近寄ってきた



–––––言い訳なんか、聞きたく無い


私は逃げたくて、裏に入ろうとしたけど



ソージュに捕まってしまった



こんなに強引な彼は初めてで

私はびっくりして彼を見つめた



「瑠璃頼む、俺の話を聞いてくれ」



ソージュは苦しげに懇願する様な瞳で

私を見つめている。



私は、両手首を壁に押さえられ

固定されているので、逃げたくても無理だ



距離の近さが落ち着かなくて



でも、彼の目から目が離せなくて



触れている体温に目を向けていたら

 





「好きだ」







それは短いけど、心に直接響いた。




私がずっと聞きたかった言葉だ




私は素直に嬉しかった。

なんて言葉を返そうかと考えていたら





「この先ずっと、俺の隣にいて欲しい」





ソージュから、追加で出て来た言葉に

私は動揺してしまい顔が赤くなった





–––––なんか、プロポーズみたい





夢みたいで、ふわふわした気持ちになる

とにかく何か返事をしなくちゃ・・・



「あ、あの」

と、声を出したら



「お話し中にごめんなさい。2人とも大事な話をするなら、立ってないで座ったら?」

お母さんが冷静に話しかけてきた。



–––––やだ、すっかり忘れていたわ



私は、ちらっとソージュを見た。

ソージュも私と目が合う。



お互いに周りが見えていなかったけど

お母さんに見られたのは、



流石に気まずいわ・・・



私もソージュもちょっと冷静になり、

近くの椅子に座る事にした。



ソージュはスッと椅子を引き

私のエスコートをしてくれた


–––––ソージュって、ちゃんとしてるよね


彼は王子だと言っていた。 

だからだろうか?所作が綺麗だと思う




お母さんが暖かいコーヒーを淹れてくれた

それを飲んでいたら


また、さっきのドキドキがぶり返して来た

何だか気持ちが落ち着かなくて、


好きだし、一緒にいたいけど

さっきの言葉はまるで・・・



「ソージュ、さっきの、プロポーズの言葉よね?ちょっと急ぎすぎじゃないかしら?」



お母さん!まって、余計な事言わないで




「すまない、やり直す」




ソージュ?やり直すって何?

私は、2人のやり取りに追いつけず



お母さんをつい見つめてしまった。



すると、お母さんはフッと笑い



「ソージュ、この前来た時、かなり嫌そうだったわね?セリナは苦手だったの?」

と、ソージュに話を振った



嫌そう?そんな風に見えなかったけど・・・



「苦手と言うなら、俺の感覚では全ての女性は苦手ですね。あの日、任せる事が出来る者が居なくて・・・」



ソージュは苦々しい顔をしているけど



「でも、仲良さそうだったじゃない」

私にはそう思えなかった。



「あれは・・・好きな女性の前に、任務とは言え他の女と並ぶのが嫌で、距離を置いていたら掴まれて・・・気にしてくれたのか?」

ソージュは気にしながら来た様だった



–––––なんで嬉しそうなのよ



「あの時、瑠璃は全くこちらを見なかったから、キスした後、仕事したのがダメだったのかと落ち込んで居たんだ」



ちょっと!お母さんが聞いてるって!



「ちょっと、言わないでよ。仲良く腕組んで居たから、見たくなかっただけよ」

お母さん、目がキラキラしてる



母親にこの歳になってキスバレするとか





–––––恥ずかし過ぎる





私とは違い、

ソージュは気にせず話をしてくれた



「彼女は、闇落ちした実績があるから、下手に刺激すると、周りに被害が出る可能性があったんだ。だから拒否出来なかった」



闇落ち?聖女なのに?

拒否出来なかった理由は分かったけど・・・



「じゃあ、なんで来てくれなかったの?」

あれ以来、放置したじゃない



「それは・・・ごめん。俺の弱さだ」

嘘よ、私が拒否したからよ



・・・何で言い訳しないのよ


「俺は、ルリを好きになってから、自分の気持ちよりもルリが大切なんだ。こんな事初めてで、正直自分の気持ちを持て余してる」

そんな事言われたら・・・


なんだって許してしまうじゃない


「一目だけでも会いたくて、行こうとしたんだ。でも、ルリに拒否されるのが怖くて動けなかった。臆病だよな」

それは、私が拒否したからよね



昔から、お母さんに、男の人の判断は


「言葉じゃなくて、行動を見なさい」


と、言われて育った。



彼との時間を思い出すと、

ソージュは不器用だけど素直で優しくて


ちょっとの事で、

真っ赤になるほど不慣れな人


ソージュは、いつも私には誠実だった

私が過敏になっていただけだ


「臆病なんかじゃ無いわ。疑ってしまった、私がいけなかったのよ」


私の心に傷を作った

偽物の婚約者だった男を思い出す



–––––全く違うわ


そんな事分かっていた

比較する事自体ソージュに失礼だ



ソージュを好きだと実感した途端


私は、嬉しくて涙が出てきた


「ルリ?ルリは悪くない。悪いのはハッキリしなかった俺だ、だから泣くな」


ソージュは、慌てて私を抱きしめ


「臆病者で、ごめん。でも、好きなんだ」


ソージュは私が泣いたのは

自分の不甲斐無さのせいだと感じた様だ



「違うの、嬉しくて」


私は、やっと息ができる気がした


「え?嬉しい?」


ソージュは意味が分からなかったのか

私から離れて顔を覗き込んだ


「私も、ソージュが好きよ」


私は、ソージュの目を見て

想いを口にして、自分から抱きついた。


「ルリ?本当?」


ソージュは何とかして

私の顔が見たい様だけど


私はがっしり抱きついて

顔を見せる事を拒否していた。


「本当よ。自分でもびっくりするくらい」

予定外だけど、やっぱり私はこの人が好き


今まで、ずっと卑屈になっていた

でも、ソージュは私を好きになってくれた


気持ちを持て余したのは、私も一緒だった。


こんなに好きになった人が

側にいてれるなら



–––––傷ついたって構わないわ



「ルリ、顔見せて、顔が見たい」

ソージュが耳元で囁いてくる


私も彼の顔が見たくて、そっと顔を上げたら


「・・・!」


あっという間に

ソージュの顔で視界はいっぱいになった


嬉しくて、幸せで、

彼の想いに応え、彼の首に腕を回したら


「ルリ、これ以上は、俺、本当に我慢出来なくなるから、また今度にしよう?」

と言われ、渋々離れた。


「分かった。でも、もっと一緒に居たい」

私は、気持ちが溢れすぎて

どうにかなってしまいそうだ。


ソージュは、私の肩を抱いたまま


「トーコ、ルリを今夜連れ帰っていいか?」

え?お母さんに聞くの?


私は甘い気持ちが吹き飛んだ。


「瑠璃を、必ず幸せにしてくれると、私に約束出来るならいいわよ」

・・・お母さん


「必ず、誰よりも幸せにする。トーコ、俺がルリと共にいる事を許してくれないか?」

私は嬉しくて、お母さんを見た


お母さんが嬉しそうな笑顔で


「瑠璃、良かったね」


と、言った後


「ソージュ、だからそれはプロポーズでしょ?まだ早いわよ?」

と、ソージュの言葉に文句を言っていた



「全く早く無いぞ?俺は今すぐ結婚したいくらいだ」

え!そうなの?


「いいから、早く行きなさい。じゃないとお泊まりに反対するわよ?」

お母さんは、私とソージュを店から追い出し


ガチャンと鍵を閉めた


「普通、娘追い出す?」

私は呆れたままソージュを見たら


ソージュは店に向かって

頭を下げていた


その姿を見たら


何だか涙が溢れて来た


ソージュは私を抱きしめた。



その後、ペリルさんが迎えに来て、

拠点迄送って貰い


転移陣に乗った。


その間は2人とも言葉は無かった


彼の部屋に着き


私はソージュと・・・



思いの外長かったわね・・・

透子はカウンターで一部始終見ています。

若い2人はお互いしか見ていないのです


次回は、進み出す時間と隠せない気持ち です


それぞれの結末がやってきます

どうか最後まで見てくださいね?


もし良ければ、★評価、コメント、ブクマ

よろしくお願いします


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