表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】おかん転移 残念でした私が聖女です〜娘を癒すために異世界で食堂をはじめたら、娘に一途なイケメンが釣れました〜  作者: 黒砂 無糖
第1章 母と娘のリスタート

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/111

家政婦(メイド)は見た

あなた、働き者のいい子なのね?

 ランドリーメイドのプッツェンは、今日は配達係の為、

 午前中は場内のあちらこちらから、使用済みの洗濯物を回収する。


 各部屋に、空間魔法のランドリーボックスが設置してあり、

 部屋の外から、回収する事ができる様になっている。


 洗濯場は、リネン室のすぐ側にあるので、

 クリーニング後のリネン類は、直ぐに補充したり出来るが、


 ドレスや絨毯、天幕やカーテンなどは、部屋ごとに配達しなければならず、

 配達係になると一日中歩き回る事になる。


 配達係は、間違いが起こらない様に、回収した洗濯物は必ず、同じ配達係が配達に行くので、


 回収日、配達日の2回宮殿内を周回する事になる。


 プッツェンは、効率良く宮殿を回るのが上手いと、メイドの仲間から良く言われている。


 誰よりも早く周回するからだ。


 何故そんなに早く回れるのか?と良く聞かれるが、

 プッツェンは、移動する際に、裏庭や中庭などの道なき道を使って


 ショートカットをするのが上手いだけだ。


 皆に道順を教えたが、他の人は迷ってしまい、余計な時間がかかると不評だった。唯一理解を示したのは、シュラーフ様の側近のケルナー様だ。


「凄いな。かなり時間が短縮されたよ。でも、危ない場所もある。怪我などには気をつけなさい」


 と言われた。


 プッツェンは、シュラーフとケルナーのファンで、2人の役に立ちたいと常日頃から思っている。


 推しがいる職場だ。毎日が楽しい。


 上手くいくと周回中に、推しに会えるのだ。


 プッツェンは、始めの場所からテンポ良く回る為に、一覧表も作り、

 回る順に何を回収したかを、記入しながらサクサクすすんでいく。


 一区画の回収が終わり、次の区画へ向かう為に中庭を抜けると、

 目的の区画の城の部屋から、叫び声が聞こえた。


 プッツェンは、咄嗟に近くの木に隠れて、

 窓の中に居る叫び声の主をみた。


「バカ王子の部屋だ…」


 小さな声で呟いてしまい、誰かに聞かれなかったかキョロキョロした。

 誰も居ないのを確認したら、もう一度見てみる


「ブフッ」

 思わず吹き出してしまった。


 プッツェンは見てしまった。


 アフロになっているバカ王子を


 笑うわけにはいかない。今声を出して笑ったら多分打首だ。


 グッと堪えて立ち去ろうとしたら


「くそ!忌々しい!最近は足の小指はよくぶつけるし、ケルナーにはバカにされるし、医者はなんかよくわからない、嫌な治療ばかりするし、しかも何だこれは!おい!お前、この頭はいつからだ!」


 余りにも大きな声で叫んでいるので丸聞こえだ。


 バカ王子の宮殿は隔離されているはずだから、叫んでも誰も迷惑にはならないから問題はないが…


 とにかく王子は煩いのだ。


 プッツェンは、一体いつからアフロなのか気になって、聞き耳を立てた。


「昨日、お戻りになられた時にはそのヘアスタイルでした。オシャレなのかと思い何も言わずにいました」

 従者が答えているが、口元はピクピクしている。


 笑いを堪えているのだろう。


(オシャレってやめてよ笑いそうだわ)


 プッツェンは腹筋までピクピクしてきた。


 このままではダメだと一旦離れて洗濯物を回収して回る。


 王子の横の部屋のランドリーボックスの中が、かなり埋まっている。

 布製品は全て入っている。何かしたのだろうか?


 中にメモが入っていた。


『この部屋の洗濯物は、他の物とは分けて洗い必ず換気のいい外でやる様に』


 ケルナーの指示書が入っていた。


 ちょっと嬉しくなり、それも鞄に丁寧に入れておく。

 沢山の洗濯物をメモをしながら一つ一つ確認して、鞄に移していると


 また声が聞こえてきた。


「聖女は見つかったか?何?まだだと?一体いつまで僕を待たせるつもりだ!隣の部屋もバレて、解体されてしまったし。もう待ってられないからな、僕は従属の首輪を手に入れたんだ!」


 え、何の話?


「あの聖女にこれをつけて、北の塔に監禁してやるんだ!僕を振り回した罪だ!散々辱めてやる!泣いて喚くがいいさ!はぁ?お前らにも分けろだと?僕が飽きたら貸してやるよ」


 聞いてはいけない。


 そう思い手早く荷物を移動させた。


 王子の部屋のランドリーボックスも、サッと取り出し急いでその場を離れた。


 区画から少しずれてから、一覧に洗濯物をメモし、

 白紙のメモに今聞いた事を一言一句違えずに書き記した。


 これは直ぐに伝えなければならない。


 次は丁度、王の執務室だ。運が良ければシュラーフ様に会えるはずだ。

 ダメならケルナー様に届けよう。


 そうプッツェンは考え、いつもよりも早足で区画移動をした。


 王の執務室より、さらに奥の王の私室の洗濯物を回収している時に

 シュラーフ様とケルナー様の


 足音と話し声が聞こえてきた。


 普段なら喜びに震えるのだが、今はそれどころじゃない。


 プッツェンは、作業を中断して

 はしたないけれど、全力疾走で2人の前に躍り出た。


「プッツェン。走るとは何事ですか?」

 ケルナーに叱責されるも、プッツェンは跪き

 頭を下げて1枚の紙を掲げている。


「待て、ケルナー叱らなくていい、これを見ればいいんだな?もう頭を上げていいよ」

 シュラーフに言われ、プッツェンは頭を上げた。


「…これは!プッツェン、これはいつ聞いた話ですか?」

 ケルナーに問われ、プッツェンは10分程前だと伝えた。


「ケルナー、向かうぞ。プッツェンと言ったか?よくやってくれた。感謝する」

 シュラーフは言葉を残し、颯爽と立ち去って行った


「プッツェン、ありがとうございます。でもあまり危ない事はしちゃダメですよ?気をつけて下さいね」

 ケルナーもお礼を伝えた。そしてやはり優しい注意をしてくれた。


 プッツェンは、推しの2人の役に立てて

 幸せそうに、震えながらその背中を見つめていた。


プッツェンはシュラーフとケルナーに城内で迷子になった時

助けられて以来どちらも大好きになってしまった女の子。

まだ入って1年目です!


次回は 毒父の戯言 です。

もやっとします。


次回が気になったら、反応、★評価、ブクマ、コメント

よろしくおねがいします


推しキャラ出てきましたか?いたら教えてくださいね!本命はまだ先になりますが・・・


評価とブックマークと反応ありがとうございます!

これからも頑張ります!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ