四十七話 変わらなければならない理由
クリスマスの翌日、自分の気持ちに気づいてしまってから一日が経った、そんな日に俺は最寄りのスーパーに来ていた。
そう、例のあの人がいる店だ。
その人物を探して中をぐるぐると回っていると遠目でも一発で分かるレオタードを着た人物が居た。
「慶次さん」
目当ての人物に声をかけつつ近づいていく。
「あら?鏡ちゃんじゃない」
「お久しぶりです、ご相談したいことがあって来たんですけど今大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ、知っての通り私は居るだけだしね」
今日は慶次さんに話したい、というか相談したいことがあって来たのだ。
というのも前に言われたのだ。
『もし、鏡ちゃんが今から変わりたいと思うことがあったのなら私に相談しなさい。絶対に相談に乗るわ』
と言ってくれたのだ。
だから相談しようと思ってきたのだ。
そもそも慶次さんが相談に乗ると言ってくれているのは家の、橘家にお世話になったから、というのがでかいとは思う。
慶次さん曰く大きな恩があるとの事。
俺はそれが何なのかは分からないのだが。
あとはそれだけではなく俺の事は弟のように思ってるとも言っていた。
「それでどうしたの?」
「えぇ、慶次さん、前俺に『もし、鏡ちゃんが今から変わりたいと思うことがあったのなら私に相談しなさい。絶対に相談に乗るわ』って言ってくれたことありましたよね?」
「えぇ、言ったわね」
そう、だから、だから俺は
「今がその時なんです、俺、変わりたいです」
「......何かあったのね?」
何かあった......そうだなぁ、あったと言えるのではないだろうか。
今まで生きてきた中で初めて恋を知ったのだから。
これまでは漠然といつか恋人ができて人並みに恋愛して結婚してってしていくと思っていた。
もしくは橘家として許嫁を連れてくるとか?お見合いとか?まぁ、家は自由恋愛だからそんなことは無いけども。
でも、俺は澪じゃないとダメみたいだ。
諦めたくないし、認められたい。
他の人から見ても隣に居ていい、いるのが当たり前と思われるような、そんな相応しくなりたい。
「ふふ、その顔は恋ね?」
「え、そんなに顔に出てましたか?」
そんなに感情が表に出ていたのかと思い顔をムニムニする。
んー、イメージ頬の筋肉がヒクヒクしてるなぁ。
「ええ、ニコニコしてたし何より醸し出す雰囲気がそうだったわ」
醸し出す雰囲気って......
どうしようもないやつじゃん......
「とにかく変わりたいのね、それは見た目......ということでいいのよね?」
「はい、何かアドバイスみたいなのを貰えないかなと」
「ふふ、いいわよちょっとついてきなさい、それにしても鏡ちゃんがねぇ〜、大きくなったわねぇ」
久しぶりに会った甥っ子が大きくなってた時の反応をしながら歩いていくので俺も後ろからついて行く。
バックヤードに入ると店長?らしき人に一声かけてから出てきた。
というかオーナーだから店長は違うのか?
「まずは髪を切ってもらうわ、その後に服屋に行く、どちらも私の知り合い、というか同士だから安心していいわよ?」
......それは逆に安心できないのでは???
同士ってことはオカーマなんじゃないっすか?
ま、まぁ気にしても仕方が無いか。
いつも千円カットのところに行ってるので美容院?に行くのは初めてだなぁ。
そう思いながら歩くのであった。




