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第5章:聖女が国にやってくる(2)

 待て待て待て待て!

 聞いてない! ほんと聞いてない!!

 わたしが目を見開いて一気に青ざめたのを、予定を知らなくて焦ったととらえたのだろう。「あちゃー!」と皇帝が頭を抱える。


「儂がアーリエルーヤに言うのを忘れてたわ! 天使ちゃんが可愛すぎるから、会う度褒めるのに必死で、伝え忘れてたわ! すまん!」


 いやお父様、忘れるなそこ大事!

 というか違うんだ。わたしが青ざめたのはそうじゃない。


 ドデカ破滅フラグじゃろが!!


 ニィニナは、『セイクリッディアの花輪』の主人公。ミナ・トリア辺境村に生まれた、ごく普通の女の子。

 だったのを、各地に侵攻する『烈光の女帝』の軍に故郷を焼かれ、死に物狂いで逃げた所、聖剣『セイクリッディア』に『聖女』として選ばれる。

 そして、聖剣を細腕で振るい、偽りの『光吟士』「アーリエルーヤ」を一騎討ちの末に討ち果たし、彼女が契約した悪魔ケージだわなを永遠の闇の檻に封じて、東の大陸(エス・レシャ)に真の光を取り戻した英雄となるのだ。


 ンアーオイ! マジかマジか!?

 ケージの力を削いだことで、大体のフラグは回避できたと安心しちゃってたわ!

 来るのー? 本当に来ちゃうのー? どうしよう本当にどうしよう。何にも傾向と対策を考えてないわ。


「アリエル様。そんなに落ち込む事はございませんわよ」


 やはり何かを都合良く勘違いしてくれたのか、ヘメラがわたしの背中をとんとんと優しく叩いてくれる。


「美しさもご身分も、アリエル様の方が遙かに上! 自信を持って対面なさればよろしいのですわよ!」


「……はい」


 ……うん、はい。それしか無いんだよね。

 ニィニナは、『烈光の女帝』の「アーリエルーヤ」を倒しに来る訳じゃない。「アーリエルーヤ」の時はともかく、今のミナ・トリア国王は、東方諸国との小競り合いではこっちに加勢してくれるから、帝国との関係も悪くないし。


「心配をかけてごめんなさいね、ヘメラ。大丈夫よ、着替えましょう」


 わたしは精一杯の笑みを浮かべて、ベッドから降りる。

 うん。ニィニナもいきなり『セイクリッディア』を抜いて斬りかかってくるような女の子ではない。心優しく、弱きを助け、正義を為す。「わたし」がそう書いた! 大丈夫!

 今度も景気よくフラグを回避してみせようじゃないの!

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