見て、イケメンがいっぱいよ!
彼たちが「メシヤ」にやってきます。
チャコやペリルとの再会、そして──。
昨日、店を早く閉めたせいか、店が混雑している。常連は、毎日来ているから、私が作った食事やドリンクを摂取しないと調子が出ないらしい。
カランカラン♬
ドアベルの音がするが、来店なのか退店なのかすら、確認する余裕が無い。
「お母さん、チャコさん達が来たわよ?3人とも日替わりランチ希望みたい」
今日の日替わりは唐揚げ定食。味噌スープ付きだ。ちらっと唐揚げの在庫を確認する。
——何とかなりそうだ。
ぶつ切りの鶏肉に酒、生姜、ニンニク、醤油っぽい奴、胡麻油を揉み込み、小麦粉と片栗粉?をまぶして油で揚げる。お客様に出す前に、二度揚げする。
米が長粒種だけど、まあいい。味噌スープはちょっと洋風玉ねぎとソーセージだ。出汁がなくてもそこそこ美味しい。
唐揚げ定食をチャコちゃん達のテーブルに持って行った瑠璃が、クスクス楽しそうに笑いながら戻って来た。
「楽しそうね?どうかしたの?」
ランチメニューは、さっきの日替わりで終わったので、ちょっと余裕になり、瑠璃に尋ねたら
「お兄さんがね?認識阻害眼鏡外したら、物凄いイケメンだったの・・・ふふふ、でもね?おしぼりで、顔、拭いていたから、何だか可愛く見えちゃって・・・ふふふ」
あら?瑠璃ったら、笑いが止まらないなんて、よっぽど楽しかったのかしら?
「それと。皆チャコさんがお箸を使うのを見て、釣られて、お箸を使おうとしたみたいだけど・・・無理よね?ふふふ」
瑠璃は試しに箸を渡してみたらしい。無謀な・・・
しばらくして、彼女達が食後のコーヒーを飲んでいる姿を確認し、私は一旦声を掛けた。
「ごめんなさいね?だいぶお待たせしちゃったかしら?あとちょっとだけ待っててね」
イケメンさんが会計をしたいと、こちらに来た、瑠璃にお金は受け取らないでと伝えた。
私は、キッチンの片付けと、減ってしまったドリンクの補充をしながら、イケメンさんとやり取りする瑠璃をこっそりと見た。
「——今日は、お会計は頂けません。母から受け取らないように言われましたので」
会計は要らないと、瑠璃に伝えたので、瑠璃は拒否しているが、
「では、せめて、私の分だけでも受け取って頂けませんか?」
イケメンさんが迫る。背が高いから、瑠璃の首が辛そうだわ?
「お兄さん、今日はいいのよ!代わりに又食べに来て頂戴!もう少し座っててね!」
私が顔を見てそう言うと、イケメンさんは、諦めて、礼儀正しく「ありがとうございます」と、頭を下げて席に戻った。
私は手早く仕事を済ませ、皆のいる席に向かった。
「長らくお待たせしちゃったわ。この席だと狭いけどまあいいか。ちょっと待ってね?」と椅子を移動させ座った。
瑠璃に、皆のコーヒーを持って来てもらい、彼達の自己紹介を聞く。
「私は、特殊部隊隊長のソージュだ。、彼は大魔導師のペリル。その隣は勇者のチャコだ」
あら、彼達が・・・特殊部隊だったのね?
「・・・貴方達が、特殊部隊だったのね。若いのに凄いわね。私はトーコ、一応聖女ね。貴方の隣は私の娘のルリよ、よろしくね?」
私は挨拶をして、彼らから、魔王討伐の話を聞いた。
今代の魔王は強くも無い。しかも勇者より、特殊部隊の方が強いらしい・・・チャコちゃんはお飾りの勇者だと言う。
「まあ、じゃあ本当に、召喚なんて必要無かったのね?全くあのバカ王子・・・」
全く余計な事したわね?と、モヤっとした
目の前の3人が、顔を隠したままだと失礼だと言って、認識阻害眼鏡を外した姿を見た。
外した瞬間、
––––纏っていた空気感がガラリと変化した。
私はその姿を見て、驚き、一瞬固まった・・・
––––そこには見た事ない様なイケメンがいた
ソージュは、耳にかかるほどのブルーブラックの髪に、前髪の隙間から覗くシルバーブルーの瞳。整った目元と鼻筋、口元まで、隙のない顔立ちをしている。存在そのもの目を引く存在だ。
ペリルは、肩までのオリーブ色の髪を無造作に束ね、ライムベージュの瞳はわずかに垂れている。中性的な顔立ちで、茶を飲む仕草が艶っぽく言葉にしがたい色気が滲んでいる。
「まあ!チャコちゃんは先日見たから、可愛いのは知っていたけど、お兄さん達、眼鏡外すともの凄くかっこいいのね。ルリ、貴方も眼鏡外して、裸眼でみてごらんなさい。イケメンがいっぱいよ」
私は思わず拍手をしてしまった。
「お母さん、はしゃぎ過ぎよ?でもさっき見た時私も正直驚いたわ」
ルリも皆に習って眼鏡を外した。
認識阻害眼鏡を外したルリと、目が合ったソージュ隊長が、一瞬目を見開き固まったのを見た。
––––あら?もしかして?もしかするかしら?
私は、瑠璃の様子を伺い見るが、瑠璃は平然としている。あれ?おかしいな?
「せっかくのイケメンなのにルリったら。もっと楽しめばいいのに」
普段ならはしゃぎそうなのにな?イケメン過ぎて緊張したのかな?
どうにも、よそよそしい瑠璃に対して、ちょっと疑問に思ったが、今は話の途中だ。
「ところで、勇者より強い人がいるみたいだけど、チャコちゃんが討伐に向かう時、私は本当に必要かしら?私は魔王討伐の時聖女として何をすれば良いの?」
私は、討伐に必要か尋ねたら、
「・・・今代の魔王はさほど能力は高くない様に思うので、とりあえずは大丈夫です。無事を祈って下さい」
とペリルさんから言われたので、このまま店を続ける事が可能な様だ。良かった。
そもそも、討伐の依頼では無くて、会いに来た理由は、アルゼから同じ世界から召喚されたと聞いて、フェルゼンに行くならと、会いに来たそうだ
「まあ、そうなのね?じゃあ、私はお店もあるしここで、皆の活躍を待っていて良いのかな?だとしたらかなり助かるわ!」
私はすっかり安心し、視線を送る事すらしないソージュ隊長と・・・
彼の視線の意味を、全く理解していない瑠璃をこっそり見ながら・・・
–––––アイスコーヒーをグビッと飲んだ。
ほんの少しだけ動き出す?ソージュと瑠璃は、まだ、気づいていないようです。
ソージュの瑠璃への気持ち、瑠璃意外は気付いています。
恋愛の入り口にたった今、皆がいいなと思うキャラは居ますか?もし居たらコメントに名前だけでもいいので、是非教えて下さいね!




