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私達は楽しいんです10

 首をしっかりと上下に動かすアララに私は苦悩したわ。


 既に避けられないにしても、何かしらの方法がある筈なのよ、抜け道のような何かを見つけ出さないと。


 悩む私とそれを静かに見つめるアララの座るテーブル席に注文したベーコンステーキが運ばれてくる。


 芳ばしい薫りが食堂に広がる。


「旨そうな匂いじゃないか、コック。俺にも同じモノをくれ」


 そう言い現れたのはシュビナだったわ。


「どうしたんだ? 出来立て料理を前に随分と浮かない顔をしてるじゃないか?」


「シュビナ……あ、ううん……なんでもないわ」


 言葉に出来ない感情、素直に言ったらシュビナは、どう言葉を返して来るだろう……いつからだろう、私の中でシュビナの存在がこんなに大切になってるなんて……


「大切だから、言わないなんて……裏切りだよね……シュビナ。私ね……」


 私は全てをシュビナに話した。全てを失うかも知れない、今までみたいに簡単な会話すらして貰えなくなるかもしれない、それでも、誤魔化したくない。


 話を聞きながら、軽く悩むような仕草をするシュビナ、その口元は堅く閉ざされている、只ならぬ不安に心が締め付けられ、一瞬で砕かれるような感覚に身を震わせた。


「ふぅ、それがどうしたって言うんだ? 中身が変わらぬならば、何者になろうがカミルはカミルであろう?」


 まるで、そよ風が何事もなく通り過ぎ、私を背後から優しく包み込むようないつもの表情がそこにあった。


 自身の小ささを知り、シュビナの懐の大きさを知る事となる。


「なあ、カミル。今を楽しめぬ者が神になれば退屈な世界に成るだろう、俺はお前が楽しく笑う横に居たいと思うのだがな?」


 自分が知らぬ内に涙を流している事実に気づかされる。


 そんな中、厨房から鉄板に乗せられた分厚い肉の塊がテーブルに運ばれる。


「わかってるわよ、それより、シュビナの料理が出来たみたいね。私達の分は少し冷めけど、まだ熱いくらいだわ。早く食べましょう」


 私達は、楽しまねばならないのだ。


 数多の次元が繋がっていく五次元世界、ララリルル。


 簡単じゃないし、デンキチとの最初の約束も果たさないといけない、まだまだ、やるべき事が沢山ある中で、私は新たな道を歩む事になるだろう。


 それでも、私の周りには笑顔と楽しいが山積みな事実はかわらない。


 マルルに向けて直ぐに念話を送る。


『マルル、私は貴方の申し入れを受け入れるわ。恵みの神になるわ』


『フォフォフォ、まあ、決まっていたが……自身の気持ちで前に進んでくれたことに価値があると言うものじゃからな』


 マルルの思い通りに踊らされてる感じは否めないけど、それも良しと思える程、今を楽しめる事実を喜びとして噛み締めたいと心から感じる。

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