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【完結】おかん転移 残念でした私が聖女です〜娘を癒すために異世界で食堂をはじめたら、娘に一途なイケメンが釣れました〜  作者: 黒砂 無糖
第2章 母と娘を取り巻く男達

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日参ケルナー

おかえりなさい、おつかれさま

Open初日は医官のゼーネンと、兵士のネットとリープ、仕入れに使う薬草屋のご夫妻と、パン屋のご夫妻がお祝いだと言ってわざわざ店を閉めて立ち寄ってくれた。


始まりはゆっくりが良かったので、こちらに来てからの知人や、関係者が来てくれたのは好都合だった。


あれから、数日が経ち、慣れて来たらランチも始めようかな?なんて考えながらキッチンで片付けを始める。もうそろそろ店を閉める時間だ。


そろそろ来る頃かしら?


Open初日から、店が閉まる直前に滑り込む様に日参するお客様がいる。仕事の都合でこの時間しか来れないのだ。いつも、来店したらサインボードはCloseにしてしまう。ゆっくり過ごさせてあげたいからだ。


カランカラン♬


「いらっしゃいケルナー」

今日も時間ぴったりね?


「いつも遅くて済まない。でも、アレを飲まなければ翌日が1日持たないんだ」

ケルナーは今日も疲れているのだろう、カウンターに座るなり、ふぅとため息をついた。


ケルナーは、緑茶+レモングラス+ローズマリーの疲労回復ブレンドが好きだ。爽やかな香りでリラックス効果も高い。


「はい、おしぼり、顔まで拭くといいわよ?」

おじさんには必需品よ?


ケルナーは眼鏡を外し、顔におしぼりを当てると、


「なんか、いい香りがしますね?」

やっぱり気付いた。貴方が好きな香りよね?


「ローズマリーとミントの香りを付けたの。瑠璃にアロマオイルを抽出してもらったわ」

本当、便利だわ


「あ、ケルナーさんいらっしゃい、今日もハーブブレンド?」

瑠璃がハーブの在庫確認から戻って来てケルナーに声を掛けた。


「お恥ずかしながら、年々疲れが抜けず、トーコのハーブブレンドティーで回復を覚えてしまったら、無いと翌日が辛くて・・・」


Open2日前に味見を兼ねて、夜に顔出しした時にハーブブレンドティーを飲み、翌日スッキリ仕事が出来だけど、次の日の夜には疲れ果て、寝て起きても疲れが取れず、仕事にならないからと初日から毎日通っている。


「ケルナー、あなた今まではどうしていたの?大丈夫だったの?」

何か対策をしていたのだろうか?


「いや、楽だった事が無かったから、こんなものだと思っていたんです。一度でも楽な体を知ってしまうと辛く感じてしまって」


ケルナーは顔に当てていたおしぼりを外し、洗浄魔法を使った後丁寧に畳んでトレーに戻した。マメな男だ。


ふと、眼鏡の無いケルナーを見る。眼鏡無しは初めてだった。


「驚いた、貴方のメガネ認識阻害眼鏡だったのね?」

私は、ハーブブレンドティーを渡しながらケルナーの素顔をまじまじと見てしまった。


なんて言うか、空気感がエロい人だ。普段堅物な印象で、認識阻害されていたから全く想像していなかった。瑠璃も目を見張ってる


「ああ、普段は色々面倒なので眼鏡をしています。貴方達2人の前なら問題無いですね、ちょっと今日は疲れたので、緩めてもいいいですか?」

ん?緩める?何を?


「疲れてるなら緩むのは大事よね?」

瑠璃もよくわからないながらに返事をした。


「ありがとう、助かります」

ケルナーはそう言ってパチンと指を鳴らす。


「あら、スーツ以外初めて見たわ」

そこには髪を崩し、少し緩い感じのシャツとパンツ姿のケルナーがいた。大人の色気がえらい事になっている。かなりの色男だ。


「別人だわ、外で会ったら全くわからない自信があるわ」

瑠璃はひたすら驚いている。


「仕事柄、カッチリしていますからね?普段は緩く居たいんです。見苦しくて申し訳ないですが」

いや、見苦しいどころか・・・


「ケルナーさん、めっちゃアリですよ?大人じゃなきゃ出ない魅力に溢れてますよ!」

瑠璃は拳を握りしめて褒めている。私も瑠璃の意見に同意だ。


「はは、ありがとうございます。そうやって言っていただけると気が抜けます」

ケルナーは微笑みながらハーブブレンドティーを飲んでいる。


「ケルナー、その姿なら今日は仕事は終わりなの?簡単な物だけどご飯たべてく?」

私が誘うと


「え?・・・お言葉に甘えてもいいですか?」

少し迷った後、食べて行く事にした様だ。


「そうだ、プッツェンが戻って来たら愉快な事になるわね?」

私はケルナー推しのプッツェンを思い浮かべてクスクス笑ったら


「ああ、彼女の前でコレはマズイですかね?一応上司ですし・・・」

ケルナーは気にしているが


「プライベートな時間なんだから、いいと思いますよ?・・・面白そうだし」

瑠璃、本音が丸見えよ?


「ケルナー、あなたは私達にとって、既に家族みたいな物だから、もっと楽にして頂戴。仕事以外は気を使わなくていいわよ?」


私にとってケルナーとシュラーフは既に身内だ。だって、この2人は王宮にいる時、全力で私達を守ってくれた。だから私は彼達に出来る事があるなら助けになりたい。


「トーコ、ありがとう。仕事柄気を抜く事が下手くそなんだ。だから見た目を変えることで、気持ちの切り替えをしてるんです。ここで気を抜けるのなら助かります」

ケルナーは穏やかに笑った。


「ただいま戻りました!あれ?まだお客様いらしたんですね?こんばんは!トーコさん今日はケルナー様は?」

裏の入り口から戻って来たプッツェンは目の前のケルナーに気付かない。


瑠璃がクスクス笑いながら


「ケルナーさん、今日の晩御飯はパスタの予定なんだけどいいかしら?」

瑠璃はプッツェンに聞こえる様にわざと声を張りケルナーに尋ねる


「パスタとは?トーコの食事は何を頂いても美味しいので楽しみですね?」

瑠璃の意図に気付いてクスクス笑いながらも、しっかり知らない物は尋ねていた。


「は?ケルナー様?え?どこに?」

プッツェンは目の前の色男がケルナーだとは思っていない為、キョロキョロしている。


「プッツェン、私ですよ?上司の顔を忘れましたか?」

ケルナーはちょっと意地悪を言いながらプッツェンに話しかけたら


「ケッケルナー様?え!えぇー?はわぁ?」

プッツェンは色男を前にドギマギするし、混乱するしで大忙しだった。


ケルナーが眼鏡をかけたら認識出来たけど、緩いスタイルのケルナーにコレまた悶えていたので、


「ケルナー、眼鏡あっても無くても悶えるから外していいわよ?」

と言ったら、ケルナーは素直に外した。皆で、食事を済ませ、ケルナーは珍しく手を振りながら帰っていった。


「ケルナー様、カッコいいけど、なんだか凄くエッチな感じでした・・・」

ホワホワしながらプッツェンが言う


「ふふ、今後、うちに来る時はケルナーあの状態よ?まあ、そのうち見慣れるわよ」


「ケルナー様を直視できなくなりますぅ」

弱り切ったプッツェンについ笑ってしまう。


プッツェンにあの色気はまだ早かったのか、

ケルナーは自然体なだけなのに、どうにも刺激が強すぎたらしい・・・


ケルナーは36歳だったはず!若い時にはそれなりにモテました。シュラーフが中々結婚しないし、立場が変わる可能性もあり、独身です。フェルゼンに戻って以来忙しくて、欲すらすっかり遠のいてしまいました。



次回は、爺のお節介

爺婆はお節介なんです・・・


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