十九話 母!襲来!
文化祭が終わり片付けが済んだ次の日
文化祭は土曜日、片付けが日曜日の2日だったためその後の月曜火曜と2日間が代休になっていた。
暇だなー、ゲーセンにでも行こうかなー。
とくにやることもない鏡は布団の中でコロコロしていた。
ピンポーン
ん?誰か来た?
チャイムがなったので仕方なく布団から出て玄関へと向かう。
「はーい、どちら様ですか?」
「ボクだよボク!遊びに来たよー!」
「新手のボクボク詐欺ですか、お金はありませんよ?」
「ボクボク詐欺じゃないし!てか、お金はあるでしょ!?」
「まぁまぁ、そんで遊びに来たって?」
「この前の格ゲーのリベンジをしようかなって思ってさ!」
あぁ、あの逆方向に超必を打つレベチ格ゲーをしたいのか。
「今絶対に失礼なこと考えたでしょ」
島風がジト目でこちらを睨んできた。
てか、ナチュラルに心を読むのな。
「まぁ、超必を逆さ打ちする人にはなぁ」
「んにゃぁぁ!だからリベンジに来たの!」
んー、どうしようかなー。格ゲーじゃないのをやるとかじゃダメなのかねぇ。
「分かった!じゃあ文化祭の時の何でも言う事を聞いてくれる権利を使う!」
「あー、勝負したやつか。え?そんなことに使うのか?」
「だってそしたら絶対やってくれるじゃん!」
確かに約束だからやるけど、本当にそれでいいのかよ。
「まぁ、朝飯まだ食ってないからそれからだぞ?」
「へ?まだ食べてないの?もうお昼前だよ?」
「布団から出たくないってやってたらこの時間だった」
「うわぁ、怠惰の極み」
健康的な面で言えば身体によろしくないとしか言いようがない怠惰さだ。
「じゃあボクがお昼作ったげるよ」
「え?いいのか?」
「うん!ボクもお昼はまだだったしね!一緒に食べよう!」
よっしゃ!昼飯から島風の飯が食える!
テンションが一気に上がる鏡、餌付けされるそれだ。
ってか俺、島風の飯無しじゃ生きてけなくね?
完全に胃を掴まれてることに気づいた鏡であった。
「美味かった、いつもありがとな」
「お粗末さまでした!いつも美味しそうに食べてくれてこっちこそありがとう!」
昼飯も食い終わりもうそろそろ格ゲーを始めるかー、とそんな時であった。
「「ブー、ブー」」
ん?バイブ?
鏡と島風の携帯が二人とも同時に鳴り始めた。
「ごめんね、ちょっと電話に出る」
「いや、俺もだから」
そう言って携帯の画面を見てみると。
『おふくろ』
の文字が
いつもかけてこないのになんの用事だ?そう思い出てみる。
「もしもし、いきなりどうしたんだ?」
『いやー伝え忘れてた、というより伝えてなかったんだけどねー?今鏡ちゃんの家の前に居るのよー、合鍵あるけど愛しの息子に開けて欲しいなぁーってね?』
......は?マジで?
そう思い島風に目を向ける。
これ、バレたらやばくないか!?
絶対お袋のことだから勘違いして騒ぎ立てるじゃねぇか!
「え!!?嘘でしょ!?」
うわっ、ビックリしたわ!
いきなり島風が大声を出したのでビックリした
『ねー、今女の子の声しなかった?もしかして鏡ちゃん女の子連れてる?』
「HAHAHA、ソンナワケナイジャマイカー」
え、ちょっヤバくね?どうする?どうすれば。
「お袋しばらく待っててくれ、俺開けるから。いいな?絶対開けんなよ!?」
そう言ってとりあえず切る。
島風も丁度切ったようで慌てたようにこちらを見てきた。
「どうしよう!ボクのお母さんが今ボクの家の前に居るって!どうやって帰ればいいかな!出たらバレる!」
「え?本当か?今俺のお袋も家の前に居るって連絡が......」
「え?ど、どうしよう。出てったら絶対異性の部屋に行ってたの?もしかして彼氏!?って騒がれるんだけど!」
「ウチもだ......」
困ったことに二人とも母親が来ているらしい。
しかも聞いてる感じだとお袋と似た性格らしい。
「あっ、そうだ、ベランダを伝って島風の部屋に入ればいいんじゃないか?前に教えただろ?窓を揺すれば入れるって」
「あの後鍵を変えたから多分入れない!」
「マジかぁ」
セキリュティー的には正解なんだけど、こんな時に非常事態が起きるとは
ガチャッ、ドタドタドタ
「鏡ちゃん!開けるのが遅......い......」
「「あ」」
「唯!ゆいー!ウチの子が女の子を連れ込んでるー!」
「ちょっ待っお袋ー!」
誰かの名前を呼びながら一度家を飛び出して行った。
「え、唯ってボクの母さんの名前なんだけど」
「マジで?」
「うん」
何か嫌な予感がするのは俺だけだろうか、
「大丈夫、ボクもそう思ってる」
「大丈夫じゃないし、ナチュラルに内心読むな」
少しするとまた騒がしいのが近づいてくる。
「ほら見て唯!可愛い子を連れてる!」
「そーね!やっぱり私の澪は可愛いわよね!」
「私の澪?ってことは唯の娘?」
「そーよ、ということは澪の彼氏が紗良の息子?」
いや、どこから突っ込めばいいのか分からないんだが。
島風もあたふたしてるしどうしたもんかね。
「お袋、とりあえず落ち着け」
「母さん、とりあえず落ち着いて」
1回落ち着いて欲しいんだが
「あと俺は島風とは付き合ってないぞ?」
「ボクも橘さんとは付き合ってないよ」
「「そりゃあ、私とは付き合ってはないわよ」」
付き合ってないという話をしたら二人の母親とも同じ反応をする。
「え?いや、そうだけど」
「ごめん母さんボクたちにはその反応が分からないんだけど」
「だって私、島風 唯だから島風だし?」
「私は橘 紗良だから橘だし?」
「「名前で呼びあってないと分かんなーい」」
何だこの息ピッタリな感じは!しかもウザイ!
「べ、別にボク達がどう呼びあっててもいいじゃん」
「でもどっちを呼んでるか分からないわよー」
「どうにかしてよ橘さん!」
「えー、私も分からなーい」
「違うよ!?橘さんのお母さんに言ったんじゃないよ!?」
島風があたふたしているのを眺めていたらなんか心が落ち着いてきた、頼むから俺にフォーカスが合わないといいなぁ。
「あ、そーよ名前で呼び合えばいいじゃない」
「え?お袋それは、どういうことだ?」
「ボクからしたら橘さんのことをか、か、鏡くんって呼ぶってことじゃないかな?」
顔を赤くしつつも名前呼びをしてきた島風。
え、島風のことを名前呼びしろってことか?
「その案よ紗良!さては天才ね?」
「あったりまえよ〜唯、伊達に物語を紡いでないわ!」
というか疑問に思ってたんだが
「ボクから見て母さんと、か、鏡くんのお母さんは友達に見えるんだけど仲がいいの?」
聞こうと思ってたことを島風......澪に聞かれたな
「私達は幼なじみよ?」
「昔からの付き合いってことよ」
「私が作家を始めた時も手伝って貰ったわねー」
「え?鏡くんのお母さんは作家さんなの?」
会話を聞いてた島......澪は疑問に思ったのかこちらを見て聞いてきた。
「お袋は『アモル・スペクルム』っていうペンネームで作家をやっているんだ、澪ももしかしたら知ってるかもしれないぞ?」
「え?鏡くんのお母さんはアモル・スペクルム先生なの!??超有名じゃん!」
やはり知っていたようだな、俺のお袋は結構な有名作家でテレビCM等で取り上げられるくらいには有名だ。
ペンネームの由来が俺に関わっているし恥ずかしいからとりあえずペンネームを変えて欲しいんだが。
「まぁ、そこはいいんだ、お袋は何をしに来たんだ?」
「え?生活チェック?まぁ可愛い彼女ちゃんがいるなら大丈夫よね!」
「だから彼女じゃないって!」
「え?でもあれ」
そう言ってお袋が指したのは台所
「鏡ちゃんが使うわけがないのに使われてる事考えるとそういうことでしょ?」
「そういえば澪が最近友達とご飯食べてるって言ってたけど鏡くんの事だったのね?」
おい!それ言っていいやつなのか?性別は言ってない見たいだけどさ!
「家隣でご飯も毎日一緒に食べてる?そんなの通い妻じゃん」
「違うよ!なんでそうなったの!?というか母さんは何しに来たの?」
「紗良が息子の所に行くって言うから付いてきた!」
「思った以上に理由が薄い!」
鏡と澪の二人してげっそりとしてしまうぐらいには母親組のテンションが天元突破している。
「なぁ、み、澪、これお袋止まんねぇわ」
「大丈夫、ボクの母さんも止まらないから」
今度親父に言って手網を握ってもらおう。
「あ、澪ちゃん?私色々と聞きたいことあるし連絡先交換しよ?あと、私のことは紗良って呼んでね!」
「え?はい、わかりました」
なんか流れでうちのお袋と連絡先交換してるんだけど。
「鏡くん、私のことは唯って呼んで構わないからね?」
「え、あ、はい」
「ついでに連絡先交換しようか、携帯出して?」
何故か澪のお袋さんと連絡先交換することに。
「じゃあ私達は帰るわね」
「鏡ちゃんまたねー!また来るよ!あ、澪ちゃんこれあげる!」
あげると言って何かを投げてお袋と唯さんは立ち去って行った。
「お袋は何を投げてったんだ?」
「これ」
見せられたのはどこかの鍵。
「これどこの鍵だ?」
「さぁ、でも紗良さんが渡してったから何か関係があるやつなんじゃ」
「そういえばお袋玄関閉めてってなくないか?」
「閉めてないかも?」
玄関を見に行ってみると鍵は閉められていなく開けっぱなしだった。
いつもはお袋は鍵を閉めてから帰っていくのだが今日は開いていた。
あれ?いつもは閉めるのに開けっぱなし?
鍵......鍵?
「なぁ島風」
話しかけたのだが返答がないので振り返ると頬を膨らませた島風が居た。
「え?どうしたんだ?」
「名前」
「は?」
「ボクの名前」
どういうことだ?
「ボクの名前は?か・が・み・く・ん?」
え?普段から名前呼びにしたいってことか?
恥ずかしいとかないのか?俺は恥ずいんだが
「み、澪」
目線を少し上の方にしながら名前を呼ぶ。
「なんだね?鏡くん」
満足そうに頷きながら反応してくる澪
「もしかしたらその鍵ウチの合鍵かも」
「へ?そんなわけないんじゃない?流石にボクに合鍵を渡すってことは......」
そう言って外から鍵を挿してひねってみると。
「あ、回った」
「マジかぁ、普通渡すか?」
「渡さないと思うよ?」
どうせ彼女になら持っててもらってもみたいな理由だろ!
あのお袋は今度シバくしかねぇな、とりあえず親父に連絡しとくか。
「流石にボクが合鍵持っとくわけにもいかないから返すね?」
「いや、持っとけ」
「へ?なんで?」
「毎日チャイム鳴らすのめんどくさいだろ?」
「まぁ、確かにそうだけどそれとこれは違うんじゃ」
「何より開けに行く俺がめんどい」
毎日一緒に夜飯を食べているが正直毎日開けに行くのが面倒くさくなってきていた。
いや、鍵を開けるのがめんどいのは最初からだが。
「ぷっ、何その理由、完全に怠惰じゃん」
澪は吹き出して話してくる。
「だってそうだし、ざっとそんなもんよ」
「ハハハ、オッケーじゃあ持っとくね!」
ただ、合鍵を持たせたら持たせたで遊びに来る比率が上がりそうだよなぁ、と思った鏡であった。
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