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【完結】おかん転移 残念でした私が聖女です〜娘を癒すために異世界で食堂をはじめたら、娘に一途なイケメンが釣れました〜  作者: 黒砂 無糖
第3章 母と娘の恋模様

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豆は人に撒くものじゃない。後編

後編です。(˘・з・˘)ポリポリ


「それで……浮気でもされたのか?」


 ケルナーは、静かに瑠璃に尋ねた。


「ちょっと、ケルナー、妻の瑠璃がいるのに、そんなはずないじゃない!」


 そもそも瑠璃より素敵な娘なんて、あり得ないわ。


 とは思っても、私は結婚は上手くいかなかったので、ちょっとだけ不安になった。


「……浮気はしてないと思う。でも、時間の問題かなって」


 瑠璃は力無く笑った。


 ――そんなこと、絶対許せないわ!



「ルリは、なんでそう思ったんだ?」


 気持ちが逆上しそうな私とは違って、ケルナーは穏やかに静かに話しかけている。


 私も落ち着かなきゃ……


「だって、男の人って、みんな、若くて可愛い子がいいんでしょう?それにソージュ、前はチャコが好きだったし……」


 瑠璃は膝を抱え、諦めたような顔をした。


「瑠璃、それは……」


 私が話そうとしたら、横からスッとケルナーの手が現れ、口を塞がれ止められた。


 ――ケルナー、何で止めるの?!


「ルリ、男を一括りにしてもらっては困る。人を好きになるのに、年齢は関係ない。少なくとも私は違うし、彼も違うと思うよ」


 ケルナーはハッキリといい切った。


「どうしてそう思うの?」


 瑠璃はケルナーをじっと見つめた。


「以前、彼から直接聞いた。そもそも、彼は女性嫌いだ。チャコちゃんは、初めて自分に狂わなかったから、惹かれただけらしいよ」


 簡単に瑠璃に説明をしたケルナーを、私はじっと見てしまった。


 ケルナーはソージュの味方なのかしら?


「あら、ケルナーいつの間にソージュとそんな話をしたの?」


 いつの間にか、そんな話をしていたのね?


「ん?まあ、以前ちょっとね」


 ケルナーは私にニコリと笑いかけた後、瑠璃に向き合った。


「彼にとって、ルリは何よりも大切な存在だと言っていたが、違ったのかな?」


 瑠璃を甘やかすのかと思ったら、さっきからケルナーは、瑠璃にソージュの気持ちを理解させようとしている。


「……大切にはされてるわ」


 瑠璃は、ソージュの気持ちはきっと分かっている。でも、その上で納得できないのだ。


「彼の思いが心配か?」


 ケルナーは、瑠璃の本心を知ろうとしてる。


 知った上で、瑠璃にお説教するのだろうか?



「だって!私は昔裏切られてばかりだったから、彼が美女にチヤホヤされてると……」


 瑠璃の声が、はじめは反抗的だったけど、だんだん小さくなっていった。


「ルリは、彼に嫉妬したのかい?」


 ケルナーが静かに穏やかに、真っ直ぐに尋ねたので、瑠璃は本心を溢していく。


「……不安になるの」


 良かった。ソージュが瑠璃に対して何かした訳じゃなかった。


 ――瑠璃の一人相撲だわ。


 瑠璃の過去の不安をぶつけられても、ソージュは困るだけだろう。


 どうしたものかと思っていたら……


「そうか、ルリを不安にさせたなら、私からもソージュ様に文句を言わせて貰おうか」


 低く圧のある声でそう言うと、ケルナーは急に立ち上がった。


「え?ケルナー?」


 説教されるだろうと思っていた瑠璃は、びっくりした顔でケルナーを見上げた。


「ちょっと、ケルナー!」


 ソージュに文句を言うのは私の役目よ!!


 立ち上がり、ケルナーに歩み寄るが、彼は勢いをつけて襖を力強く開いた。



 スパーン!!



「え?ソージュ!なんでいるのよ!!」


 襖の向こうには、ソージュが居心地悪そうに立っていた。


 ――いつからいたのかしら?


 見た感じ、話は聞こえていたのだろう。


「ルリ、やっぱり迎えに来た。ずっと怒っていたのは嫉妬だったのか?」


 ソージュは悲しそうな顔で、瑠璃に近づこうとしたが……


「ソージュ様、お下がりください。話を聞いていたなら尚更、ここは通しません」


 ケルナーが、彼の行く手を阻んだ。


「なぜだ?!俺は浮気などしていない!」


 ソージュは驚いた後、ケルナーを不満そうに見つめた。


「そんな事は当たり前です。でも、あなたはルリを不安にさせました。他の誰かが許しても、私はあなたを許しません」


 ケルナーは、そもそも瑠璃に説教する気などはなかったようだ。


 正真正銘、100%瑠璃の味方だった。


「……ケルナー」


 だから、それは私の言葉……


「ケルナー、なんでそんなにルリを……まさか!お前、ルリを……?」


 ソージュは誤解したのか、顔を青くしてケルナーを見つめた。


「娘だと思っておりますが何か?」


 ケルナーは、全くブレなかった。


「……いや、そうだ。お前はそうだったよな。ケルナー、どうあれ俺は、ルリを悲しませてしまった……申し訳ありませんでした」


 ソージュはケルナーに深く頭を下げた。


 ――いや、謝るなら私によね?


「どう、落とし前つけるおつもりですか?」


 ケルナーは尚もソージュを責めている。


「……慣れてきて、いつの間にか気が緩んでいたらしい。側にいるのが当たり前だと思わずに、常にルリがいる幸せに感謝するよ」


 ソージュの言葉に、瑠璃は少し安心したのか、表情に不安定さがなくなった。


「ねえ、ソージュ、あなた、本当にルリだけを愛しているの?」


 ちゃんと言葉にしなきゃ伝わらないわよ。


「当然だ。ルリ以外は要らない!」


 ソージュは瑠璃を見てハッキリと告げた。


「と、言ってるが、ルリ、どうする?嫌ならつまみ出すぞ?」


 ケルナーは、ソージュを追い出す気満々だけど、瑠璃に決めさせるようだ。


「……ケルナー、お母さん、ありがとう」


 瑠璃は、ソージュの側に行くと穏やかな顔になり、私達にお礼を伝えてきた。


「娘の味方をするのは当然よ。ソージュ、万が一にもルリを蔑ろにしたら、その時は、全力で娘を取り返しに行きますからね」


 私はソージュをじっとりと睨むと、バシンと背中を叩いた。


「では、私からはウンザリするほど手間が掛かる仕事を、山ほど振りましょうかね」


 ケルナーはソージュを見つめて、にっこりと微笑んでいる。


 もちろん、目は全く笑っていない。


「お父さんお母さんごめんなさい!彼、今でも充分忙しいから、仕事はやめてあげて!」


 瑠璃、あなたいつからケルナーをお父さんって呼ぶようになったのよ?!


 って、それは今はそんな事どうでもいい。


「瑠璃、素直になりなさい。ソージュは瑠璃しか見ていないわ。くだらない誰かと比較したら彼が可哀想だわ」


 今まで、瑠璃の男運が悪すぎたのよ。


「ルリ、ソージュ様が嫌になったら、なんとかするから、いつでも私に言いなさい」


 ケルナーはいつからこんなに……


「ケルナー、俺に対して厳し過ぎないか?」


 ソージュは、瑠璃を抱きしめたまま、ケルナーに不満を募らせた。


「当然です。娘として見守ろうと心に決めたら、あなたがあっという間にルリを攫っていったのです……泣かしたら許しませんよ?」


 ケルナーはいつそんな覚悟をしたのかしら?


「うっ……ハイ。絶対泣かしません」


 ソージュは顔を引きつらせ、素直にケルナーと約束をした。


 瑠璃は、幸せそうにソージュを見ている。


「瑠璃、帰るなら、恵方巻きを持って行きなさい。チャコちゃんも喜ぶわ」


 私は手早く恵方巻きを纏めると、瑠璃に渡す鞄に詰めた。


「うん。あ、豆も少し貰っていい?」


 瑠璃は、豆の升をチラッと見た。


 さすがに、もう彼にはぶつけないだろう。


「まさか、歳の数食べるの?なら、このまま、持って行きなさい」


 私は豆を浄化して、升ごと瑠璃に渡した。


「え、こんなに?」


 まさかそのまま貰えるとは思わなかったのか、瑠璃は驚いている。


「みんなで食べなさい。お母さんは、今からまた追加で豆を煎るわ」


 大豆はまだまだ、たくさんストックがある。


「ありがとう」


 瑠璃は嬉しそうに、ソージュに升と豆を見せている。


「瑠璃、お母さんはここにいるから、辛かったらいつでも帰ってらっしゃいね」


 私が娘に出来るのは、安心して帰れる家を用意しておくだけだわ。


「トーコ、ルリにそんな思いはさせない。本当に、心配をかけて申し訳なかった」


 ソージュが頭を下げ、2人は腕を組んで仲良く帰っていった。


「ソージュは、存在自体が人騒がせだから、心配になるのも仕方がないわね。ケルナー、ありがとう。ちょっとかっこよかったわ」


 ――色々とお株を取られた気分だけどね?


 心の中には少々不満はあるが、まあいい。


「そうですか?ありがとうございます」


 ケルナーは、私の心が見えるのか、フッと目を細めて笑った。


 キッチンに戻ると、私は再び大豆を取り出して炒り始めた。


「瑠璃ったら。私が聞くより、ケルナーが聞いた方が素直なんだもの。焼けちゃうわ」


 私だけだったら、瑠璃はこんなに早く素直にはならなかったわ。


「悩みの内容によると思いますよ」


 ケルナーは、やっぱり穏やかな顔で宙を舞う大豆を見ている。


 その横顔があまりにも父親っぽくて……


「でも、なんだか母として悔しいわ」


 思わず本心が出てしまった。


「……トーコ、いつも私に、父親の役目をくださりありがとうございます」


 ケルナーは私に向き合うと、やっぱり穏やかな幸せそうな笑みを向けてきた。


「やだ、そんな風に言われたら、文句言えないじゃない」


 この人、こんな笑い方する人だった?


 ――やっぱり、ケルナーは卑怯だ。


「ふふ、良かった。トーコには文句を言わせるつもりはありませんよ」


 なんだか、いつも親子揃ってケルナーの手のひらの上よね。


 ――勝てる気がしないのよ。


「嫌な人ね?ほら、豆ができたわ。本来歳の数だけ食べるんだけど……」


 えっと、私今何歳だったかしら?


「我々の場合、豆の数が莫大では?」


 ケルナーも、豆を見て固まっている。


「そうね、これは、さすがに食後に食べる量じゃないわね」


 これだけで満腹になるだろう。


 お互い、無言で数粒をぽりぽりする。


「残りは全部きな粉にして、スイーツでも作ろうかしら?」


 私の言葉に、ケルナーは深くうなづいた。

節分回、最期まで読んで頂きありがとうございました。

毎度ながら、トーコ達の日常は当たり前のように続いています。


次はバレンタイン♡誰のお話がいいかな。誰が見たいとか、希望ありますか?

もしあったら教えてくださいね!


では、また・:*+.\(( °ω° ))/.:+

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