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【完結】おかん転移 残念でした私が聖女です〜娘を癒すために異世界で食堂をはじめたら、娘に一途なイケメンが釣れました〜  作者: 黒砂 無糖
第3章 母と娘の恋模様

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限られた時間 

まだよ、まだダメよ?

朝、早く起きて、昼から魔族の国に向かう為、執務室でルートの最終確認などをしていたら、ペリルがやって来た。


「ソージュ様、おはようございます。何をして・・・ルート確認ですか?もう、準備は一通り終わりましたか?」

急いでいる様だが、何かあったのか?


「既に全て終わったよ、今は最終確認だな」

そう言って書類を手にしたら、ペリルによってその書類は取り上げられた。


「ソージュ様、反論は認めません、今すぐに「メシヤ」に行って、ちゃんとルリさんと話をして来て下さい」

反論、出来ないのはこまるな


「ペリル、いきなり、どうした?」

いつもこんなに強引じゃな・・・


————-いや、いつも通り強引だな


「とりあえず、散歩して、お互い緊張感が取れたら、一度自宅に招いて下さい、認識阻害がお互いの邪魔をしています」

確かにそうだが、昨日の今日だぞ?


「・・・ちなみに、部屋について来るなら、脈アリだと思いますよ」

ペリルの言葉に思わず振り返ってしまう。


「100%大丈夫だけど、魔族の国に行くのだし、万が一も有ります。念のため声をかけた方がいいですよ」

確かに、心配かけてしまうか・・・


「彼女かなりモテますし、のんびりしていたら、あっさり誰かに持っていかれますよ」

それは!!


————身に覚えがありすぎるんだが


俺はジトっとペリルを見つめた。


「せめて、帰るまで待ってもらいましょう。自宅に招いたとして、チャンスがあっても絶対我慢してください。絶対ですよ」

そんなに言わなくても


————大丈夫か?俺


さっさと行けと尻を叩かれ「メシヤ」に向かうと、店の前に、既にルリが居た。


「あ、なんか、お母さんから、今からソージュが来るからって、追い出されたの」

トーコ、何をしてるんだ


ペリルとトーコが手を組んだ事を理解して、ルリを馬に乗せた。


「俺も、ペリルに追い出された。一緒だ」


————ルリは今日も可愛い。


確かにペリルが言った様に認識阻害が邪魔だな?今度ペリルにお互い見える様に改造して貰おう。と、心に誓った。


「行きたい所は、あるか?」

時間は限られているが、とりあえずルリの良い様にしよう。


「薬草が好きだけど、どこかある?」


振り返り。遠慮がちに尋ねる瑠璃の、近づく事で感じてしまう体温に、意識をしてしまい、近づき過ぎないように気を使う。


「薬草が群生している丘でいいか?」

そう尋ねたら、


「はい、行ってみたいです」

と、顔を見なくても、笑顔が分かるような、弾んだ声がした。


「通常は魔物が多いが、俺が行くと魔物は逃げるから安全になるんだ。人の手があまり入っていないから壮大だよ」



森を抜けた先には辺り一面に—————-


————-青白く光る花が咲き乱れていた



ルリは馬を降り、花園に降り立つ



"ザワザワザワ"


丘に着くと、一陣の風が吹き、


————青白い花びらがひらひら舞い踊る



花びらに包み込まれた、瑠璃の長い髪が


——- ふぁっ ——と広がり収まる頃、


———-お互いに目が合った・・・



「凄く綺麗ね」



ルリはその瞬間


———花が咲いたように笑った———



それを見た時、俺の身体全身に


突き抜けるような衝撃が起きた。


「好きだ・・・」


溢れた言葉は、とても小さくて、ルリには届かないけど。


———-これ以上ないほど、好きだ。


まだ、今は伝えるわけには行かない———


俺は一歩ルリに近づき


「魔族の国に行く前に、ルリとゆっくり話がしたいんだ。このまま外で話すのと、俺の屋敷に行くのと、どちらがいい?」

俺はずるい聞き方をした。


「・・・転移陣に乗るの?」

ルリは少し戸惑いを見せた。


「ああ、興味あっただろう?」

これで、断られたなら、諦めもつく


「・・・転移陣には、乗ってみたいかな」


俺は心の中で叫んでいた。

———-ありがとうルリ!


「分かった、行こう」

表向きは、冷静だが、馬の足は行きよりもだいぶ早かったかも知れない。



———拠点に行くと、誰もいなかった


「あれ?誰もいないですね?」

ルリが、キョロキョロしていたので、ついうっかりして


「チャコとペリルの事だ、多分部屋で・・・」

と、余計な事を口走りそうになり、頭ブンブン振ってしまった。


「どうしたの?」

ルリが不思議そうにこちらをみた。


「なんでもない。こっちだ」

ルリの手を握り転移部屋に入る


「これが転移陣?」

ルリは魔法陣に興味津々だ


「転移するよ」

ルリを軽く抱きしめ発動する。


———-—倒れない為だと自分に言い訳する





————-自室に瑠璃がいる


何とも言えない緊張感が湧き起こる。


とりあえず、執事にお茶を頼み、2人でソファに座った。


————-勿論隣に座った


「俺は明日から魔王討伐に行く。その前に俺の話を聞いてくれるか?」


俺は、自分の過去を掻い摘んで話した。


———正直怖いけど、隠したく無かった


「今は、もう大丈夫なの?」

ルリは、複雑な表情をしながらも心配してくれた。


「今は、前みたいな衝動は無いな」

別の衝動ならあるが・・・


「チャコ可愛いから・・・」

瑠璃が小さな声で呟く


————-まて、違うな?


俺の今の衝動を、正直に話すか?


ダメだろう。話したら嫌がられるぞ


俺が考えている間に、瑠璃の雰囲気がどんどん暗くなる


「ルリ、俺は今、女神の力は受けてないんだ。ちゃんと理性が働いているはずなのに、押さえられない衝動が酷いんだ」

俺はそう言って、ルリを見つめた。


「今は、やるべき事があるから、待っていてくれないか?帰ったら、伝えたい事が沢山あるんだ」


瑠璃が涙目で、俺の手を握った。


———頭がグラッとしたが、ぐっと耐えた


「最後に一度だけ・・・ダメですか?」


最後って、どう言う意味だ?まさか、ペリル達が言っていたように、思い出作って帰るつもりか?


—————-耐えろ俺!!!


「ルリは、それしたら、帰っちゃうだろ?だからダメ。俺がちゃんと向き合うまで、待っていて欲しい」

俺は、抱きしめたい衝動と闘いながら、ルリの手をポンと叩く


「ルリも、超えられない壁があるんだろ?俺は唯一を求めているから、一度きりの癒しにはなれないよ」

ダメか?手を握り目をみて話す


瑠璃、赤くなりながら首を振り


「ごめんなさい」

涙が溢れている。手で溢れる涙を拭っていたが・・・


———-もう、我慢の限界だ!


「これ以上は、俺が"危ない"から、もう行こう」


————このままじゃ"絶対"押し倒す


戸惑いを隠せないルリを立ち上がらせ、


————-キスしたい衝動を蹴散らして


肩を抱いたまま転移陣にのり「メシヤ」まで送ると


「ソージュ、今日はありがとう。頑張ってね。行ってらっしゃい」

と、目を潤ませるルリに


「必ず戻る。その時に、ちゃんと俺の気持ちを伝えるから、それまで待っていてくれ。」


最後にそう伝え、軽いハグだけして、紳士的に拠点まで帰宅した。


———-俺、頑張ったよな?


頭を冷やしたくて、ちょっとだけ馬を走らせ拠点に帰宅したら、ペリルが寄って来て


「よく、耐えられましたね。さすがです」



———-そう言ってペリルに頭を撫でられた



俺、お前の上司だよな?


まあ、嬉しいからいいけど・・・











ソージュは頑張りました。

ソージュ目線でタイトルつけたら

欲望と理性の間です・・・R指定ですね

瑠璃は、不安もありグラグラしちゃいます



次回、疲れた時に沁みる優しさ です


お話気に入ったくれたら

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